もしも高校生自身が高校野球の監督だったら、どんな教育効果が見込まれるか

場作り屋の相内です!

私は仙台を拠点にワークショップの企画運営やファシリテーション、

コーチングなど、人が前進するための場作りを行っています!

 

今年も甲子園大会が盛り上がっていますね!

小学校4年生から大学卒業まで野球を続けていた私にはたまらない季節です。

 

野球の人気が下がって競技人口が減っていると言われていたり、

キャッチボールをできる公園がどんどん無くなってしまったり、

ちょっと寂しいニュースも多いですが、

一方では大谷翔平選手がメジャーでも例がなかった二刀流で大活躍!

常葉大菊川高校がノーサインで溌剌としたプレーを見せてくれたりと、

新しい兆しも芽生えています。

 

私個人としてはもっともっと野球や野球にまつわる環境が進化していき、

たくさんの人に愛され続けたら嬉しいなと思っています!

 

そんな中、ついつい夢が膨らんでしまう記事をみつけました!

箱根駅伝4連覇中の青学大・原晋監督が今思うこと感じたことを記す

「原監督のハッピー大作戦」にて、

高校野球における高校生監督の導入を提言されていたんです!

これは教育的な観点から見ても、社会に出るにあたってのトレーニングとしても、

とても意義深いことに感じられたので、今日はこのテーマで妄想してみました!

 

高校野球の目的とは

まず高校野球とは何の目的で存在しているのでしょう!?

改めて調べてみようと思い高校野球連盟のホームページを覗いてみました。

同サイト内には日本学生野球憲章が掲げられていて、

第一章総則 第2条(学生野球の基本原理)という項目によると、

学生野球は人間の育成を主目的としていると明記されています。

学生野球は、教育の一環であり、平和で民主的な人類社会の形成者として必要な資質を備えた人間の育成を目的とする。

日本学生野球憲章 http://www.jhbf.or.jp/rule/charter/index.html

 

それなら、高校生が監督をすることによって教育効果を得られるようデザインできれば、

高校生監督が誕生してもいいのでは!?

 

また、日本体育協会「学校運動部活動指導者の実態に関する調査報告書」(2014)によると、

高校では実に40,9%の先生が自分が体験したことのない競技の顧問を行っているそうです。

大雑把に考えると、40%の野球部は顧問から専門的な指導を受けられない計算です。

こうした背景からも、高校生監督を検討する余地があるのではいなかと思います。

 

以下、高校野球の監督の業務を

1. 練習計画の策定と遂行

2. 試合での選手起用と采配

の2つに大別して考えてみようと思います。

これらの業務を高校生が担った場合、どのような能力の習得に繋がりうるでしょうか。

その想像から書き始めてみることにします。

高校野球

 

練習計画の策定から身に着くであろう力

練習計画を策定するには様々な要素を検討する必要があります。

そのプロセスを列挙するところから、どんな能力が身に着くかを考えてみます。

 

練習計画を策定するためにはまず始めに、

我々はどこを目指す組織であるかビジョンを定める必要があります。

向かう方向が決まっていなければ船は大海原を進むことができないように、

本当は部活の練習も目標に準じて設計されるべきでしょう。

そのために、2回勝ちあがる、県でベスト8、甲子園出場、全国制覇など、

誰が見ても齟齬が生じない明確な目標を立てます。

 

次に分析です。

掲げたビジョンを実現するために自分たちのどんな強みを活かすか

反対に、どんな力がどの程度不足しているかなどを、

ベンチマークすべき他校と比較しながら考えていきます。

 

続いて戦略設計です。

分析した結果に基づき、攻撃力で勝ち上がるのか、守備力で戦うのか、

どちらも万能なチームにするのかなど、目標を達成しうる戦略を選択します。

 

そして進捗確認と振り返りです。

立てた戦略の実現に向けて練習の成果は上がっているか

練習配分は適切か、計画どおりに消化できているか

 

ビジネスにおけるPDCAサイクルそのものですね!

 

そしてこれらのプロセスには全て、選手間での合意形成が生じます。

現実的には2~3回勝てれば万々歳という公立高校が大半ですが、

どの高校にも必ず「甲子園に出場したい!」という想いを持った選手がいます。

「勉強と野球を両立したい」という選手もいます。

 

これも社会と構造が一緒ですね。

いつまでも仕事に没頭していたい人もいれば、早く帰って家族とゆっくりしたい人もいます。

 

こうした目指すところが違うメンバーどうしが、

それぞれに手ごたえを感じられるポイントをいかに策定できるか、

調整する能力や人を巻き込む能力も磨かれます。

 

リーダーシップとフォロワーシップについても同様です。

自分たちが決めたことについて、責任を持つのは自分たちであるため、

リーダーとしての振る舞いと、フォロワーとしての振る舞いがより主体的に身に着くでしょう。

野球 練習場

 

試合の采配から身に着くであろう力

試合を行うにあたっては、まず起用する選手を選択する必要があります。

ベンチ入りできる選手数には限りがありますし、

上級生を優先して起用するのか、能力に応じて起用するのかも学生野球のポイントです。

結果によっては落ち込み、やる気を失う選手もいるでしょう。

そうした選手の心情を汲みながら声がけをしたり、

意欲が向上しうる貢献の仕方を模索し提示することで、

感情を持った人間を扱ううえでの要諦が学べます。

 

試合が始まれば攻撃のサインや、守備体形の指示、選手交代についての采配です。

順境の時、拮抗している時、逆境の時によって試合の流れが異なります。

流れがいい時はどうやったらそのまま万事滞りなく試合を終わらせるか、

拮抗している時や逆境の時はいかにしてバランスを崩し流れを変えるか。

勝負の妙を体感しその観念を学ぶことは、そのまま仕事や人生においても活きてくるはずです。

 

指示を出す側の葛藤を感じることも重要な学びになります。

自信を持ってサインを発せられるシーンもあれば、一か八かで腹を括るときもあります。

これらの経験は、自分自身がどのような性質であるかを理解する一助となるでしょう。

 

また、指示を受けた相手がどのような行動を取るのかを体験することも貴重な機会です。

嬉々として難しいことにチャレンジする選手もいれば、

弱気になって普段通りのプレーができない選手もいるでしょう。

そうしたひとりひとりの特性を把握し、

どのように指示を出すと各人の能力が発揮されるのかを見極めることは、

そのまま仕事のマネジメント業務に直結します。

作戦が失敗すれば、いかにして選手をフォローするかも学ぶことができます。

野球 作戦

 

 

監督は能動的な学びの宝庫!

こうして少し考えてみただけでも、

以下のような能力を能動的に身に付けられらる可能性がありそうです!

・ビジョンを策定し実行する力

・現状を分析する力

・戦略を立案する力

・進捗を確認し、計画を修正する力

・対立する意見から合意形成を作る力

・人を巻き込む力

・リーダーとして率先垂範する力

・フォロワーとしてリーダーの業務を補助する力

・人の心情を慮る力

・人の意欲を高める力

・物事の流れをつかみコントロールする力

・それぞれが持つ能力を最大限発揮するためのマネジメント力

・自分の内面と向き合い探究する力

 

いかがでしょう。

もしあなたなの会社の新人がこんな能力を身に付けて入社してきたとしたら、

ものすごい戦力になりそうだと思いませんか?

 

好き勝手に想像を膨らませて書いてきましたが、

高校の部活でここまで学べる可能性があることに、私自身も驚きました。

 

どのように実現するか

では、高校生監督をどのように実現するか。

監督業務を何人で担当するか、交代の有無、業務範囲の設定、決め方などなど、

現場が混乱に陥らないための枠組みは最低限設定する必要がありますが、

これは正直、導入を検討する各チームで自由に設計できる範囲だと思ったのでここでは割愛します。

 

大切なのは、選手が自主的に意欲を燃やし、向上心を持って取り組めるような土壌作りです。

どんなデザインであればそれができ、教育的効果も高いか。

思いつくポイントを書いてみます。

1. 目標設計

・チームでどこを目指すか、ディスカッションを通じて具体的な目標を立てる。

・並行して個人の目標を立てる。

・指導者はそのためのアイディア出しやディスカッションをサポートする

2. 戦力分析

・自チームの戦力を分析する。その際、数値化できる項目は全て数値にする。

例えば個人のデータは、打率、守備率、走力、遠投力などを実数で入力。

チームのデータは、打撃力、守備力、投手力、走力などを各自が5段階で評価など

・そのうえで伸ばしていくべき点、改善を目指す点を意見交換し、注力する点を絞る

3. 練習計画

・始めに、目標となる大会まで、何日間・何時間練習できるのかを概算する

・分析結果に基づき練習計画を立てる。大まかな指針として、

「強みを伸ばす練習〇〇%、弱みの改善〇〇%、基礎練習〇〇%」の割合から策定する。

それから各項目に対応する練習メニューを列挙し、カスタマイズしていく

・練習メニューは打撃班、守備班、走力班、投手班などを組閣して、そのチームが担うのもいい

・定例ミーティング(練習の振り返りと計画の修正)を行う頻度、曜日を決定する

・雨天時の練習も計画しておく

4. 練習

・選手が立てた計画に沿って実施する

・できる限り練習ごとの達成目標を定める(定性でも定量でも、1日単位でも1週間単位でも可)

・練習実施前に練習の目標を共有し、練習後に効果や成長を振り返るMtgを実施

・効果が高かった練習は目的や実施内容をFMTに記載し保管することでナレッジを後輩に残す

・毎月測定会を開催し、戦力分析に記載した個人の能力変動をモニタリングする

5. 練習試合

・各試合ごとに監督と、助監督を設けて采配を委ねる。監督と助監督の打順は離す。

(※バッターボックスおよびランナーからサインを出すのはとても難しいため)

・選手やメンバーは試合中から采配を採点する。採点は采配そのものと、采配の結果で分ける。

(※結果のみで採点すると作戦の合理性や、作戦成功率が判断できなくなるため)

6. 定例ミーティング

・生徒が定めた頻度に応じて、現状の分析と、練習結果の振り返り、計画の修正を検討する

・各生徒の監督業、練習メニュー、練習態度、采配などについて素晴らしいと感じた瞬間について、

承認のメッセージを込めたカードを書き手渡す

7. 大会本番

・誰が選手起用を決め、采配を振るうのか事前に取り決めておき大会に臨む

(※高校生がサインを出して良いのかは確認する必要がありそう)

8. 振り返り

・敗退後、これまでの取り組みで機能的だったことや、今後もチームに残したいこと、

個人の変化や学びについて振り返り、この体験を次にどう活かせるかディスカッションする

 

こんなデザインだったらどうでしょう?

 

重要な大人の関わり

仮にどれだけ精緻で機能的なデザインができたとしても、

やはり大人の関わりは非常に重要であると感じます。

生徒どうしで合意形成を取ったり、

立てた計画をちゃんと振り返ったりする際には適切なフォローが欠かせません。

 

もちろん上手くいかないことや、軋轢が生じるタイミングもあるでしょうから、

そうした時に仲介役となったり、

起こった事象からの学びを見出す手伝いができる大人がいるかどうかで、

得られる教育効果や安心感がずいぶん違うでしょう。

 

そして当然ながら、最終的な結果を引き受けるのは大人が果たすべき役割です。

生徒が存分にチャレンジできる土壌を用意したうえで、

暖かく動向を見守りながら、必要なタイミングで介入できるといいですよね!

 

高校生監督制度は生徒にゆだねる範囲が大きい分、

普通に監督をしているよりも苦労や葛藤が多くなる部分もあるかもしれませんが、

これからの時代を生きていく若者にとびっきりの成長機会を提供するという点においては、

とても有効な教育コンテンツになりうるのではないでしょうか!

 

パラダイムシフトが続く野球界、スポーツ界において

記事の冒頭にも例を挙げましたが、

大谷翔平選手は不可能と言われた二刀流で素晴らしく活躍していますし、

ノーサインの常葉大菊川高校が甲子園で躍動したのは記憶に新しいですよね。

 

私が高校生だった15年前は、

甲子園でも一握りの選手しか投じることができなかった140km代の直球を、

最近は控えのピッチャーでも楽々投げ込んできます。

 

変化球はカーブかスライダーが主流でしたが、

今はそれらに加えてチェンジアップ、フォーク、シンカー、多彩な変化球を操る投手がいます。

 

必ず丸刈りにしなければいけないチームも随分減りました。

 

つい先日はシニアリーグの全国大会において、

島野愛友利さん(15歳)が女性として史上初の優勝投手になりました。

 

時代の変遷と共に、

およそ不可能と思われてきた偉業を成し遂げる選手たちが続々と現れていることによって、

野球界のパラダイムもどんどんシフトしているように思います。

 

スポーツ界に枠を広げても、

これまでの常識では考えられなかったことが生まれ続けています。

この記事を書くきっかけとなった青山学院大学の駅伝部も、

本当に陸上部!?

とこちらがびっくりしてしまうほど楽しそうに練習している選手がなんと多いことか!

 

他の大学は「1秒を削り出そう!」や「命のたすきリレー!」といった、

苦しさを感じさせるような質のキャッチコピーを掲げている中、

青山学院大学は「ハッピー大作戦!」や「ハーモニー大作戦!」です。

どこにも辛そうな質感を感じませんよね。

 

サッカーの本田圭佑選手は、

現役選手をしながらカンボジア代表の監督業務を担うことが発表されました!

 

こういう流れの中だからこそ、

次の大きな変革が野球における高校生監督の誕生であっても、

何ら不思議ではないと思うのです。

 

そして野球で高校生監督が実現できたら、きっと他のスポーツへもノウハウを輸出できます。

やはりそこは、何と言っても国民的なスポーツである野球の影響力は大きいと見ます。

 

そうしたら、日本って、もっと面白い国になると思いませんか?

 

まとめ

夢物語に過ぎないかもしれませんが、

野球界から高校生監督が誕生することを想像したらとても興奮しました!

野球熱も高まるでしょうし、

日本全体の部活動にとっても素晴らしい影響を及ぼしうる取り組みになると思います。

 

もちろん従来のように、

プロの指導者から専門的な技術や勝利者となるメンタリティを学べる機会も重要です。

甲子園で活躍し、プロ選手になる夢を持った若者もたくさんいますから!

 

そうした選択肢も残したうえで、

生徒にとっても、先生にとっても新しい選択肢を提示できれば、

野球を愛し、野球から学ぶ若者の裾野も広がるはずです。

 

そしていつか、高校生監督が率いるチームが、甲子園で溌剌とプレーする日が来たら!!

そんな日を夢見ずにはいられません。

 

この記事を書いていて、

私もいつか、高校野球の発展に貢献できたらと強く感じました。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

相内洋輔

 

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人生を自分らしく!

相内洋輔

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