Wellcome to WiLL Office!

コロナで閉ざされ見つけた 画面の中のイーハトーブ

吉田松陰が残した和歌に「何事もならぬといふはなきものを ならぬといふは なさぬなりけり」という作品があります。ざっくり訳せば「どんなこともできないことはないですよ。できないのはやらないからですよ」という意味です。さすが黒船に乗り込み密航しようとした偉人、気合が違います。

私などは全く対照的で、コロナでリモートワークに支配されて以来、毎日よろずのことに気を奪われてきましたた。お昼を食べれば眠くなり、コロナの感染者が発表されれば心がざわつく。石原さとみはカワイイし、綾野剛の演技力には目が点です。YouTubeは沼。Twitterもしかり。冷蔵庫のビールをぐびっとやりたい。etc…

ただでさえ1日に何百通とメッセージが来て、集中のカーソルは慌ただしく揺さぶられます。にも関わらず、家での仕事には誘惑が多すぎる!

できないのはやらないからですよなどと大上段から言われても……、困る。松蔭先生、江戸時代にはスマフォもパソコンもなかったでしょう? 刺激だらけの現代で同じことが言えますか!?

この記事は、こんな雑念だらけの私がすごいリモートワークのシステムと出会ってしまったことについて書きました。

目次

集中力が嘘みたいに続くリモートワーク

集中力散漫な私でさえ、その空間では雑念が消え、外界からの刺激が気にならなくなり、時間があっという間にすぎます。もちろん、狂っているかのごとく仕事が進むのです! おかげで3時間も働くとやることがなくなるくらい(笑)

私たちはこのシステムを『WiLL Office』と名付けましたた。Zoomをつなぐだけで実施でき、気合は一切不要です。

WiLL Offise誕生のきっかけは、Hofficeというスウェーデンのサービスを知ったことでした。Hofficeはノマドワーカーに働く場所を提供するシステムで、2015年ころから始まったそうです。Airbnbのように自宅を開放し、働き場所を探している人々を招き入れます。ユーザー側はサイトを使って利用申請をし、コーヒーや茶菓子などを持ち寄れば参加が可能となります。金銭の授受は必要ないそうです。

なぜHofficeが成り立っているのか、初めて聞いた時はピンときませんでした。自宅を提供する側にはあまり得がなさそうだし、ユーザー側もカフェや自宅で十分ではないかと思ったからです。人脈を作ることが目的なのかとも思ったが、期待に見合わなそう。

Hofficeの基本ルールはざっとこういうことみたいです

  • 10人以下での実施を推奨する
  • 45分間作業をする。15分間休憩する。これを繰り返す
  • 作業前に目標を宣言する。作業時間が終わったら進捗を報告する

    お互いをサポートしあうコミュニティ

    いまいちよく分からずにサイトを検索してみたら、Hofficeの狙いがしっかりと書かれていました。

    私たちは、最も重要なことに焦点を合わせ、これに系統的かつ集中的に取り組むために、お互いをサポートします。私たちは自分自身とお互いに、自分たちの最適な作業プロセスと自分自身について継続的に学ぶ可能性を与えます。また、私たちは、仕事中に落ち着いて、幸せで、刺激を受け、創造的に感じるために必要なものを私たちとお互いに提供するようにしています。http://hoffice.nu/en/what-is-hoffice/

    なるほど!

    Hofficeは場所貸しをしているんじゃない。相互に前進するためのプロセスを提供しているんだ! だから人が集まるんだ!

    目標の宣言と制限時間が人をフロー状態へと導き、作業の報告に寄せられる他者からの称賛が幸福感情を生む。そのサイクルが循環するんですね。

    これはよくできている仕組みだと思いました。ワクワクして早速試してみたくなったことは言うまでもありません。

    しかしコロナ禍です。

    リアルに会うのは……。選択肢はオンラインしかありません。機能するでしょうか?

    とにかく仕事が進むWiLL Office

    45分間黙々と作業をしている人々が画面に映り続けるのはただただシュールです。本場のHofficeと違って、何も生まれないかもしれない。でもやってみたいと思いました。委託をいただいている(株)Palletのメンバーとも仲を深めたかったからです。

    そこで初めてオンラインHofficeを試みたのが1月6日。Palletのメンバーに声をかけたところ、2人の仲間が誘いに乗ってくれました。以来、私の世界は激変したのです!

    「ホフィス初体験! なんてクリアーで集中した時間を過ごせることか! これはやらない手はない!」

    この日の私の一行日記には、興奮の文字が踊りました。

    「2,000人が陽性でもホフィスをしていると少しも気にならなかった」

    翌7日の日記はこんな書き出しから始まっています。

    宣言したアウトプットを時間内で完成させるためには、余計なことに煩わされていてはダメです。次々とポップアップされるメッセンジャーの連絡も、Yahoo!ニュースの通知も全てスルー。ゴールを目指し、タスクにただ向き合う。まるでゲームをしているような感覚で、ただただ楽しかったのです!

    気づくと宣言した仕事は想定よりも大幅に早く仕上がっていました。そして全く疲労感ありませんでした。

    人は仕事をするから疲れるのではない。あちこちに集中のカーソルを合わせ過ぎて思考が混雑するために疲れるのだ!

    と思いました。

    少しのコミュニケーションでも参加者どうしの距離感はぐっと縮まる

    同様の事象は私以外の仲間にも起こっていました。みな一様に集中力が増し、溜まっていた仕事が次々に離れていったそうです。

    「45分作業したはずなのに、5分くらいしか経ってない気がする!」誰かが嬉々として声をあげましたた。みんなが深くうなずきました。大袈裟ではなく、本当にこんな時間感覚なんです!

    実際は6時間働いていても、感覚的には30分程度に感じられる日々が続くうち、私たちはオンラインHofficeに名前をつけたくなりました。Hofficeの肝である作業前の宣言と、Palletで扱っているサービス名にちなんで『WiLL Office』と名付けたところ、ますます愛着が湧きました。

    WiLL Officeの効果は、生産性の向上のみに留まりませんでした。会話の総量が増えたことによって、お互いの生活様式や価値基準、何に心を傷めているかなどがよくわかるようになったのです。お互いの壁が、どんどん透明になっていきました。

    直接のコミュニケーションが断たれた中で、お互いのことがよく見えるようになり、心の結びつきが強くなるとは望外でした。大袈裟かもしれないけれど、WiLL Officeで触れ合っている仲間の未来はずっと応援していきたいと思うようになりました。誰かとつながっている感覚は幸福感を高める。だから私はいま、コロナが蔓延して以来最も幸せです。

    禍転じて福となる、ということわざがあります。ワークショップデザイナーという対話の場づくりをしている私にとって、コロナはとんでもない脅威でした。歓迎できる要素などありません。だが、過去に戻ることはできない以上、現在の状況から収穫できること、未来に向けて違いを作れることを探そうといつも思っています。

    そうして偶然出会ったWiLL Officeは、思いも寄らぬ理想郷でした。仕事は進み、みんなとつながり、幸せを感じる。宮沢賢治は心象世界にある理想郷のことをイーハトーブという造語で表現してきましたが、私にとってみれば、私のイーハトーブが突然現実になったようなものでした。

    勤めを始めて12年が経ちます。その間ずっと、お互いのことを心から応援しあえる職場があればいいのにと思ってきました。それも日本中に。ごくごく当たり前に。

    そんなの無理だよ。

    誰に言われるまでもなく、ハードルは高いと思います。でも今、WiLL Officeのシステムでなら、世の中の職場に少しだけ違いを作れるのではないかと感じています。

    嫌いな人を応援できるわけがない。私はずっとそう思ってきました。でも、好きだから応援するのではなく、応援するから好きになるんだとわかったのです。そのためのシステムも見つけました。だからちょっとだけ自信が湧きました。できるかどうかは分からないけれど、これから関わる組織の一つ一つに、エッセンスを届けたいと思います。

    WiLL Officeの実践方法は、次のブログで執筆しました。ご興味があれば、ご覧ください。

    対話をもっとおもしろく。

    相内 洋輔

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