ワークショップは白魔法!

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。唐突ですが、私はよく「ワークショップを何かに喩えるとしたら、白魔法だな」と思っています。

白魔法とは、善なる目的で行使され、対象に良い影響をもたらす魔法のことを指します。RPGゲームなどでは回復系の魔法が分類されます。

一般的に、善なる目的で行使される魔術、対象に良い影響をもたらす魔術、といった意味でも用いられる語。 ゲームの「ファイナルファンタジー」シリーズでは、回復や戦闘補助などの効果を与える魔法を「白魔法」という。

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変化が激しい現代社会において、ストレスや不安は日常的なものとなっています。自分の心を置き去りにし、がむしゃらに走り回っている方々も少なくありません。こうした状態が続くと、知らず知らずのうちに心身が蝕まれ、バイタリティが低下してしまうものです。

そんな時に、ワークショップが「息継ぎの場」として機能するケースがとてもよくあるんですよね。落ち着いた環境で内省を深め、自分自身の本心を見つけられたり、新しい知識や視点を獲得した参加者が、別人のような表情で会場を後にされる姿を見ると、まさにワークショップは白魔法だなと形容したくなるのです。

この記事では、なぜワークショップが現代人の心を癒す効果を発揮するのか、言語化してみました。

目次

「相互承認」による癒し

ワークショップは、共通の関心や目的を持った人々が集まり、対話を通じて互いに学び合う場です。孤独感を感じることが多い現代において、他者とのつながりを感じられる場は貴重です。同じ興味や悩みを持つ仲間と出会い、共感し合える瞬間があると、自分の存在を「承認」された喜びが込み上げてきます。これが心の支えとなり、日々の孤独感を和らげてくれるのです。

残念なことに、会社組織においては「仕事の成果」と「承認」がセットになってしまっているケースがとても多く見られます。仕事の成果が高ければ承認され、低ければ承認されない、という関係です。私も営業として成果を出せない時期が続いた際、この状態を味わいました。何を言っても「仕事の成果が低いから」と否定されてしまう空気感が漂い、うまく息が吸えませんでした。当時を振り返ると「辛かった」の一言に尽きます。存在を承認されていないと感じる場で、人は自分らしさや成長の意欲を発揮することはできないのです。

本来、成果と存在の承認は切り離して扱うべきですが、なかなかそうはなっていないのが現状です。このため、毎日重たい鎧を身にまとい、粉骨砕身されている方々がたくさんいます。

対して、ワークショップでは「素の自分」でいることが大切で尊重されます。仮面や鎧を取り払い、自分自身のピュアな想いを発見できた時、世界の見え方・形はガラリと変わります。そして、それを誰かに承認してもらえたとしたら、なおさらなのです。

「創造性の解放」による癒し

ワークショップでは、クリエイティブな活動も多く行われます。アイデアを創造する、絵を描く、物語を編む、演劇を作るなど、創造的な活動は私たちの心を解放し、ストレスを軽減する効果があります。

また、自己表現は心理的な健康にとって重要な要素です。上述した例と重なりますが、日常生活では、自分の感情や思いを表現する機会が限られている方も多いでしょう。人によっては、嘘偽りの気持ちしか表現できていないという方もいるかもしれません。しかし、創造的な活動を通じて、自分の内面を自由に表現することができる場が提供されると、その制約が解放されます。

これらの活動は、自分の内面と向き合い、普段の生活では見過ごされがちな感情や思いをつかむキッカケとしてよく機能します。まだ言葉になっていなかった感覚を形にすることで、心の中に溜まっていたモヤモヤが解消されるのです。例えばLEGO®︎ SERIOUS PLAY ®︎などは、無意識の言語化にピッタリなワークショップです。

また、創作物を通して自分を承認してもらった感覚を得る、ということも珍しくありません。私は妄想アイデアトレーニング「モウトレ」というアイデア共創のワークショップをよくご提供しているのですが、「私このアイデア好き!」と言ってもらった瞬間の、発案者の嬉しそうな顔は、額縁に入れて飾っておきたいくらい、とんでもなく素敵なのです。

「学びと成長」による癒し

ワークショップは、新しい知識やスキルを学ぶ場でもあります。新しいことを学ぶという経験は、私たちの自己成長に繋がり、その過程で感じる喜びは非常に大きなものです。中でも「苦手だったことができるようになった」「できなかったことができた」という経験は、私たちの自己肯定感を大いに高めてくれます。

例えば、傾聴ができなかったミドルマネージャーが、体験学習を通じてコツをつかむとか、異性と話すことを恥ずかしく感じていた学生が、グループワークでの振る舞い方を学ぶとか、ワークショップでは様々な成長が生まれます。

自己成長を感じることは人生の質を向上させる重要な要素で、何かを達成したり、新しいスキルやスタンスを身につけたりすることは、自信の回復につながります。

つまり「私にもできるかもしれない!」「次からはこうしてみよう!」というBefore Ahterの変化は、心の器をエネルギーで満たし、人をとても勇気づけてくれるのです。

また、学びの過程で得た友人や仲間は、心の支えとなり、共に成長する喜びを分かち合う存在となり得ます。 同志の獲得は、もちろん相互承認にもつながります。

「外界から遮断される」癒し

ワークショップは、外界から遮断された状態で、今この瞬間に集中することができる環境が整っています。日常の喧騒から離れ、落ち着いた時間を過ごすことは、心身の緊張をほぐしてくれます。

現代社会では、私たちは常に忙しさに追われています。仕事や家庭、社会的な義務など、絶えず続くタスク処理に、息を吐く間もない毎日を過ごされている方が少なくありません。要求されるのは「スピード」と「正確性」です。

対照的に、ワークショップでは「じっくり」と「納得解」を探すことが重視されます。モードが正反対なのです。この点をもって、「贅沢な時間だった」という感想を抱かれる方々に、私はたくさんお会いしてきました。内面的な平穏を取り戻された方々のお顔は、本当にキラキラと輝いて見えます。

ワークショップはまた、デジタル機器から距離を置く時間でもあります。現代人はどこにいてもスマフォの通知に追われ、メールやLINEには即レスが求められ過ぎています。ニュースのタイムラインも次々にリフレッシュされ、情報の波に流されがちです。

ワークショップでの対話は、人と人がリアルに語りあう営みに関する根源的な喜びを呼び起こし、心に安らぎと癒しをもたらしてくれるのです。

白魔法の使い手を増やしたい!

かくいう私は、もともと黒魔法の使い手でした。攻撃することにしか興味がなかったと言いますか、若気の至りで、ガツガツしていたのですよね。このため、誰かを癒すなどと言ったワードとは無縁の人生でした。

ところがひょんなことからワークショップを行うようになり、コーチングとコミュニケーションについて学んだ結果、気づいたら白魔道士にジョブチェンジしていたのです。

そしてこのポジションから世界を見渡すようになってみたら、癒しのワークショップの需給バランスは、完全に崩壊しているように思えてなりません。喧騒にまみれた現代社会だからこそ、いっときの清涼感を求めている方々がたくさんいます。対して、そのような安心安全な場を提供でき、人に違いを作れるワークショップデザイナーは全然足りていないと思うのですね。

なので私は、白魔法を使えるワークショップデザイナーをたくさん育てることを目標にしています。弟子入りしたい! と思ってくださる方々が現れることを夢見て、さらに知見を増やしていこうと思います。今日はそんなエッセイでした。

対話をもっとおもしろく。

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