ワークショップ参加者の気持ちをワクワクさせる「投影資料」の作り方

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。仙台を拠点にワークショップの企画運営や、ファシリテーション、コーチングなど人が前進するための場作りを行っています。

私は自分がワークショップを運営する際は、必ずスライド(投影資料)を作成します。私の指示が分かりにくかったり、参加者が指示を聞き漏らしてしまったりした時に、投影資料があると混乱が生じにくくなります。

また、美しいビジュアルのスライドは、参加者の意欲を高める力も持っています。そのため見た目にこだわって、キレイに分かりやすく作るのが重要です。神は細部に宿ります。

目次

1スライド1メッセージを原則

まず、スライド作りの基本は1スライド1メッセージです。資料の視認性が高まり、参加者が容易にワークを理解できるようになります。そのためワークショップの投影資料も、この思想を原則としておくことをオススメしたいです。

なぜなら、スライド内の情報量が多すぎると、参加者の頭を混乱させてしまうからです。情報の収集・理解にメモリーを使いすぎてしまうと、参加者はワークに集中できません。

だから基本は1スライド1メッセージを徹底して、参加者の理解が容易になるよう意図しましょう。例えば、このような感じです。

オンラインワークショップでのアイスブレイク共通点探し

上記だとシンプルすぎる、情報が少なすぎると思われる方もいらっしゃると思いますが、口頭での補足と合わせて、過不足ない情報伝達を心がければ、問題なく進行できます。

長いワークは箇条書きで

ただし例外もあります。上記のような短くてシンプルなワークは、最低限のスライドで事足りますが、長い時間のワークや、複雑な作業をお願いするワークは、1テキストだけでは説明しきれません。

そうした場合は、このように箇条書きで大事なポイントを強調しておきます。

この時は、できるだけ文章を冗長にしないことが大切です。必要最低限のガイドだけ示しておき、それ以外の細かな点については適宜質問をしてもらうと対話がスムーズです。

フォントや図形の配置を整える

次にフォントや図形の配置についてです。こちらもスライド作りの基本のキですが、スライドの中に複数のフォントが混在すると目が散ります。つまり、読み手にとって不親切なのです。

そのためよほどの理由が無い限り、ワークショップの投影資料はフォントを統一しましょう。フォントは「混ぜるなキケン」と覚えておくほうがベターです。

ちなみに私は、最初は高校生向けのワークショップが多かったので、やや丸みがあるメイリオを基本に使っていました。現在は社会人向けのワークショップが中心になりましたので、游ゴシック一択です。スタイリッシュで視認性が高いため、よく場に馴染みます。

小学生などの参加者が多いは、ポップ調のフォントを使うこともあります。上記で例に出した「わたしのスキなもの」というスライドがそうです。

また同様に、図形の並びに規則性がなく、配置や間隔がガタガタになっているスライドや、文章の書き出し位置がずれてデコボコしているスライドなども要注意です。こうしたズレは、参加者に「なんとなく気持ち悪い」という感情を抱かせます。そうすると、場に没頭できる可能性がどんどん低下していってしまうんですよね。

なので、これぐらいならズレていてもいいか、なんて思わず、パワポの整列機能や補助機能を使って、できるだけピシッと整った資料をデザインしましょう。

こうした細かなところにこだわるのが辛ければ、ワークショップではスライドを使わない、というのも選択肢の一つです。不揃いなスライドは場に損失を生むばかりですから。

効果的な写真やイラストを選ぶ

私はワークショップの投影資料を作る際、場にぴったりな写真やイラストを選ぶことをとても楽しんでいます。良い写真やイラストが参加者に与える影響は、本当に大きいと思うんですよね。そのため私がスライドを作成する時に一番時間がかかっている作業は、何を書くか考えることではなく、どの写真を選ぶかです。

例えば暑い時期には夏らしい写真を選びますし、夕方〜夜のワークショップだったら、写真も同じくらいの時間帯のもので揃えたりしています。実施地域との関係もけっこう意識していて、岩手県宮古市で開催する時は浄土ヶ浜の写真を添えてみるとか、東京都狛江市では多摩川の写真を選ぶとか、その地域に馴染みのある一枚をチョイスしていますね。

余談ですが、組織開発のワークショップ等では、私はクライアント様の企業カラーに合わせた配色・ハイライトを行っています。社名ロゴが緑色の企業様だったら薄緑と緑で配色したり、紺だったら水色と濃紺、といった感じです。そして、このカラーによくフィットする写真を探します。

LEGO SERIOUS PLAYのメソッドから『宮古につくりたいもの』を探究するワークショップ2

ちなみに私はphoto ACという写真サイトに登録しています。どの写真も商用利用OKであり、種類も豊富なため、だいぶ写真を選ぶ手間が減りました。こちらに登録すれば同系列のイラスト ACなども同時に利用できるので、本当に助かっています。

分かりやすい投影資料は自分自身も助ける

こうしてスライドを作成していくと、参加者のためだけではなくって、実は自分自身にもいい影響があります。

指示が分かりやすいから、参加者はワークに集中できるはず!

キレイな写真で、きっと参加者の意欲も高まるはず!

と、実施するワークショップに対して自信が持てるようになるんですよね。

また、ワークショップの流れをしっかり伝えられる資料ができていれば、当日のファシリテーションにも余裕が生まれます。参加者にワークの説明をするのってけっこう大変なわけですけれど、自分が作った資料をひとつひとつ読んでいけばしっかり伝えることができると思えていれば、その分のリソースを、参加者や場の状態をチェックする方向に使うことができるんですよね。だから、投影資料の作り込みはワークショップの成果に直結するのです。

ファシリテーターとしてのリード力に、投影資料が持つ力が最大限にかけ合わされると、ワークショップはもっともっとパワフルな空間になるはずです。ぜひワークショップデザインやファシリテーションだけではなく、投影資料のクオリティも探究してみてください。

過去の投影資料例

以下、これまでに作った投影資料の一部です。よければご参考ください。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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