「働きやすい職場環境や業務効率化につながるコミュニテーション術」について講演

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。先日、山形社会福祉協議会様にご依頼をいただき、「働きやすい職場環境や業務効率化につながるコミュニケーション術」という演題で講演をさせていただきました。

福祉施設などで働かれている方々20~30名ほどが対象の研修会でした。

目次

これからの時代に欠かせない「心理的安全性」

今回の講座ではまず始めに心理的安全性を取り扱いました。

「ちなみに皆さんの中で、心理的安全性について知っている方ってどれくらいいらっしゃいますか?」とお尋ねしたところ、珍しくどなたの手も上がりませんでした。これは伝え甲斐があるなと感じ、いつも以上に熱が入りました。

というのも、最近の若者の多くは心理的安全性という言葉をよく知っているんですよね。そして、心理的安全性が高い会社を良い企業とみなし、無頓着な会社を前時代の遺物として敬遠しています。つまり何が言いたいかというと、人手不足が深刻になっている福祉の分野に若者を呼び込むため、定着を促すためには、心理的安全性は避けて通れないポイントだと思ったのです。

また、最近は時代の変化がすごく早く、かつ複雑になってきています。例えば今だったらコードもAIで書けちゃう。本当にびっくりするんですけど、プログラミング経験の無い小学生でも、ChatGPT使いながらコードを書いていくと、半日くらいでテトリスが作れちゃうんですよ。

こうした時代には対話が欠かせません。前の時代と違って、みんなが信じるに値する確固たる正解が見えなくなってきているため、さまざまな知恵を出し合い、それぞれが納得して前に進める案を生み出す必要があるからです。そのためにはまず、心理的安全性です。

なのでぜひこの概念は押さえていただいて、関係の質を高め、いい組織づくりに繋げてほしいなと思いました。

コミュニケーションとアンコンシャス・バイアス

それからコミュニケーションとアンコンシャス・バイアスについてお話をさせていただきました。とても興味深かったのは、心理的安全性とは打って変わって、会場の皆さんがアンコンシャス・バイアスについてご存じだったことです。きっと医療や福祉の現場ではよく使われているのでしょうね。

まずコミュニケーションについてですが、「コミュニケーションはキャッチボール」というメタファーをよく見聞きされる方が多いと思うのですけれど、改めてここからお話をさせていただきました。

相手に投げっぱなしじゃなく、補りっぱなしでもなく、きちんとボールが往復すること。相手に何かを伝えるときは、相手が取りやすい球を投げるということ。トゲトゲの球や、豪速球を投げ込めば、なかなかキャッチできませんよね。お互いに気持ちよくキャッチボールできるよう、球の大きや形、速度などに気を配ることが大切です。

また、我々は言語でのコミュニケーションを重要視しがちですが、非言語でのコミュニケーションからも、様々な情報がダイレクトに伝わる、ということは押さえておく必要があります。具体的には、表情や態度、仕草などの視覚情報、声のトーンや口調などの聴覚情報などのことです。目は心の鏡なんてことわざがあるように、これらは時に、言葉で語る以上の情報伝達力を持ちます。機嫌や、意見への納得度合いなどはその最たるものです。

アンコンシャス・バイアスについては、代表的なバイアスを15個ほどご紹介し、自分がよく陥りがちな思い込みがないかについて内省していただきました。対話をする際、私たちはそれぞれどんな無意識の思い込みを持っているのだろうか? と少しだけでも想像することができれば、コミュニケーションのかけ違いはぐっと減ります。

合意形成の6パターン

講演の最後は、円滑な合意形成についてお話しさせていただきました。このテーマについて、私まず真っ先にお伝えしたいことは、プロセスの重要性です。

というのも、どれだけ良い提案を持っていっても、意思決定のプロセスに納得していない方がいると、うまく物事が進まなかったりするのです。特に部下から上司に提案する時は、この状況になりがち。

なので、合意形成を円滑にするための一丁目一番地は、合意形成に関わる人に「こういうプロセスで物事を進めていきますね」と事前に伝えておくことなんですよね。その上で議論を進めていって、途中途中で「現在はこういう状況です」と経過をご報告しながら、最後こうなりましたと結論をお伝えしていくと、いきなりひっくり返されるということがかなり減ります。まずプロセス合意しておくということ、これすごく大事なのです。

また、覚えておくと役に立つのが「合意形成のパターン」について。実は合意形成のパターンって、6個もあるんです。合意形成と聞くと、「お互いがすべてパーフェクトに納得しあった状態」がゴールであるというイメージが湧く方が多いと思うですけれども、それって皆さんの日々の合意形成を苦しくしちゃってるんじゃないかなと。

でも、実は合意形成って段階的なパターンがあって、お互いの意見が完全に一致していなくても、空気を悪くせずに対話を進めていけるんだと安心感を持つことができたら、もっと気が楽になって、うまく会議を進められることが増えると思うのですよね。特に「上位レベル合意」と「プロセス合意」は転ばぬ先の杖です。ぜひ日頃の合意形成に活かしていただけたら嬉しいなと思いました。

ご依頼をいただきありがとうございました。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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