依頼から当日まで ~ワークショップ実施の流れ、全公開~

「ワークショップをお願いしたいのですが、何をどこまで相談すればいいのか、わからなくて」

お問い合わせをいただくとき、よくこんな言葉を添えられます。ワークショップの発注は、多くの方にとって初めての経験です。研修会社のパッケージ研修と違って、メニュー表があるわけでもありません。

だからこそ今日は、私がご依頼をいただいてから当日を迎えるまで、実際にどんな流れで進めているのかを全部お見せしようと思います。発注を検討されている方の不安が、少しでも軽くなればうれしいです。

目次

すべては「お困りごと」のヒアリングから

最初のお打ち合わせで、私はワークショップの話をほとんどしません。意外に思われるでしょうか。

代わりにうかがうのは、組織のいまの状態です。会議で発言する人が固定化していないか。決まったはずのことが、なぜか動き出さないことはないか。メンバー同士が本音を出せているか。そうした「お困りごと」を、時間をかけて聞かせていただくのです。

なぜなら、ワークショップは手段であって、目的ではないからです。「対話の場をつくりたい」というご相談の奥には、必ず「本当はこうなってほしい」という願いがあります。その願いに触れないまま場だけを設計すると、当日は盛り上がったのに翌週には何も変わっていない、ということが起きてしまいます。

このヒアリングは、だいたい60〜90分。ここでうかがった言葉が、後のすべての土台になります。「うちの課題って、こういうことだったのか」と、お話しいただく中でご担当者自身の解像度が上がっていくことも、実は少なくないんです。

当日の何倍も時間をかける、プログラムデザイン

ヒアリングのあと、企画書とお見積りをお出しして、ご納得いただけたらいよいよ詳細な設計に入ります。

3時間のワークショップであれば、設計にはその何倍もの時間をかけます。問いの言葉をひとつ選ぶのに、何案も書いては消すこともあります。「あなたの理想の会議は?」と聞くのか、「最近、いい会議だったなと思った瞬間は?」と聞くのか。たった一行の違いで、参加者の口から出てくる言葉はまったく変わるのです。

設計の途中では、ご担当者と進行案を共有して、すり合わせのミーティングをはさみます。「この問いは、うちのメンバーには少し抽象的かもしれません」といったフィードバックは、本当にありがたいものです。現場を一番よく知っているのは、ご担当者だからです。私の専門性と、皆さんの現場感覚。その両方が合わさってはじめて、その組織のためだけの場が立ち上がります。

会場のレイアウトや備品の確認、当日の役割分担まで決まったら、準備は完了です。

当日は、つくり込んだ計画を「手放す」日

そして迎える当日。ここで私が大切にしているのは、少し逆説的ですが、つくり込んだ計画に縛られないことです。

ワークショップが始まると、場には必ず「予定外」が生まれます。想定より早く本音が出始めることもあれば、空気が固くてアイスブレイク(緊張をほぐす導入の活動)を延ばしたほうがいい日もあります。私はその場の表情や声のトーンを見ながら、問いの順番を入れ替えたり、対話の時間を伸ばしたりします。

緻密に設計するのは、当日その通りに進めるためではありません。何が起きても対応できる土台を持つためなんです。地図を隅々まで描いた人だけが、安心して寄り道できる。そんな感覚に近いかもしれません。

終了後は、ご担当者と振り返りの時間を持ちます。当日見えたこと、次の一歩につながりそうな兆し。場は一回で終わっても、組織の変化はそこから始まるからです。

おわりに

依頼から当日まで。流れをまとめると、ヒアリングで願いを聞き、時間をかけて設計し、当日はその設計を土台に場と一緒に動く、ということになります。

もしいま、組織の会議や対話に引っかかりを感じているなら、その「うまく言葉にならないモヤモヤ」のままで構いません。お聞かせいただくところから、すべては始まります。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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