ワークショップで使う「投影資料」はバックアップを忘れずに

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。私はワークショップを行う際、必ず投影資料を作成します。口頭だけの説明ですと、参加者の皆さんが指示を聞き取れなかった際や、確認しながら作業を進めたい際などに困ってしまうからです。

上記の状態ではワークの進行がもたつきますし、本来実施いただきたい内容と微妙に異なった方向でワークを進めてしまうなど、解釈違いも発生します。つまりデザインしたワークショップの効果が十分に発揮されなくなってしまうのです。

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投影資料はワークショップ運営の頼もしい味方

そこで私は、毎回投影資料を映してご説明をしつつ、ワーク中にやっていただきたいことを明示したページを投影し続けておくことで、参加者の皆さんがいつでも現在地を把握できるよう徹底しています。

また、美しい投影資料が表示されていると、参加者の気持ちが前向きになって、ワークショップへの没入感も高まります。場の雰囲気づくりにもすごく有効であるため、この力を活用しない手はないなと思うんですね。

裏を返せば、投影資料が存在しないと、効果的なワークショップをご提供する難易度が上がるということ。投影資料は、私にとってワークショップ運営の最重要アイテムなのです。

にも関わらず、「投影資料が映らない」という最悪の問題が、年に何回か起こるんですよ。会場の皆さんに動揺がうつらないよう、努めて明るく振る舞いますが、正直この時は生きた心地がしないですね(笑)

ただ有り難いことに、「パソコンをを繋ぎ変えたら映った!」と解決に至るケースがとても多いのです。そのため、自分のPCから、他者のPCに投影資料を移すことさえできれば、大問題となるリスクは低減します。

こうしたトラブルを避けるため、私は以下に備えたうえで、ワークショップの会場へ向かっています。

クライアントへの事前送付とバックアップPC持参のお願い

まず始めに行うのは、投影資料の事前送付と、バックアップPC持参のお願いです。自分のノートパソコンでは投影がうまくいかない際、クライアントのPCから投影していただけるよう備えておくのです。

自分のパソコンから投影がうまくいかないパターンのひとつに、クライアントがお持ちのプロジェクターの接続方法が複雑、というケースがあげられます。専用のデバイスをつないで、インストーラーを起動して、認証を受けて、といった作業が必要になることがあるのです。こうしたプロセスのどこかでエラーが起こると、PCとプロジェクターが接続されません。

ただ、クライアントは日常的にそのプロジェクターを使っているため、容易に接続可能です。このためうまく作業が進まない時はスパッと諦め、先方のPCで投影いただくように依頼し、ワークショップに集中する方が無難です。

また、非科学的なのであまり言いたく無いのですが、パソコンとプロジェクターの相性が悪いのかな…? としか形容できないようなケースも稀にあります。時にはクライアント様から「Macをつなぐと調子が悪い。Windows機なら問題ない」と教えていただくことも。この際も、誰かのパソコンにつなぎ変えるのが最も有効な対応手段になります。

こうした理由から、投影資料は事前に送付し、バックアップをPC持参いただけるようお願いしておくことが、投影トラブルを避ける最善の策になります。

また当然ですが、コネクターはHDMIとVGAの双方に対応できるよう準備しましょう。過去にはVGAしか用意されていない会場もありますし、どちらかのケーブルが不調になっているケースも何件かありました。どちらか片方だけにしか接続できないのはトラブルの元です。

USBに投影資料を格納しておく

次善の策としては、投影資料を他者へすぐ共有できる状態を用意しておくことです。上記のように事前送付をしていても、クライアントがダウンロードして持ち歩いてくださっているとは限りません。また、パソコンがオンライン環境になければ、いくらメールで送っていても取り出せません。

このため、私は必ずUSBメモリーを会場に持参するようにしています。USBに資料を格納さえしておけば、自分のパソコンに不調が起こった際、すぐクライアントのPCへデータを移行できるからです。

また、当日お借りする代替機がクライアント様のパソコンだけとは限りません。私はまだ経験がないですが、状況によっては、参加者の私物をお借りしてでも投影環境を整えなければならないことがあるだろうと思われます。

例えば自分のパソコンがプロジェクターに繋がらなくて、クライアント様はパソコンの電源を持ってきていなかった、等のエラーが重なる可能性は、一定存在します。

この時、投影資料のデータをその場で移す手段がなければ、即座に詰んでしまいます。USBごと会場のどなたかに借りることもできそうですが、さすがにそこまでいくとスマートではないと思うので、お守りとして、カバンにひとつ忍ばせておくに越したことはないと思うのです。

情報量が多いワークショップほど投影資料が重要に

もちろん、投影資料を用いないワークショップのスタイルもたくさんあります。演劇系のワークショップや、じっくりとダイアローグに取り組むワークショップなどは、むしろ投影資料を介在させないほうが、場に良い効果を生むこともあるでしょう。実際私は、演劇や自然体験活動のワークショップから企画運営を始めてきたので、当時は全く投影資料を使っていませんでした。

これらに対して組織開発やコミュニティデザイン等のワークショップは、前提を揃えるためのインプットや、各ワークの指示など、全体を通じた情報量が多くなる傾向にあります。クライアント様によっては、講義形式+ワークショップの形でご依頼をいただくことも珍しくありません。

また、演劇や自然体験のワークショップは比較的自由度が高く、即興的に進行する余白も大いにありますが、組織開発やコミュニティデザインのワークショップでは、進行にある程度の枠組みを設け、ゴールに向けて着実に成果が積み上がっていくようデザインすることが大半です。こうした背景から、正確な情報伝達がワークショップの成否に直結しやすいのです。

実りあるワークショップのためには、投影環境を整えることが欠かせません。これから何度もワークショップを運営していく方は、ぜひどんなトラブルが起こっても投影資料を映せるように、工夫を凝らしていただけたらと思います。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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