考えをまとめる数秒の時間を稼ぐファシリテーションのテクニック

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。引き続き『1秒で答えをつくる力』をフックに、ワークショップやファシリテーションについて書いてみます。

今日取り上げるのは、ファシリテーション中に困ってしまった時の時間稼ぎテクニックについてです。

目次

まずは反応してから答えを探す

ファシリテーションをしていると、ここからどう進めよう…? と迷う時がよくあります。特に参加者の方から予想外の発言が飛び出したり、回答が難しい質問をいただいたりすると、ファシリテーターの心臓は一瞬でバクバクです。

舵取りを誤ると場のテンションが一気に消失してしまうケースもあるので、回答はできるだけ慎重にしたい。

でも変な間が生じるのも悪影響なので、テンポよくストロークを重ねていきたい。ファシリテーターには、あまり熟考する時間はないんですよね。さあ困った。

実はこうした時に数秒の時間を稼ぐテクニックがあり、熟達したファシリテーターほど、自然とこの技を活用しているように思います。

何かというと、とにもかくにもまず反応することです。ベテランのファシリテーターは、反応しながら考えるのです!

ちょっとした語句を前置きにして数秒を稼ぐ

この点について『1秒で答えをつくる力』では、「そうですねで時間を稼ぐテクニックが紹介されています。

何かハッとするような状況に出くわしたら、思考停止で返答を遅らせるのではなく、まずは「そうですね」と相手の話を受ける。そして、この1~2秒を有効に使って、自分の考えをまとめるというものです。

同書には「そうですね」の次に、「僕が思うには」を合わせることで、さらに多くの思考時間を稼ぐ方法が示されています。

これ、本当に有効です。

私もよくこうした語句を挟んで、思考を整理する時間を捻り出しています。

例を挙げると「なるほど、その視点は考えたことがありませんでした」「お話を聞いて私が感じたことを整理してみると」「ご意見の表明ありがとうございます」などなど、まずは相手の話を受ける形で応答します。そして、この間に頭を高速回転させるのです。

たったプラス数秒と馬鹿にするなかれ。このほんの数秒があれば、複数のルートを想像できたり、自分の中にあるモヤモヤを特定することができたり、どうつなげば場がより盛り上がるかをイメージできたり、やれることは無限にあるのです。

質問を活用して数十秒を稼ぐ

ただし、これらの僅かな時間稼ぎをしても答えがまとまらないコトだって当然あります。

そんな時にはさらに2つの奥の手がありますので、ご紹介しておきたいと思います。ひとつは、発言してくださった方に質問をするというテクニックです。

「ご意見ありがとうございました。そうですね、いまお話をお聞きしていて、ご意見のポイントは〇〇ということだったかなと解釈をしましたが、齟齬や付け足しはありますか?」

「ありがとうございます。興味深いご意見ですね。もう少し理解を深めたいと感じましたので、改めていただいたご意見のポイントを簡単にまとめていただけませんか?」

など、前後の流れを壊さない形で質問を作って、質問の答えをお聞きしながら考えるやり方です。「YES / NO」で答えられてしまうと時間を稼げないので、そうならない質問を作るのがポイントです。

これで場合によっては、さらに数十秒の検討タイムを得ることができます。

もうひとつは、テンパっていることを宣言するというテクニックです。ファシリテーターたるもの、シャキシャキとと場をリードできるに越したことはないですが、人間ですから困る時だってあります。それを隠さず、思いっきり開示してしまうのです。効果音で表すとしたら「てへっ」。

ここでちょっと惚けた感じや、人間らしい感じを出せると、参加者からの信頼を損ねませんし、むしろ好意を持って受け止めてくれることさえあります。ダメな時は、下手に取り繕わない方が良い結果になるものです。

ほんの一呼吸が的確な言葉探しを助ける

場の流れは壊さず、自分の思考を整理するテクニックを身につけておくと、様々なファシリテーションシーンで役に立ちます。

また、こうした間のつなぎ方は、当然ビジネスシーンや日常の会話でも効果的です。ほんの一言の前置きから会話を進めるだけですので、かなり汎用性が高く、アレンジも効きます。

どうにか考えをまとめる時間を作りたい、というシーンで、ぜひ試してみていただけましたら幸いです。このテクニックに慣れるだけで、ファシリテーションはだいぶ余裕が生まれると思いますよ。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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