ワークショップの成否に直結する「グループ分け」の要点

対話の成否は、グループ分けの影響を大きく受ける

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。先日とあるワークショップに参加する機会を得ました。久しぶりのワークショップ参加でとてもワクワクしていたのですが、私のグループの対話は散々なものでした…。純粋に自分以外のファシリテーターがリードする対話を楽しみたいと思っていたので、ちょっとショックでした。

目次

グループ分けは対話の質に直結する

ワークショップ運営にはいくつもの改善点があったと感じましたが、中でも一番どうにかしなければならないと感じたのが「グループ分け」についてです。この日のワークショップは、参加者が自由に着席する形式で、誰とグループになるかの選択は全て参加者に委ねられていました。私が座った席のグループは、たまたま過半数の方が同じ会社からのご参加で、上司と部下の関係でした。

ところがこの上司さん、あまりワークショップへ参加したくなかったようなんです。「こんなテーマは興味がないんだよ。オレは忙しいんだから」と開始2分で不満タラタラ。それを見た部下の方は上司の一挙手一投足に全集中、これ以上ご機嫌を損ねないように必死でした。参加したくないのに参加している(させられている)は、ワークショップあるあるですから、取り上げて驚くほどでもないのですが、ここまで明確にやりたくないと宣言されてしまうと、周囲はどうしようもありません。

当然、メインワークも盛り上がらなかったわけです。心理的安全性に乏しく、意見を表明したとて否定されてしまうであろうピリピリした予感が蔓延していましたから、ほぼ全員が「どうやってこの場を無難にやり過ごすか」にしか興味を持つことができなかったように思います。主催者であるメインファシリテーターがうまく介入しこの空気感を緩和してくれないだろうか、という期待も虚しく、時は無情にも過ぎ去るのみでありました…。もし、ワークショップに初めて参加した人がこのグループに放り込まれていたら、その人は二度とワークショップに参加したいとは思わなくなることでしょう。こうやって「ワークショップは嫌い」と思う方が増えていくのは、私は耐えられません!

今回の経験から改めて大切だなと思ったのが、冒頭に書いた「グループ分け」です。その理由は2つありまして、ワークショップにはフラットインポータンス(重要性の平板化)と、越境的学習が欠かせないからです。

フラットインポータンス(重要性の平板化)と越境学習

フラットインポータンス(重要性の平板化)とはつまり、お互いの肩書を外して、対等に話し合えること。こうした土壌がなくして、ワークショップは成立し得ません。この点においては、青山学院大学でワークショップデザイナー育成プログラムを運営されている狩宿教授が書かれた記事内で取り上げられていますので、もしご興味があればこちらをご一読ください。

越境的学習は字面から意味をご想像いただけるとおり、ワークショップでは異質な思考、文化を持った人どうしが交わることから相互作用が起こり、お互いにとって重要な発見の生成へと至ということです。

ここまでの流れを整理してみると、先日私が参加したワークショップは、

・同企業の上司と部下という関係をそのまま持ち込み、お互いの肩書を外し対等になるのが難しかった

・同質な参加者(同企業)が固まってしまい越境的学習が起こりにくかった

という状態に陥ってしまっておりました。

こうした状況を避けるために主催者が意識しておくべきポイントはとてもシンプルで、同じ組織の人はできる限り分散してグループを作るに尽きます。そうすることで、自然と参加者それぞれの肩書が外れ、フラットな関係で対話に向き合える可能性が高まります。そのうえで、参加者の所属企業や役職、性別や年代などを基に、なるべく異質な人どうしがグループになるように配慮できると、対話の質がぐんと深まりやすくなります。

たったこれだけの事前準備でワークショップの明暗が分かれるとしたら、やらない手はないと思いませんか?

私はもっともっと日本に機能するワークショップが増えて「ワークショップって面白い!」と思える人がたくさん現れたらいいなあと思っています。

良い対話が増えるということは、それだけ新たな可能性が生まれ、モチベーションが湧き、イキイキと毎日を過ごす人が増えることにつながります。今回の体験は、改めてこうした自分の願いを思い返すきっかけになりました。

もしまたどこかでご一緒する機会があれば、今度こそは皆さんと良い対話ができますように。だって、対話って面白いからー!

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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