「自分の直感」を信じる ワークショップ運営

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。私は2004年頃からワークショップに没頭し始めたのですが、ワークショップ運営に長く携わっていると、使い勝手がよく、参加者の満足度も高い「必中ワーク」のレパートリーが増えていくものです。

即興性が高く、何が起こるかを予想し切れないワークショップにおいて、計算が立つワークの価値は計り知れません。柱となるワークがしっかりしていると、場作りが安定するんですよね。そのため私も、ワークショップをデザインする際は、自分にとっての定番ワークが必ず頭の片隅に存在しています。

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「なんだかダメな気がする」という直感は重要なサイン

ところが。

先日ワークショップをデザインしていたところ、「今回はこのワークを使ってはいけない気がする」と、急にイヤなイメージが湧いてきました。理由は特に見当たらず、ピンときた、という表現が最もしっくりきます。とにかく、なんだかダメな気がしたのです。

これまでの実績が優れているワークですし、具体的な懸念があるわけではないので、そのまま使うこともできました。でも私は、この「なんとなくイヤな感じ」を重要なサインだと思っているんですよね。

たとえば私は渓流での釣りが好きで、毎週山の中を歩き回っています。渓流はとても美しい景色を楽しめる反面、沢山の危険が潜んでいる場所でもあります。雨が降ればあっという間に濁流となり、身動きが取れなくなってしまうこともあれば、目眩がするほど急峻な斜面を上り下りしなければならない時もあります。人の何倍もあるような大きさの落石や、倒木、野生の動物などにも注意が必要です。

携帯の電波はほとんど届きませんので、もし何かあっても助けを呼べません。そのため、(これはヤバイかも?)という感覚が湧いた時は、即安全を確保するに限ります。釣り人はどこまでも魚を追い求めたくなるものですが、撤退する / しない の判断を間違えると、取り返しがつかなくなります。

実際私は、ソロ釣行の際に不安を無視して斜面を登り、崖上で後にも先にも進めなくなってしまった苦い経験があるのですが、誘惑に負けてアラートを押さえ込んでしまうと、ロクなことにならないのです。

直感は経験や知識から生まれる

こうした「なんか嫌だな」と感じさせるものの実像をつかむには、『センスは知識からはじまる』という本がとても参考になります。

センスというと、やや抽象的な概念で、つかみどころが無いもののように感じられますが、同書では「数値化できない物事の良し悪しを判断し、最適化する能力」と明快に定義しています。センスについて、これ以上に分かりやすい言語化を、私は見聞きしたことがありません。

また、センスは「知識の集積である」とする説明も、非常に納得感があります。生まれつきオシャレだから服のコーディネートが上手なわけではなく、様々な情報を集め、活用することを通じて、オシャレのセンスが芽生えます。

つまり、蓄積した膨大なデータがあるからこそ、いま直面している状況への勘が働くようになるということです。

ワークショップは人の心を扱うので、まさに良し悪しを数値化することが難しい対象です。このため、論理的な思考ももちろん大切ですが、直感もまた、大切な判断材料になります。

自分の直感に委ねた判断の割合を増やすススメ

ワークショップでは、直感を働かせるべきシーンが主に2つ存在します。

1つはワークショップをデザインする時です。想定される参加者にどんなワークをご提供したらクライアント様の依頼を達成できるか、学びや成果が最大化されるかを設計する際、直感は非常に重要な役割を果たしてくれます。

もう1つは当日のファシリテーション中です。会場に来てくださっている参加者がどのような状態で、いま何を求めているのかをつぶさに観察しながら、どうすればより場が開いていくのかを考え続ける過程で、自分の中にピンとひらめいたアイデアを拾えるか否かは、場のクオリティに直結します。

ワークショップってその場限りで、極めて即興的です。二度と同じ条件にならないので、毎回絶対に外したくないもの。だから安全にやろうと思えば思うほど、頭で考えて置きに行ってしまいたくなりますが、ここで直感に委ねられるかどうかが、初心者と中級者の分水嶺だなと度々思います。つまり、勘が働くだけの経験を積んできたかの差が出るんですよね。

このため、なんとなくピンとくる瞬間が増えてきた方には、ぜひその直感を信じた場作りを行ってみてほしいなと思います。間違いなく新たな次元のトビラが開きます。

また、最近の場作りにモヤモヤしているという方は、直感に委ねる割合が少なくなってしまっていないか、チェックしてみると良いと思います。思い切って即興的に振る舞ってみることでブレイクスルーが生まれること、よくありますから。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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