WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。8月〜9月にかけて、認定NPO法人カタリバ様にワークショップとファシリテーション研修をご提供させていただきました。
カタリバ様には、以前にも度々ファシリテーション研修をご依頼いただいております。リピートのご依頼は本当に嬉しいです!
今回はワークショップ1回、ファシリテーション研修2回という構成で、研修をデザインさせていただきました。
バリューズカードを使った相互理解
ワークショップは「相互理解を通じたチームビルディング」をテーマに開催しました。始めに扱ったのは、擬音語・擬態語を用いたチェックインです。50個の擬音語・擬態語の中から、最近の自分にピッタリな言葉を見つけていただき、理由と共にシェアしていただきました。
選んだ擬音語・擬態語の中には、「しゅーしゅー」「ほくほく」「ぎざぎざ」「じわーっ」「すいすい」「そわそわ」のように全く異なる質感の言葉もあれば、「るんるん」「りんりん」などのようにとても近しい質感の言葉もあります。これらをひとつひとつ味わっていただきながら、自分にとって最もしっくりくる言葉を探していただきます。
それからバリューズカードを用い、個々人の価値観を深堀りしていただきました。バリューズカードには、価値観が書かれたカードが89枚入っています。山札から順番に引きながら、自分にフィットするカードを常に5枚だけ手札に残します。
こちらも「支援」「貢献」「フォロワーシップ」など、意味的に類似するカードが複数ラインナップされています。上記のアイスブレイクから言葉の微細な違いを楽しんでいただいたことで、参加者の感度はとても良好。あちこちから「自分らしい言葉はこっちなんだよな」という声があがり、スムーズな取捨選択がなされていました。
そうして残った5枚の価値観を眺めていただきながら、なぜ自分はこの価値観を大切だと思うのか、背景にはどのような経験が潜んでいそうかを探り、ライフストーリーをシェアしていただきました。
知らず知らずのうちに身につけて来た個々人の価値観は、普段の言動に色濃く滲んでいるものです。バリューズカードを使った自己探究〜シェアは、お互いにとって、その謎解きとなります。「だからこの人は、いつも〇〇を大切にしているんだ!」という発見は、チームメンバーとの結びつきや、リスペクトの気持ちをより強くしてくれるものです。
ファシリテーションの基本動作
ファシリテーション研修では、まずファシリテーションの基本動作をお伝えしました。今回のご参加者にはファシリテーションが初めてという方もいらしたので、『ソーシャルデザイン実践ガイド 地域の課題を解決する7つのステップ』から下記の一文をご紹介させていただきました。
ファシリテーションって、不慣れな方からすると、なんだかとても難しいスキルのように見えがちだと思います。実際、初心者の方々ににお話を聞くと、間髪を入れず「私なんかにできるわけがない」という声が返ってきます。
ですが、このように自分から壁を高く設定してしまうと、マインドが硬直し、講座の吸収率が著しく下がってしまうのではないかと思うのです。そこでこちらの文章を引用させていただき、身構えなくてOKというメッセージを強調しました。
そして実際、ファシリテーションの真髄って、こちらにまとめていただいている通りだと私は思います。「相手の話をしっかり聞く」「確認 / 深堀りの質問を投げかける」「共通項を中心にまとめる」「参加者の様子を伺い気遣う」ということができれば、ファシリテーターの役割は十分に果たすことができます。
オンライン / 対面 のファシリテーションは別物
今回ご依頼をいただいた部署では、業務の性質上オンラインでのファシリテーション機会が多いそうでした。ただ、年に何度かは対面で会合を主催されることもあるとのことで、オンライン / 対面 それぞれの要点についてもお話をさせていただきました。
同じファシリテーションでありながら、オンラインと対面とではリズムが全く異なります。取得できる情報にも開きがあるため、観察すべき点と、その結果(参加者の反応)をどれだけ進行に反映するかは、それぞれ別物として考える方がベターです。
このあたりを混同してしまうと進行に悩みが生じるだろうと思いますので、私が意識している点を対比して伝えさせていただきました。
拡散〜収束のファシリテーション実践
それから、複数名の方にファシリテーションを実践していただきました。対立が生じるトークテーマをお渡しし、意見の拡散〜収束を促していただく実践です。
今回は短い時間ではありましたが、安心安全な場づくりに始まり、質問を通じた意見の拡散、共通項を起点にした意見の収束と合意形成の流れをトレースしていただきました。こうして一つのフォーマットを身につけておけば、他の場でもファシリテーションに取り組みやすくなるのではないか、と私は思っています。
と言うのも、ファシリテーションはスポーツと似ているところがあって、いくら頭で理解していても、実際にうまくできるとは限らないのです。上達の唯一の方法は、実践回数を重ねること。
このため、まずはどんな小さな話し合いでも構わないので、積極的にファシリテーターの任に着いてみることが重要です。この際、素手で挑戦するのは怖いですが、一つでも頼れるフォーマットを持っていれば、少しは背中が押されるのではないかと思うのですね。
私は常々、日本の会議にはファシリテーターが必要だと思っています。ツマラナイ / 意味がない / 何も決まらない 会議が溢れすぎています。これは国全体にとって大きな損失です。
微力ではありますが、こうした研修を通じて「ファシリテーションをやってみてもいい」と思える方が増えたら嬉しいなと思っています。
ご依頼をいただきありがとうございました。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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