ワークショップの開幕は「主催者の挨拶」がとにかく大事!

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。先日とあるワークショップを開催したのですが、主催者の方から受講者の方々へ、研修の目的をしっかりと伝えてもらえたので、かなり円滑に話し出すことができました。

本当に有り難いです。このような場では、ストレスなく場作りに没頭できます。

逆に、研修担当の方が会の目的などを一切説明せずに、「じゃあお願いします」といきなり丸投げされる現場もあります。こういうパターンの時はめちゃくちゃ暗雲で、私の脳内ではけたたましくアラーム音が鳴り響きます。ハッキリ言って、冒頭から大ピンチです。

目次

主催者の一声が無いと「器」が完成しない

というのも主催者の冒頭の挨拶って場作りにおいてはすごく大事なピースなんです。今日が何を目的にしていて、どんなことを期待している会なのかを主催者から伝えていただけると、場がしっかりと定義されるんですね。

そうすると、参加者の意識が目的に向かって統一され、場の空気やムードが整います。このアシストがあるだけで、ファシリテーションの入りが全然変わってくるのです。

中野民夫さんが書かれた『ファシリテーション革命 参加者の場作りの技法』の中にこんな一文があります。

基本的な心構えとしては、ワークショップの場をコントロールするのではなく、その場全体を「ホールドする」(保つ、支える、保持する)という視点ではないだろうか。いつも張りつめているわけではなく、むしろ緩めていることが多いが、「手綱」は決して手放さずにしっかり持っている感覚。

「誰がその場をホールドしているのか(Who holds the space?)がハッキリしていないと、場が落ち着かないし、人々は不安になる。要は、参加する人々が、存分に可能性を発機しあえる「安心」(精神的)で「安全」(物理的)な器づくりを担い、進行促進していく役回りだ。

『ファシリテーション革命 参加型の場作りの技法』

これはファシリテーターに向けて書かれた一節なのですが、注目いただきたいのは、誰がその場をホールドしているのかという点です。この意識が重要です。

というのも、ワークショップが開幕する瞬間に場をホールドしているのは、場のオーナー(主催者)です。ですから、まずはオーナーからご挨拶をいただき、目的を共有してもらうのが効果的なんですね。そうすると場の主体が明確になり、場が締まります。

そしてファシリテーターをご紹介いただくタイミングで、場をホールドする主体を移譲してもらえるとベストです。

オーナー不在の場は難易度が一気に高くなる

これが「じゃあお願いします」と丸投げから始まってしまうとなかなか大変なのです…。

まずファシリテーターは「なぜ本会が開催されるのか」という意図から話し始めて、参加者に会の目的を理解いただけるように努めることになります。

この時に、なかなか「私」を主語にして語ることができない点が、場の器を定めることを難しくします。

主催者がいらっしゃるワークショップは、主催者側が何かしらの課題感や希望をお持ちな状態です。こちら側はそれをお聞きしていて、それに合わせたコンテンツを用意しているので、課題や期待の内容を語ることはできます。

ただし、どうしても「〇〇さんから□□という課題がおありだと聞いております」と伝聞表現になってしまうのです。また、伝え方によっては参加者の心象を害してしまうこともあります。そのため、参加者の顔色を伺いながら、探り探りのファシリテーションになりがちです。

つまり、当事者意識が宿った、切れ味の鋭い言葉は放てないのです。これが欠けていると、場の空気やムードがうまく醸成されない=器が完成しません。

主催者がいるワークショップは必ず挨拶と目的共有を依頼

こうした事態を招かないために、主催者がいらっしゃるワークショップでは、必ず主催者の挨拶から始めていただけるよう事前にご依頼をしておくことが肝です。そうしてできることなら、ただの挨拶だけに留まらず、当事者の言葉で目的を語っていただけるようしっかり握っておけると最高です。

たったこれだけのことで、場には多大なエネルギーが吹き込まれます。大袈裟に言えば、命が宿るのです。このエネルギーは、当事者ではない外部のファシリテーターには、そう簡単に作れるものではありません。

つまり2時間、3時間のワークショップの成果は、冒頭のほんの数分の違いで大きく変わるんですよね。こういう点に意識を向けられると、場作りの質と精度が高まると思います。

ぜひ現場でのご活動に取り入れてみていただけましたら幸いです。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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