「快適な温度設定」は場づくりのファーストステップ 〜寒ければ心閉じ、暑ければ散る〜

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。最近は日本中が暑い夏を過ごしていますね。先日は私が暮らす仙台でも35℃を超える猛暑日となりました。地下鉄の階段を上り、街中を20分ほど歩いただけで、全身から汗が滴っていました…。冷んやりとエアコンが効いた会議室に到着した瞬間の安堵感と言ったら…、感動…!

ただ、喜んだのも束の間。汗が冷えた途端、極寒で大変だったのです。震えながら、薄いカーディガンなり、何か羽織れる服を持ってくればよかったと反省しきりでした。夏は温度管理が難しいですね。

さて、今日はワークショップの会場の温度設定について記事を書きたいと思います。快適な温度設定なくして、実りあるワークショップは生まれません。

とても初歩的なことなのですが、意外と見落としている方がいるんですよね。

目次

良いワークショップは、良い環境づくりから

まず、ワークショップを成功へと導くためには、コンテンツの準備や当日のファシリテーションだけでなく、場の環境を適切に整えることが重要です。部屋の光量や余白、椅子の座り心地など、一見すると小さなことも、ワークショップへ与える影響は多大です。

中でも、部屋の温度は参加者のコンディションに大きな影響を及ぼします。基本的には、会場が寒すぎれば心が閉じ、暑ければ心が散ります

一方、室内が快適な温度であれば、参加者の緊張感が和らぎ、ワークへの集中力も高まります。ですから、ワークショップでは温度管理を軽んじてはならないのです。

ところが、ワークショップの運営に不慣れな場合、受付の準備でばたついてしまったり、会の進行であっぷあっぷになってしまったりと、室内の温度にまで気が回らないこともよくあるのですよね。場のムードに無頓着な方、暑さ寒さに極端に耐性がある方も、この傾向が強いです。

また、会場によってはそもそも温度管理が難しい場合もあります。つい数年前、エアコンが設置されていない会場で、8月の中旬にワークショップを開催したいというご依頼をいただいた時は、想像しただけで頭がクラクラしました。もう過去の話になってしまいましたが、東北地方では、夏にエアコンを使わなくても十分涼しい地域がたくさんあったのです。

ワークショップデザイナーは、こうした各回の会場に状況に合わせて、柔軟に温度管理を行う意識と術を身につけておくとGoodです。この際、適切な温度を、自分の肌感で判断できるよう経験を積んでおくと良いと思います。

会場の温度は自分の肌感を頼りに判断する

と言うのも、快適な温度って、エアコンの数値だけでは測れません。会場に差し込む日光や空気中の湿度、風の流れなどによって、各会場ごとに微調整が必要になります。

また、会場に存在する人の数によっても、大きく体感温度が変わります。通常は人が増えれば増えるほど、会場内の温度が上昇します。受付時は涼しくても、開幕時には蒸し暑くなっていたりするものです。

同様の温度変化は、時間の変遷によっても生じます。たとえば夏の午前中からお昼へかけて行うワークショップであれば、外気温が上昇し続けるため、会場内も次第に暑くなっていきます。冬の夕方にスタートする会であれば、夜の深まりにつれて、会場も冷え込んでいくものです。

ちなみにエアコンの出力や効き具合は、各会場によってまちまちです。ものすごく冷えるエアコンもあれば、18℃でフル稼働しても暑いケースも。

このため「エアコンを25℃で設定しておけば鉄板」みたいな基準はなくて、上記の状況を肌で感じながら、こまめに調整を繰り返すしかありません。毎回同じ温度に設定できたらとても楽なのですけれど、そうはいかないのが温度管理なんですよね。

快適な温度は人によって異なる

そして大前提ですが、快適な温度は人によって異なります。一般的には、夏は25~28℃、冬は18℃〜22℃あたりが適温と言われていますが、感じ方は人それぞれです。オフィスにお勤めの方はよくご経験があるのではないかと思いますが、28℃のエアコン設定でだらだら汗を流している方もいれば、膝掛けにくるまっている方もいます。Netで調べてみたところ、これは基礎代謝の高低に起因するそうで、代謝の低い女性ほど寒く感じやすいようです。

また、座っている場所によっても体感が大きく変わります。例えば、エアコンの風が直接当たっている廊下側の席と、日差しが燦々と降り注ぐ窓側の席とでは別世界です。

こうした個々人の違いや、置かれた状況を受け取り、全体にとって最適な温度を設定するためには、参加者の暑い・寒いを感じとる適温センサーを搭載しておく必要があります。もちろん、自分にとって適温かどうかではなく、参加者にとって適温かを感じ取れることが重要。夏は冷えすぎ、冬は暑くなりすぎに注意です。

このうえで、ワークショップ中は、参加者の様子をつぶさに観察します。夏であれば、汗をかいている、服を着込んでいる、体を細めている、うつむいている、などが顕著なサインです。

冬であれば、上記に加えて、顔が紅潮している、服を脱ぎ始めた、酸欠気味な表情を浮かべている、ぼーっとしているなどの状態に目を光らせておくと良いです。

こうした参加者の情報をキャッチしたら、温度調整にダッシュです。ただし、急激な温度変化はNG! エアコンの温度設定を一気に4~5℃変更するのは控えた方が良いです。どうしてかと言うと、冷えすぎる or 暖まりすぎる から。

会場のコンディションがコロコロ変わってしまうこともまた、参加者の集中力を削いでしまいます。このため、エアコンは上下1~2℃程度の変更を基本線にしておくと損失が生まれにくいです。

温度管理はチーム戦!

もし温度設定に自信が持てない時は、参加者や運営の仲間に尋ねましょう。自分だけで温度を判断する必要はありません。

私はワークショップの運営中、よく運営メンバーや参加者に、会場の温度についてどう思うかを確認しています。また、暑くなりすぎる・寒くなりすぎることが予想されるワークショップでは、全体に「温度に関するオーダー大歓迎」とアナウンスしています。

冒頭に書いた通り、快適な温度設定なくして、実りあるワークショップは生まれません。そのための環境は、みんなの感性と知恵を合わせて整えていけば良いのです。

ちなみに複数人のチームでワークショップの運営に当たる場合は、メインファシリテーター以外が積極的に温度管理を引き受けてくれると本当に助かります。

気心が知れた仲だと、全体ファシリテーション中に目を合わせてから、私がエアコンの操作パネルを一瞥しただけで状況を察してくれることもありますが、多くの場合はそうもいきません。

そのため私は、事前に温度管理の役割をお願いしてしまうことが多いです。一緒に運営する仲間でも(私が温度を変えてもいいのかな?)という迷いがあると、なかなか自主的に行動を起こすことができません。そのため、ロールをきちんとオフィシャル化しておくのです。

完全に余談ですが、こうした明快さが、運営メンバーの責任感を高めてくれるケースは良くあります。もし、役割を持たずに浮いてしまっているメンバーがいれば、役割を定義してあげてください。どんな小さなことでもOKです。それだけで、運営へのコミットが変わりますよ。

ということで、会場の温度管理について書きましたが、こんなに長文になるとは思っていませんでした! 自分でも驚いていますが、それだけ大事だと思っていることを再認識できました。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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