WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。
気仙沼市で活動されている特定非営利活動法人ウィメンズアイさんの年に一度のスタッフミーティングにて、チームビルディングとアイデア共創のワークショップをファシリテーションさせていただきました。
ウィメンズアイさんは複数の事業を展開されており、異なる事業に携わるスタッフ同士が全員で顔を合わせるのは年にこの1回だけとのこと。「単なる共有の場ではなく、お互いを深く知り合い、これからの働き方を一緒に考える時間にしたい」というご相談をいただき、今回のワークショップをご一緒することになりました。
「Where I’m from Poem」で、これまでの道のりを分かちあう
午前中は、メンバーどうしの相互理解を深めるワークからスタートしました。私が選んだのは「Where I’m from Poem(ウェア・アイム・フロム・ポエム)」というアクティビティです。
これは、五感が覚えている記憶――忘れられない光景、思い出の味、覚えている手触り、印象的な香り、心に残る音――を「わたしは__から来ました」という構文にのせて、自分だけの詩をつくるワークです。私が2016年にカリフォルニア大学バークレー校のリーダーシップ育成プログラム「Y-PLAN」を通じて出会ったもので、以来ずっと大切にしてきました。

今回このワークを選んだのは、事業が異なるメンバーどうしの相互理解を深めたいというクライアントのオーダーに、もっとも合致すると考えたからです。仕事の話だけでは見えてこない、その人がどんな風景の中で育ち、何を大切にしてきたのかを共有することで、肩書きや役割を超えた深いつながりが生まれます。
ワークに入る前には、心理的安全性について丁寧にお伝えしました。「聞いてもいいんだ」「間違ってもいいんだ」「言ってもいいんだ」「人と違っていいんだ」。この4つの安心感を全員で確認し、グランドルールとして「話し終えるまでじっくり待つ」「相手の存在をただ受け取る」「みんなで一緒に味わう」の3つを共有してから、ワークに臨みました。
まず私自身のポエムを披露するところから始めます。広瀬川のキラキラ光る水面のこと、弟妹や従兄妹たちとの賑やかな日々のこと、苦しかった記憶も含めて。嬉しかった記憶も苦しかった日々も、ぜんぶが今の自分につながっている大切な一部です、とお伝えしてから、皆さんにも執筆とシェアの時間に入っていただきました。
ファシリテーターが自分の内面をまず開くこと。これが、参加者の方々が安心して自分自身を持ち出せる空間をつくる鍵だと、私は考えています。
プロジェクトの未来を語り、意志をひとつにする
午後は、各プロジェクトチームの現状共有と未来の対話の時間です。
最初に個人ワークとして「今年大事にしたいこと」のキーワードを3つ書き出してもらい、それを持ち寄ってチームで対話を深めました。「各プロジェクトの現状」「一年後にどうなっていたいか」「チームとして今年大切にしたいこと」の3つの問いを軸に、ひとりの意見をみんなの意見に育てていくプロセスです。
事業が多岐にわたる組織だからこそ、普段は見えづらい他のチームの取り組みや想いを聞くことに大きな価値があります。発表を通じて、お互いの事業への理解が深まっていく様子が印象的でした。
みんなの働きやすさが向上するアイデアを共創する
最後のステップは、「みんなの働きやすさが向上するアイデア」をテーマにしたアイデア共創です。
働く環境が異なる人どうしであっても、同じひとつの器(ウィメンズアイ)をより良い場所にしたいという想いは共通しています。その想いを出発点に、まずは個人でポストイットにアイデアを書き出し、その後グループで対話しながらアイデアを深めていきました。
私がこのワークを設計に組み込んだのは、事業の違いを超えて「自分たちの職場を自分たちの手でより良くしていく」ことを考える時間にこそ、大きな価値があると思ったからです。ここから事業間の風通しがよりよくなる施策が生まれるのではないかという期待もありました。
結果として、働く環境の改善、業務のシステム化、子連れ出社の仕組みづくりなど、複数のテーマごとにプロジェクトチームが誕生しました。アイデアを出して終わりではなく、「じゃあ誰がどうやって進めるか」まで決まったことが、この日のいちばんの成果だと思います。
ワークショップはやりっぱなしにしないことが何より大切です。次のアクションを決めること、そして実際にやってみること。今回は皆さんの中に「自分たちの手で現状に変化を起こしていこう」という機運が生まれた手応えがあり、本当に嬉しかったです。
さいごに
ご依頼者の方から「場の空気をとても丁寧にひらいてくださって、スタッフ一人ひとりが安心して言葉にできる時間になりました」「あの場だからこそ出てきた対話や気づきがたくさんあったと思います」という言葉をいただきました。
はじめてご一緒する組織の皆さんとの場づくりは、毎回緊張もありますが、だからこそ丁寧に空間をひらくことを大切にしています。ウィメンズアイの皆さんが安心してご自身を表現してくださったおかげで、温かくて力のある時間が生まれました。
ご依頼をいただきありがとうございました。

対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
