「こんな時に、ワークショップデザイナーには何ができるんだろう……??」
コロナウィルスの影響によって、外出やイベント自粛の要請が繰り返される中、私は、悩んでいます。
ワークショップデザイナーという「人が集まり語らう場」を作る仕事
私の仕事は「ワークショップデザイナー」です。年に50回ほど、組織開発や自己探究のワークショップを企画運営しています。
ワークショップは通常、人と人が同じ空間に集い、お互いの考えを語り合います。密閉空間で不特定多数の人々と交流することになるので、コロナウィルスの猛威にさらされている今は、ワークショップを開催するに全く適しません。
実際、毎月6~7件入っていた依頼は、いまや月に1件程度。開店休業状態が続いています。ワークショップを開催できないワークショップデザイナーなど、空気の抜けたサッカーボールみたいなもので、何の役にも立ちません…。
世界中が不安や苛立ちで溢れかえっているこの時に、誰の力にもなることができないのだとしたら、いったい私は、何のために存在しているのでしょう?
そもそも私がワークショップを提供している理由は「人が自分の意図に沿って自由に前進できる世界」を実現したいと思っているからです。そのために、対話がもっとおもしろくあればと常々思っています。
閉塞感と過ごした思春期
私が高校生だった時、我が家には億円単位の借金がありました。当時の私は「もう未来は閉ざされたようなもんだ……」と本気で人生を悲観していました。
そして、努力をしたり、コツコツ積み上げるということがアホらしくなってしまって、ほぼ全ての成長を放棄しました。当時の閉塞感は本当に辛くて、出口が見えない真っ暗闇の中で溺れそうな毎日でした。
あの状態から救い出してくれた先生や友人には感謝が尽きないし、どれだけ困難な状況に置かれても、自分自身にできることには限りが無いということに気づかされました。環境を恨んですねていても、機会を失い続けるだけだと。
こんな日々を過ごしたからこそ、ちょっと大げさかもしれないけれど、私のように環境の要因によって前進を諦める人がいない世の中を創りたいと思いますし、そのために私自身の人生を使っていきたいのです。
ワークショップデザイナーとしていま何ができるのか
紆余曲折を経て、私が全身全霊を賭けて出来ることはワークショップを通じて自己探究の機会を提供することだ、と今は思っています。ワークショップは私自身の特性とピッタリハマっていて、天職だと思うのです。
依頼の数も順調に増えて来ていて、2020年は年間70件を目標に活動を展開していく予定でした。それが、ウィルスの蔓延という形で、ワークショップを実施できない環境が生まれるとは、全く予想もしていませんでしたね…。
同時に、いま多くの人が、コロナウィルスによる影響で、自分自身の前進を諦めようとせざるを得ない状態に追いやられてしまっています。これは私自身の目指す「人が自分の意図に沿って自由に前進できる世界」と、そこへ到達するための手段を、同時に奪われたに等しい感覚でした。
それで正直、この1~2週間はあまり何もする気が起きませんでした。そしてずっとモヤモヤしていました。
ワークショップが開催できないワークショップデザイナーには、本当に価値がないのか?
私はこの問いにどんな回答を出すのか。もちろん、「価値がある」と答えたいのです。
社会は今、大きく揺れ動いています。価値観の相違による対立が深まり、個々人の不安や不満が蓄積され、いつ爆発してもおかしくない状況に思います。
今だからこその ワークショップを作ろう!
こうした状況に対して、ワークショップデザイナーとしてできることを改めて考えた時、答えは唐突に浮かんで来ました。
対立の解消や、不安の緩和が生まれることを意図して、ワークショップを設計し発信すること。それを通じて人々の心のコンディションを整えることに少しでも貢献できたら、とても大きな価値だと思いました。やっぱり、ワークショップデザイナーにはワークショップしかない!
だからこれからの数週間は、コロナウィルスが蔓延しているこの世界との向き合い方や、言葉になっていない自分の気持ちを見つけることを意図したワークショップを毎日設計し、その内容をこのブログに書いて行こうと決めました。読んでいただければ、自然と探究が深まるように。
作ったワークショップはオンラインで実施することも念頭に入れていますが、会社でのMtgや、友達との対話など、安心安全な空間で活用いただけたらと思います。
問いによっては、いたずらに不安が増えてしまったり、感情が溢れ出てしまったり、かえってマイナスに作用してしまう危険性があることに、一抹の不安を感じたりもしています。
でも、良質な問いは良質な思考を生むという、ポジティブな側面を信じて、この活動を始めてみたいと思いました。
この世界で前に進むために
先日Twitterで自虐的に、「ワークショップのできないワークショップデザイナーに価値などあるのか?」とつぶやいたところ、あるフォロワーの方からメッセージが届きました。
相内さんには、今だからこそ力になれることがあると思います!
というメッセージでした。
気ままにつぶやいているTwitterを見てこんな風に思ってくださっている人がいたなんて驚きだったけれど、彼の期待に応えられる自分であれたらと思っています。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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