ワークショップを設計した後「本番」までに必ず行う4つの確認

ワークショップデザイン〜本番までの準備が成否を分ける

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。私は自分でワークショップを企画運営している他に、よくワークショップについてのご相談をお受けしています。どうやってワークショップを作ると良いか、参加者の満足度を高めるワークとは何かなど、様々なご質問に答える過程で私も勉強になっています。

ご相談をいただいた際は、私がワークショップを開催するまでに実施している準備課程を包み隠さずお伝えしているのですが、意外と驚かれるのが「ワークショップをデザインし終わった後」の工程で行なっている作業についてです。

というのも私は、ワークショップの流れを自分で考えたのち

  1. 他者からフィードバックをもらう
  2. 投影資料を作成し共有する
  3. できるならリハーサルを行う
  4. 直前ブリーフィングを開催する

という工程までがワークショップデザインだと考えているのです。

ですがお話を聞いていると、ワークショップの流れをまとめただけで疲れ果ててしまうのか、設計が終わった段階で作業を止めてしまっている方も多く、少しもったいなさを感じます。そこで今日は、この点について書いてみます。

目次

他者からのフィードバックで不足や当たり前の違いに気づく

ワークショップデザインには「自分自身の当たり前」がふんだんに盛り込まれています。そのため一番大切なのが、他者の目でフィードバックをしてもらうことです。特に依頼主がいる案件は、この内容で目的を達成できそうか、意図とズレていないかを事前に確認しておくことでトラブルが起こる確率も最小限になります。特に、依頼主の方がワークショップのテーマに対する専門性が高いケースは要注意です。

具体的には、内容や備品に不足がないかであったり、自分の中で前提となっている考えがフィットしているかなどを確認しておけると効果的です。他者から見て「???」と感じられるポイントや「………」となってしまうポイントがあれば、積極的に作り直すのが吉。私もよく、主催者や友人からのフィードバックに助けてもらっています。ここで意固地になってしまうと、本番で大失敗します。

一度作ったワークショップを組み直すのは骨が折れる作業ですが、ドラスティックに作業を進める方が、機能するワークショップの完成に近づけます。

投影資料を共有し誤字脱字やニュアンスの確認を依頼する

ここまで進めた段階で、当日に使う投影資料を作成します。ワークショップ完成前に投影資料を作ると手戻りが多くなりすぎるのでオススメしません。

投影資料も、慣れていないと作成に時間がかかるでしょう。そして時間がかかればかかるほど、さらなるアップデートの意欲が減退するものですが、ここでも大切なのが他者の目で見てもらうことです。依頼主がいる案件では、ワークショップの流れは合意できていても、投影資料に書いているニュアンスが微妙に異なり後からクレームになるということが起こりがちです。ですので、投影資料が完成したら関係者に共有し、それぞれの目で誤字脱字やニュアンスの整合性、専門用語や情報提供に誤用が無いかなどを確認してもらうと円滑です。

また、使っている写真やイラストのテイストもワークショップの成否を分ける大きな要素となりますので、開催するワークショップにフィットするかを確認してもらいましょう。

ワークの指示が分かりやすいか否かも、積極的に確認いただきたい項目です。これらのポイントでフィードバックをもらったら、やはり積極的に取り入れるのが良いです。

ワークショップに合わせたテイストの違い

諸条件が許すならリハーサルを、不可なら脳内でシミュレーションを

ワークショップのデザインが完了し、投影資料も仕上がったら、次は本番のリハーサルです。もし可能であれば実際に何人か人を集めて、自分が設計したワークショップを通しで提供してみましょう。通しでワークショップをしてみることで、自分が想定していた動きと、実際の参加者の動きが異なるポイントや、参加者が固まってしまうポイント、混乱してしまうポイントなどがありありと見えてきます

こうした実際の場の挙動に合わせて、ワークショップを微修正したり、投影資料やファシリテーションの指示を変更したりできると、本番も安心です。特にワークショップ運営が初めて、少ししかやったことがないという方ほど、リハーサルをやっておくメリットは大きいです。

リハーサルができないという方は、必ず脳内シミュレーションを繰り返すことをオススメします。自分が話しかけたら参加者がどんな反応をするか、指示を出したらどのような態度で取り組み出すかなど、細部までカラー付きでイメージできるよう想像を重ねるのです。参加者のノリが悪い瞬間や、困惑するタイミングなどが見えたらしめたもの。その箇所は当然、修正しましょう。昔書いた記事ですが詳しくはこちらをご参照いただけると取っ掛かりやすいと思います。

ちなみに私は、どのワークショップでも成功するイメージが湧くまで、必ず脳内でシミュレーションを繰り返しています。

開催直前に、ワークショップの狙いや動きを確認する

最後は、主催者との直前ブリーフィングです。当日に開催できるなら当日、難しければ事前にZoomなどで済ませておくと安心です。

ブリーフィングでは、ワークショップの狙いや、各運営者の動きなどを再度確認します。事前の段階でしっかり確認しているようでも、時間が経つと忘れてしまっていることも多いものです。また、ご依頼をいただいてワークショップを実施する場合は、窓口となっていただいた方以外の関係者が運営のサポートに来てくださることもよくあります。運営側に一体感がないと、えてして場が荒れがちです。ですので関わってくださる方々と、何のために、どのような場作りをしたいと思っているかを再度確認しあっておくことは、とても重要なタスクなのです。

また、当日は会にまつわる様々な情報が入ってきます。例えば参加者の増減などは、直前に確定することがほとんどです。こうした企画時点との差異を拾って、グループの人数を変えたり、発表の形式を修正する等、準備してきたワークショップを適切な形に整える必要があります。

ですので、ここまでがワークショップデザインの範囲だと私は思うんですよね。一度ワーク案を作ったから完成、とは決してならないのです。

もう少し突っ込んで言えば、準備してきたワークショップが滑ってしまっているような時は、運営中にアドリブで軌道修正をし続けなくてはなりません。そういう意味では、ワークショップデザインの完了=ワークショップが無事に終了した瞬間、とも言えるかもしれませんね。

何か参考になれば幸いです。今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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