最後の発表者には感謝の気持ちで「お待たせしました」

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。先日久しぶりにZoomでワークショップをご提供させていただきました。コロナが下火になって、対面でのワークショップが9割以上に戻ってきています。やはり、対面のワークショップはいいですね!

今日はふと気づいた自分のクセについて書いてみたいと思います。どんなクセかと言うと、参加者に全体共有をいただく際、最後の方には必ず「お待たせしました」とお伝えするクセです。

目次

ワークショップの学びを最大化するわかちあい

ワークショップでは学びや発見のわかちあいが欠かせません。体験学習の効果を最大化するために、大切にデザインしたいパートです。

わかちあいの時間は、小グループで話し合っていただくこともあれば、全体でシェアしていただくこともあります。このあたりの設計は、参加人数と、時間の制約によって決めていきます。私は参加者が10人前後であれば、ほぼ迷わず「全体シェア」をファーストチョイスに考えていきます。

当日のファシリテーションでは、まず口火を切ってくださる方を募って、その方から順に時計回りで進めていくスタイルを採用することが大半です。毎回手上げだとちょっと時間がかかりすぎますし、こちらからの指名だと参加者の主体的な意欲を挫きかねないからです。

ただ、これはあくまで基本ルールで、フレキシブルに設計することが重要です。

例えば、ぽつりぽつりと、思い至った方からランダムに発話いただいた方が効果を発揮する場もあります。2泊3日の合宿のラストなどはさくさく進行するより、みんながそれぞれの感覚を反芻しているほんの少しの間が、場全体のエモさに繋がります。

また、Zoomだと時計回りルールを採用できないですし、規則性が明確でないと次はどなたにお話をしていただけば良いか混乱してしまったりもします。ですので、画面で上から写っている順に指名させていただく等の工夫をしています。

最後の発表者は多大な緊張感を保持し続けている

さて、上記でご紹介した、発起人を起点に時計回りスタイルですが、多くの方が(最後の発表者にはなりたくない…)と思っているように見受けられます。

最初の方が決まった瞬間、ほっとした顔をされる方と、嫌そうな顔をされる方がいらっしゃるのです。ほっとした顔をされのは、発表が2番目の方。嫌そうな顔をされるのは、発表が最後になるのが確定した方です。

私は、この反応の裏には3つの心理が潜んでいるのでは? と思っています。

1つ目は、最後は注目を浴びるし、うまくまとめないといけない…というプレッシャーです。最後の話者には感動的なコメントや、包括的なまとめが暗黙のうちに求められてしまう空気って、どこでも少なからずあると思うのです。途中の人だったら半端な感想でも流してもらえるのに、最後の人は許されないと言いますか。

2つ目は、最後までずっと緊張感から解放されないというストレスです。誰しも経験があると思うのですが、自分の考えを全体に共有するという行為はそれなりに緊張するものですし、時と場合によっては頭が真っ白になってしまうことだってあります。だから皆が早く話して楽になりたいと願うものですが、最後の発表者はわかちあいの間、ずーーーーっと緊張感が続きます。

3つ目は、人の話をじっくり受け取れないことへの残念さです。自分が話し終わるまでは、何を話すかであったり、うまく話せるかな? という不安や心配が常に頭をよぎって、なかなか人の話を聴いていられないものです。

だから最後の発表者には「お待たせしました」

こうした背景がよく想像できるので、私は最後の発表者の方には、「お待たせしました」とお伝えしているのだと思います。

大きなプレッシャー、ずっと緊張という状況への労いの気持ちと、最後を引き受けてくださりありがとうございます、という感謝の気持ちが、自然と口から出るのです。たった一言なんですけれど、これだけでほんの少し、場の緊張感が緩むような気がするのですよね。

こういう小さな気配りの積み重ねが、良い場作りの土台であると、私は思ってます。今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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