ワークショップにオブザーバーをお招きする際の3つの気配り

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。ワークショップを運営していると、研修の担当者、役員や社長、新聞記者やライター、純粋な見学者など、様々な方がオブザーバーとして場に参加されることがあります。

基本的にワークショップのオブザーバーは、研修の成果を以降につなげたい、広報を通じてさらなる広がりを生み出していくために見学したい、ワークショップから学びたいなどのポジティブな動機を持っていらっしゃる方々ですから、積極的に受け入れた方が良いと私は思っています。

ただし、受け入れ環境をしっかり整えておかないと、ワークショップ参加者の気が散ってしまったり、なかなか本音が言えないなどのデメリットが生じる可能性があります。反対に、オブザーバーの方々の気持ちを損ねてしまうことも。これらは運営者側の配慮で多くの部分を回避することができます。

そこでこの記事では、ワークショップにオブザーバーをお招きする際の3つのポイントをご紹介します。

目次

オブザーバーに座っていただく場所の用意

まずはオブザーバーに座っていただく場所についてです。オブザーバーの方々にはできるだけ、自分の席を確保できるように会場のレイアウトを組んでおきましょう。自席が無い、いても良い場所が明示されていない状況はかなりのストレスを与えてしまいます。

私は原則として、オブザーバーの皆様には会場後方にお座りいただくようにお願いしています。この位置だと参加者の皆さんからはオブザーバーの方々が視界に入らないので、気が散ってしまうリスクを低減することができるからです。

会場の前方から覗き込むような位置にお座りいただくのは避けるのが吉です。研修の担当者などであれば、同じ主催者の立場として前に陣取っていただくのも良いですが、社長や役員などの権威者が前方に座っているのはプレッシャーが強すぎます。参加者は一挙手一投足を見られているような感覚に囚われ、リラックスして自分らしく振る舞うことができなくなってしまいます。

参加者をぐるっと囲むような配置も好ましくありません。こちらはとても圧迫感が強くなり、人によっては大きなストレスを感じてしまいます。

ただし、ワークがすごく盛り上がっている後半などは上記の限りではありません。参加者がワークに没頭していて、周りのオブザーバーのことなど気にも留めないようなフロー状態であれば、どの位置から見ていただいても支障は生じないものです。

このため、ワークショップの開始時は後方に控えておいていただき、盛り上がるにつれて自由度高く振る舞っていただけるようデザインしておくとGoodです!

オブザーバーに見学いただいてもOKな時間の設定

次はオブザーバーに見学いただいても大丈夫な時間の設定です。最初から最後まで見学可能に設定しておくのも良いですが、場面を区切ってご覧いただくということも選択肢の一つです。

前述したことと重なりますが、ワークショップの会場は冒頭ほど固いムードで、後半につれて和やかな空気に変わっていきます。開幕のタイミングでたくさんのオブザーバーがいると、なかなか緊張感が取れて行かないこともあり、このあたりはさじ加減が必要です。

もし使用する部屋のキャパシティやワークショップ参加者の人数に対して、オブザーバーの人数が多すぎるように感じる場合は、中盤以降から開放、◯◯時〜◯◯時の間は見学OK、成果発表会パートは見学可などの制限を設けるのも手です。

また、中にはどうしても参加者だけでじっくり内省を深めたい、アイデアを創造したパートがあったりもします。こうしたパートがワークショップ内に組み込まれている時は、理由を丁寧に説明し、この時間での立ち入りを控えていただきましょう。きちんとした理由をお伝えできれば、オブザーバーの方々も理解して協力してくれます。

ケースによっては絶妙に「隠された」部分がオブザーバーの興味関心を強く喚起し、良いコミュニケーションを生む結果につながることもあります。

オブザーバーのご紹介

もう一点意識しておきたいのが、オブザーバーのご紹介です。ワークショップの参加者はただでさえ緊張して開幕を迎えることが多いのですが、知らない人たちが会場にいると、その度合いがさらに高まってしまいがちです。何者か分からない人が会場にいる…、という状況は、人に優しくないのです。

そのため会の冒頭で、今日のワークショップを見学されている方のご紹介と、なぜご見学を希望してくださったのかを参加者にお伝えしておきましょう。

人数が少ない場合はおひとりずつご紹介をして、一言いただくような形式も良いです。ご参加多数な場合は、こちらからお名前をお伝えするだけに留めたり、〇〇部門の皆さんです、□□社の方々です、とまとめてご紹介するとスムーズです。これだけで会場の空気はがらりと変わります。

オブザーバー側からの視点で言えば、冒頭に少し緊張しているのはオブザーバーも一緒だったりします。また、どうしても蚊帳の外の扱いになりがちなので、なかなか自分の置き所を見つけられないことも多いのがオブザーブの立場ですが、自分が何者なのかを告げてもらえると、それだけで少し、見えない線の内側に入れたような感覚が湧き嬉しいものです。逆に、何も触れられないとけっこう寂しいんですよね。

参加者・オブザーバー双方が満足な環境を整える

ここまで3つのポイントについて書いてきましたが、オブザーバーをお招きする際に最も大事なことは、参加者とオブザーバー、どちらにも満足いただけるように気を配ることです。片方だけに肩入れした対応をしてしまうと、ワークショップの成果が損なわれてしまうので注意が必要です。私の場合は、参加者6 : オブザーバー4  程度の意識で、少しだけ参加者のほうを優先するバランスで全体を見渡しています。

上記には書ききれなかったのですが、オブザーブ参加される方の中には、ごくごく稀にワークショップの進行を妨げるような振る舞いをされてしまう方もいらっしゃいます。例えばワークの説明中に電話で話し出すとか、PCの打鍵音が強烈で参加者の気が散るとか、参加者に超接近して自論を展開してしまうとか…。

もしこうしたことが起こってしまった時は、進行に支障が生じてしまいますので、見て見ぬ振りをせず、毅然と向き合いましょう。

ただし正義感を振りかざして喧嘩をふっかけるような意見の伝え方ではなく「ワークショップの円滑な進行のために、できれば電話は外でお願いできませんか?」等の柔らかい物言いでご依頼するのがベストです。ユーモアや可愛げを交えたコミュニケーションもいいですね。

人によってはオブザーバーの方々を邪険に扱う方もいるのですが…、オブザーバーの方々もワークショップを構成する大切な要素。その場に集う人々がみんな満足して帰れるよう、全方位的に場の環境を整える気配りを見せてこそ、いいワークショップが生まれます

ちょっと大変な時もありますが、これもまた、ワークショップデザイナーの重要な役割です。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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