場の躍動感は「説明しすぎない」ファシリテーションから

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。先日とある企業様にリーダー研修をご提供させていただきました。終日の研修でしたので、途中で「疲れたなあ」とお感じになった方もいらしたのではないかと思います。こうした時、参加者の集中力は、些細なきっかけで「ぷつん」と切れてしまいがちです。

実はそのトリガーとなりやすいのが、丁寧すぎる説明だったりします。ファシリテーターからすれば、混乱が生じないよう親切心で説明を重ねていたとしても、参加者にとっては苦痛でしかなかったりするものです。この記事を読んでくださっているあなたも、場の進行役に対して(早く話し終えてよ)と感じた経験があるのではないでしょうか。

こうした際の(そんなに聞いてられない…、もう限界…)という心の叫びは、貧乏ゆすりやペン回し、視線の上げ下げ、目を瞑る、あくび、髪の毛をいじる、携帯を気にするなどの参加態度からキャッチすることができます。もしこれらのサインが複数見られたら、その場は本当に要注意です。一刻も早くテンポを上げないと、取り返しのつかない溝が生じかねません。

こうした事態を避けるために大切なのが、「大枠を理解いただく説明」と「進めながらの補足」なのです。今日はこれらについて記事を書きます。

目次

走り出せる程度に大枠を掴んでいただく

ワークの説明を行う際、最初に優先すべきは、参加者に大枠を理解していただくことです。目的や流れ、主要なアクティビティについて簡潔に説明し、参加者に全体像を掴んでいただきましょう。これによって、参加者は自分が何を期待されているのかを理解しやすくなり、集中してワークに取り組むことができます。

喩えるなら、カーナビで目的地をセットし終えた状態です。ナビは目的地を入力すると、現在地からの大まかな道のりや、かかる時間が示されます。大きくどの方向へ向かえば良いのかが分かると、かなり安心感が高まるものです。

ナビからの指示が具底的になるのは、実際に車を走らせ始めてから。最初にたくさんの情報をもらっても、とても覚えていられないですよね。ワークショップの指示もこれと同じです。

細かい説明を一度に行うと時間がかかり過ぎますし、情報過多によって参加者を混乱させてしまいます。よって、まずは走り出していただくために、必要な情報を絞ってお渡しするのがベストです!

ワークを進めながら細部を補足する

こうして参加者が無事に走り出せたら、折に触れて細部を補足していきましょう。例えば、特定のアクティビティを始める直前に必要な情報を提供したり、ワークの後半部分を始める際に説明を足したりすることで、参加者が迷子にならないよう手助けをしていくイメージです。

また、各グループを回って、間違った方向に進んでいたり、意図と違う解釈をしているチームがないかを探りましょう。もし狙いとズレているようだったら軌道修正を促します。

絶対に手順を違えて欲しくない時などは、進行マニュアルを配布しておくと機能します。進行中に質問を受け付けることも有効です。

これらの合わせ技で、最初の説明をいかに簡略化できるかが、ワークショップのリズムに直結します。

ダレてしまうワークショップほど、1回あたりの説明量が多く、なかなか波に乗れないもの。メリハリが効いた進行のために、ぜひ「大枠を理解いただく説明」と「進めながらの補足」をバランス良く実践してみてください。

何度も場に立って良いバランス感覚を身につける

ワークショップのファシリテーターは、参加者の学びと創造性を引き出すために、重要な役割を果たします。ですが振る舞い方を間違ってしまうと、全くの逆効果が生まれてしまいます。中でも冗長な説明はこの筆頭ですので、十分にお気をつけください。

最初の頃は、大枠の説明と、進行しながら補足する割合について、ちょうど良い塩梅を想像するのが難しいかもしれません。ですが場数をこなすことによって、今日の参加者にとってはこのくらいが良いだろう、と鼻がきくようになりますから、何回も場に立っていただけたらと思います。

ファシリテーションについては、過去にもいくつか記事を執筆しています。もしご興味があれば、こちらもご一読ください。

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相内 洋輔

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