WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。先日、ワークショップデザインについて教えている学生から、ワークショップ成功のコツを尋ねられました。私が真っ先に浮かんだポイントは、ワークショップの開幕時に参加者の期待値を調整することでした。ワークショップには企画運営からファシリテーションまでの多様な工程があり、要点を一つに絞るのは難しいんですけれど、このポイントだけは絶対に外せないと思っているんですよね。
なぜならワークショップの参加者は、さまざまな背景や目的を持って集まってきます。参加意欲がとても高い方もいれば、上司に言われたから仕方なく来た、何をするか知らないが隣人に誘われたから来たという方まで、実にバリエーションに富んでいます。全員が前向きで、どんな内容のワークショップを行うか知っている、という状態はとても稀なのです。
このため、開幕時にワークショップの目的や流れを伝え、到達したい地点を明確にすること、つまり「参加者の期待値を調整すること」がとても重要になるのです。期待値がバラバラだと、良い協働は生まれません。
今日のブログでは参加者の期待値を整えるために必要なことを解説します。
目的の明確化
期待値の調整においてまず最初に扱うべきは「目的の共有」です。冒頭にも申し上げたとおり、ワークショップには、会の目的を知らない方、理解が曖昧な方がよくお越しになります。たとえば上司に無理やり行かされたワークショップだったとしたら、きちんと事前に理解して参加しようと思う方は少数派でしょう。私は、それ自体はあまり問題ではないと思っています。
問題なのは、この状態のままだとグループワークがうまく進まないことです。そうした結果を避けるために、ワークショップの開幕と目的の共有は必ずセットにしてタイムラインを設計しましょう。
参加者の皆さんがワークショップの目的を理解してくださると、会の価値がしっかりと伝わります。それによって、その後の活動に対するモチベーションも高まります。嫌々とご参加してくださった方々も、気持ちが前向きになりやすくなるものです。
成果物の明示
次に、どんな成果物を期待しているのかを明示しましょう。冒頭にも述べたように、ワークショップの参加者は異なる期待を持って集まることが多いです。それぞれの北極星がバラバラでは、良いアウトプットには至りません。
このためワークショップの開幕時点で、現実的で適切な成果物のイメージを伝達することが大切です。全員が共通の成果物を目指せるようになると、対話が活発化し、ワークショップの実りが深まります。また、参加者がワークショップの成果について過度に期待したり、不安を抱いたりすることを防ぐこともできます。誤解や脱線が生じるリスクが低下するので、ぜひ押さえておきたいポイントです。
成果物のイメージは、何かを創ることに比重を置いたワークショップであれば、その詳細を。学び合うことに重きを置いたワークショップなら、どんなことを感じ取って欲しいのかを、それぞれ明確にお伝えしてください。曖昧な伝達はNG!
以前このような記事を書きましたが、上記と合わせて、ワークショップの流れをご説明しておけるとベストです。
エンゲージメントの向上
最後に目指したいのが、参加者のエンゲージメント向上です。「このワークショップから新しい可能性が生まれそう!」という期待感や、「会のために一生懸命取り組んでみよう」という意欲を冒頭で高められたら最高です!
エンゲージメントを高めると聞くと、難しい印象を抱くかもしれません。ですが、ここで求められるのは「今日のワークショップは素晴らしいよ!」と参加者を説得することではありませんのでご安心ください。
具体的には、参加者に自分の役割や、貢献の意義を理解いただくのです。この点が明確に伝わっていれば、参加者の胸の内に、ワークショップへ積極的に関与しようという意欲が湧いてきやすくなります。
「今日のワークショップには一生懸命関わりたい」と一人でも多くの参加者に思っていただけたら、場づくりの成功確率は格段に高まります。
ぜひ参加者の方々がお互いの個性や知見を活かし合えるような関係性になるために、どんなメッセージを投げかけることができるか、会ごとに考えてみてください。
まとめ
ワークショップの開幕時に参加者の期待値を整えることは、成功のための重要なステップです。全員が同じ目的・ゴールを共有することで、参加者の満足度とワークショップの成果を最大化することができます。
もしこうした点に意識がないままワークショップをされている方がいらしたら、次回はぜひこれらのポイントを取り入れてみてください! どのようなテーマや形式のワークショップでも、参加者の期待値を適切にセットすることで、より良い成果を得ることができるでしょう。この記事が、ワークショップを成功させるためのヒントとなることを願っています。
今日はここまで。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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