WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。先日「絶対に忘れないで! 〜目的とゴールのアナウンス〜」というブログを書きまして、ワークショップの開幕時には「目的」「ゴール」「今日の流れ」を欠かしてはいけないことを強調しました。
先日の記事では「今日の流れ」を伝える重要性について書ききれなかったので、こちらの記事で詳しくお伝えしたいと思います。ワークショップは次の内容を隠しておいた方が参加者の意欲が高まる、とお考えの方もいらっしゃるのではないかと感じますが、私は全く正反対の意見です。
私は、ワークショップの流れを伝えずに各ワークを進めることは、百害あって一利なしだと考えているんですよね。
ワークショップの流れを伝えないことで起こるデメリット
ワークショップの流れを伏せて進行することの最大のデメリットは「参加者のストレス」が高まることです。百歩譲って、参加意欲がとても高い方々しかいないワークショップなら内容を伝えなくてもOKですが、多くのワークショップは違います。参加意欲が低い方が一定混じるのが普通です。
こうした人たちは、早く終わらせて帰りたかったり、何かにつけて文句を言いたかったり、そもそものスタートラインがマイナスだったりします。ワークショップの場にいることが既にストレスとなってしまっているので、さらに負荷をかけるのは全く得策ではありません。
この観点から話を戻すと、次に何をするか分からない空間で2時間も3時間も拘束されるのは、多くの人にとって大変な苦痛です。
逆に言えば、ワークショップのプロセスが分かってさえいれば、気持ちの向け方をコントロールすることができます。ここがヤマだな、このパートはまあ楽しめそうだな、これくらいの力をかけたら達成できそうだな、等の感覚を持っていただくことができれば、自然とワークショップと向き合うマインドセットが整っていくのです。
各ワークがぶつ切りになって対話が深まらない
また、ワークショップの流れを伏せて進行すると、多くの場合、各ワーク中に混乱が生まれます。この時によく聞かれるのが、「このワークはどこまで考えたらいいの?」「いま話してることって今日の目的に合ってるの?」という2つのお悩みです。
これらの混乱はどちらも、
今日のワークショップでは、どんな手順を辿って、どんなゴールへ向かうのか
が見えていないことによって起こります。
簡易な図を作ってみましたので、こちらでご説明させていただきます。
どこまで考えたらいいの?
まずどこまで考えたらいいの?という疑問には、2つの成分が含まれています。
・自分たちは次のワークを先取りしすぎていないか
・自分たちは次のワークへ進むための足がかりを整備できているか
という2つです。
日本人は真面目な方が多いので、モチベーションの程度差はあれど、しっかりワークショップに参加しようと思ってくださる方がたくさんいらっしゃいます。しかしこれらの疑問は、簡単に参加者の意欲を挫きます。
そして、ワークを先取りしてしまったケース、足がかりが整備しきれなかったケースのどちらも、次のワークへ進んだタイミングで不満の感情に直結します。先に言っといてくれよ!と。
今日の目的に合っているの?
今日の目的に合ってる?という疑問は、それなりに対話が盛り上がっている時や、アイデアがたくさん出て来ている時に起こります。
この疑問の問題点は、共有される一つ一つの意見の良し悪しを判断できないことです。ワークショップの大きな流れが見えていない状態だと、途中途中の各アイデアに優先順位をつけられないのです。
また、対話が本筋に沿っているか、目的から外れそうになっているのかも見えづらくなります。どの話を膨らませたら良いか、どの話を切り上げたらいいか、霧の中を手探りで進む状態になってしまうのです。当然ストレスが高まります。
そして、自分たちは本筋から逸れてしまっていたと気づいた時の最悪な気分は筆舌に尽くし難いです。もしこうした状況に陥ってしまったら、ワークショップの成果は望むべくもありません。
ワークショップの開幕で3ステップを伝える
こうした事態を防ぐために私が徹底しているのが、ワークショップの開幕では必ず「今日の流れを3ステップに分解」してお伝えするということです。この時には、いい塩梅の抽象度でワークの内容もご紹介しています。例えばこのような感じです。
これを徹底したうえで、私は各パートへ切り替わるタイミングでも再びこちらの投影資料をお見せしています。参加者の皆さんが、どんな流れで、どこへ向かっているかを一時も見失うことがないようリマインドしているのです。
このほんの一手間によって、ワーク中に迷子になる参加者や、ストレスを高めてしまう参加者が激減します。長々書いて来ましたが、結論としてお伝えしたいことは2つです。
- ワークショップの流れは3ステップに分解して冒頭で伝えよう
- ワークショップの最中に丁寧にリマインドしよう
今日はここまで。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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