ファシリテーターは会場の盛り上がりをセルフジャッジして一喜一憂しない冷静さを持とう
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WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。これまでに北は北海道から、南は福岡まで、たくさんの都道府県でワークショップをご提供させていただきました。いくつもの地域を巡らせていただき学びになったのは、盛り上がりの基準は各地・各会毎に違うということです。
すごく盛り上がっているぞ
と感じた場で「いつもどおりですよ」と告げられたり
さっぱり盛り上がらないな…
と焦った場で「いつも以上に元気でした!」と教えていただいたり。
ワークショップの盛り上がり度合いは複数の目から確認する
こうした経験から、私は馴染みがない地域や組織でワークショップさせていただく場合、会場が盛り上がっているか否かの感触は、決して自分だけで判断せず、積極的に主催者の方に尋ねるようにしています。そうすると場の状況をより正確につかむことができて、適切なファシリテーションを提供できる可能性が高まるからです。
特によくよく気をつけて見ておいたほうがいいのが、場が盛り上がっていないと感じる時です。ファシリテーターとしては、場が盛り上がっていない時ほど、焦りを感じることが多いと思います。そこから参加者をアッパーに煽って、なんとか状況を打開しようと思ってしまいがちですが、これは機能しません。
私も先日、集まってくださった参加者がとても静かで、(これは一発、会場をドカンとあっためる時間を取らないとマズイかも…)と一瞬パニックに陥りそうになりました。こういう時こそ、自分だけで判断しないことが大事です。実際に、参加者がワークをしてくださっている時間を見計らって主催者の方へ様子を尋ねてみると、なんと「とても盛り上がっていますね!」と満面の笑みが返ってきたのです。
私としては、えーーー、本当に!? 無理してそう仰っていない? と疑ってしまうような静けさだったのですが、今日は笑顔が見られるとか、それぞれが口を開いているとか、参加者の具体的な様子への言及があり、信憑性が高い見立てに思えました。
私としては、どこかで介入しなければ場が崩壊してしまうのではないか、ワークショップの目的を果たせないのではないか、というレッドゾーンに思えていたのですが、私の持っている「盛り上がっている」の基準とは、全く質の違う基準がそこにはあったと気がつきました。振り返ってみれば、まさにアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込みや偏見)にやられていたなあと思います。
この一言で安心し、以降は自分基準での盛り上がっている、盛り上がっていないは気にせず、場の学びを最大化することに向けて全力でファシリテーションをすることができました。
介入すべきかどうかの判断はファシリテーター自身の感性に委ねる
こうしたケースは組織内でワークショップをさせていただく際にもよく見られます。こちらとしては(積極性に欠けているかな…?)と心配していたにも関わらず、後から「皆がここまで積極的に発話してくれたのはちょっと記憶にないです!」と正反対の感触をお伝えいただくことなどは、そう珍しくありません。
ただ、だからと言って、主催者や参加者の側だけの意見を聞くのが良いかというと、決してそうではないんですよね。主催者は盛り上がっていると言っているがそうではない、この場には絶対介入をしなければならない、というアラートをビシビシと感じる時などもありますし、その逆も然りです。
そしてもう一言だけ付言すると、場のかじ取りは、総じてファシリテーターの感性に委ねられていると私は思っています。ですから最終的には、ファシリテーターがキャッチした情報や違和感に沿って対話を進めていくことが極めて重要です。その際は、たとえ根拠のない感覚だったとしても、そう私に感じさせたことには必ず何か理由があるはずと、自信を持ってリードすることが対話の場作りを深めます。
こうした個別具体の事例、ファシリテーター論へ分け入っていくと奥行きが深すぎるので、今日は「場の盛り上がり度合いは、自分と他者、両方の感覚を総合して判断すると良い」ということを強調させていただいて、筆を置きたいと思います。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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