参加者のコンディションが整わないと有意義な学びや発見は生まれない
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WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。今年の前期に大学で講義をしていた時のことです。前の講義が野外での実習だったため、学生たちは私の講義時間ギリギリに駆け込みで戻ってきました。肩で息をする学生たち、初夏の陽気で汗だくでした。
その様子を見た瞬間、講義の開始時間を10分遅らせることを即決。しっかり水分補給と休憩をしていただいてから講義を始めました。この判断が奏功し、学生たちは集中して参加してくれました。
開幕のタイミングは参加者の様子に合わせる
ワークショップをしていると、この日のように開始時間になっても人が揃っていなかったりとか、前の予定からバタバタ移動してきた人が多いとか、トラブル対応を終わらせて来たばかりとか、様々な理由で(いま開始しちゃって大丈夫だろうか…?)と悩む時が多々あります。
私はこのような雰囲気を察知した際はできる限り開始時間を遅らせる判断をしていて、参加者がクールダウンできる余白を設けることにしています。場が整っていないうちにワークショップを進めると、どこかで参加者の集中が途切れてしまい、場が破綻してしまいかねないからです。目安の時間は5~15分くらい。
タイトに組み上げたワークショップや、そもそも時間が短いワークショップだと、10~15分時間が無くなるだけでも大きな損失です。場合によっては、用意していたワークをまるごとカットしなければならないこともあります。
ただ、そのリスクや調整の手間を差し引いても、まずは何より、参加者がいい状態でワークショップに入れることが大事だと思うのです。どんなにいいワークだったとしても、参加者のコンディションが悪ければ機能しません。
そのため、こちらの記事にも書かせていただきましたが、ワークショップをデザインする際は、こうした急な変更にも耐えうる設計をしておけるとベストです。
私はワークショップを組み上げた後には、必ず10~15分ほど時間が押してしまった時と、30分ほど押してしまった時のシミュレーションをして、どこをどう組み直すかを事前に準備するようにしています。これをやっておくと、開幕のコンディションが悪く後ろ倒しでスタートしなければならない会も無事に乗り越えることができます。特にオンラインワークショップでは接続トラブルによる時間ロスが頻発しますので、備えておいて損はないです。
時間変更の際は必ず丁寧な説明を
余談ですが、開幕時間を変更する場合は、必ず参加者が納得できる理由と、何時からスタートするかを丁寧にお伝えしておくことが極めて重要です。これを怠ると、せっかく意欲を持って定時に集まってくださった方々のエンゲージメントが急降下し本末転倒になってしまうからです。
予定どおりの時間に開幕できないと、つい焦ったり、イライラしたりしてしまうものですが、ワークショップの成果は「10分遅らせる勇気」で劇的に変わります。こうした状況に直面された際はぜひお試しあれ。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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