「時間配分上手」は「ワークショップ上手」

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。

私は東北芸術工科大学コミュニティデザイン学科でワークショップやファシリテーションについて講義をしているのですが、先日学生から、「ワークショップの時間配分は、どうやったら正確に見積もれますか?」という質問をいただきました。

そうなんですよね。ワークショップデザインに慣れないうちって、各ワークにどれくらいの時間がかかるか、あんまり勘が働かないものです。

当然ながらワークショップの時間配分は成果に対してかなり重要な要素で、適切な配分なら良いワークショップに、不適切な配分ならイマイチな会になりがちです。

「何をやるか」も大切ですが、「どれくらいやるか」もまた大切なのです。

目次

まずは何より「実際にやってみる」ことが重要

このご質問についての回答は、まずは実際にやってみよう! に尽きます。実践から得られるデータほど精緻なものはありません。ワークショップのビギナーほど、ぜひ手間を惜しまず、なるべく本番に近い環境で試してみましょう。リハーサルの有無は、ワークショップの成果に直結します。

もう少し突っ込んで書くと、

  1. ワーク案と時間配分を計画する
  2. 本番と同じようにやってみる
  3. 計画との差異を確かめる

という手順を踏んで検証してみることがとても重要です。ここからワークショップの時間配分を決定できれば、かなり正確なタイムラインが仕上がるはずです。

時間配分を計画せずにワークを試して「15分かかったね! じゃあこのワークには15分だ!」と時間を定めていく手順でも悪くはないのですが、こちらの手順だとちょっと場当たり的で、あまりセンスが養われないのではないかと思います。

もし中長期的にワークショップデザインをしていくなら、時間配分のセンスはとても大切な要素なので、計画と実践との差異を溜めていくことをオススメします。

時間配分を最適化するセンスを磨く

私が好きな本の中に『センスは知識からはじまる』という一冊があります。センスというつかみどころの無い概念を明確に定義してくださっていて、大袈裟な書き方に見えるかもしれませんが、この本に出会えた私は幸せだなあと思うくらい、大事にしている一冊です。

ちなみに、こちらが著者の水野学さんが書かれた「センスのよさ」の定義です。

「センスのよさ」とは、数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力である。

センスは知識からはじまる より引用

なぜ突然こんな話を書き出したかと言うと、最終的には、ワークショップの時間配分もセンスが物を言うからです。

「この一回しかワークショップを作らないんです」という人であれば、各ワークを実施して、時間を測って、タイムラインを組み立てるという進め方でもいいでしょう。

ですが、中長期的に、大量にワークショップをデザインする人は、このやり方では身が持ちません。

例えば私は、毎週何かしらの新しいワークショップを提供し続けているため、各ワークショップ案を実際にテストしてみる時間を捻出するのはほぼ不可能です。このような状況下で私のワークショップデザインを助けてくれているのが「センス」です。

経験の蓄積からセンスが生まれる

センスというワードからは、天才性や先天性といった、逆立ちしても身につけられないものを想起させられがちだと思うのですが、私はそのような優れた人間では全くありません。むしろ若い頃は、センスの良い友人と自分を比べて、超えられなさそうな壁に絶望してばかりでした。あなたにもそんな経験がありませんでしたか?

この点について、著者の水野学さんはセンスは「知識の集積である」と仰っていて、私はこの表現に深く共感しています。例えばオシャレが得意だった同級生は、きっとたくさんの服を着てみたり、コーディネートのパターンを考えてみたり、自分の体型を分析してみたりと、オシャレの探究に余念がなかったのだろうと思います。知識や経験の多寡によって、勘が働くか否かが決まるのです。

つまり私がワークショップの時間配分について感覚的に最適化できるようになったのは、シンプルに、何百回もワークショップを実施してきたからです。

昔は、あるワークを15分実施するか、20分実施するかの判断に迷うことが多くありましたが、今は「感覚的に絶対こっち」と選択しきれるのは、センスが備わったからに他なりません。

話をワークショップの最適な時間配分に戻しますと、ワークの時間配分における知識の集積とは、「計画と現実の差異」をたくさん集めることです。そのため先ほど書かせていただいた、計画→実践→検証のプロセスを踏むことが重要なのです。

自分の頭の中と、現実に起こることのズレを蓄積し続けていくと、それはいつしかワークショップ運営の「センス」として花開きます。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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