知らない土地でワークショップを開催する日は「町歩き」から情報を感じる

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。

私は仙台を拠点にフリーランスをしていますが、有り難いことに全国各地からワークショップのご依頼をいただき、出張することが多くあります。知らない土地に行くことはとても楽しい時間で、遠方からのご依頼はつい嬉しくなります。

ただ、価値あるワークショップをご提供するためには、ひとつだけ心配な点もあるのです。何かと言うと、その土地で暮らす人々のことが分からない、ということです。

以前ファシリテーションは準備が8割! という記事を書いた際、参加者の属性や思考の特性を把握しておくことがワークショップの精度を高めることに触れたのですが、当然ながら行ったことのない土地の人の雰囲気は想像ができないのです!

目次

参加者の時間感覚は貴重な情報

たとえば私は、参加者の時間感覚をけっこう気にしています。ざっくり書けば、どのくらいのスピード感で思考する、対話するのが心地よいか、ということです。この時間感覚って、地域や年代によってかなり差が出ます。

大きくまとめてしまって恐縮ですが、東京や大阪のビジネスマンにはスピード感が高い進行がフィットすることが多く、ローカルの年配者に向けたワークショップでは相当ゆっくりが好まれがちといった感じで、参加者属性によってバラツキがあります。

そのため仮に同じワークをご提供するにしても、前者には10分でチャキチャキと進めていただき、後者には15分で丁寧に進めていただく等の微調整をかけたほうが場のエネルギーが高まるわけです。

この逆をやってしまうと、かなりストレスが高い場になるので要注意です。

北海道北見市の商店街

参加者にとっての難易度も事前に把握したい

また、参加者の情報感度や学習意欲なども事前に知っておきたいポイントです。

2019年に青山学院大学のワークショップデザイナー育成プログラムでヴィゴツキーの「発達の最近接領域」について学んだ際、ワークショップは足場かけであり、支援者がいれば到達できる領域の範囲でコンテンツをデザインすることにとても価値があることを教えていただきました。

北海道北見市の商店街

以来私は、支援があっても到達できない領域ではなく、ひとりで到達できる領域でもない範囲にコンテンツの難易度を整えることを強く意識しています。

そのため、参加者がどんなことをご存知で、どんなことにはご興味がなさそうかをつかんでおけると、ワークショップデザインにも、当日のファシリテーションにも効くのです。

知らない土地の人にはセンサーが働かない

自分が長く住んでいる仙台であったり、東北という地方に暮らす人々には「一般像」を持ちやすいため、こうした想像が容易です。

例えば仙台でワークショップを開催するとしたら、まず「仙台人の一般像」を想像します。それから実際に参加いただく方々の属性や年代から想像を膨らませ、仙台人の一般像との差異を考えます。こういう手順を踏むと、参加者の方々の中心点が浮かび上がってきます。

ですが冒頭に書いたように、知らない土地の人に対してはこうしたセンサーが働きません。なぜなら、こうした推測は、出会ってきた人の数に比例して精度が高まるからです。知らない土地の人とは会ったことがないので、感度0です。

もちろん、このままでも良いワークショップはできるのですが、詰めの甘さを残す可能性があることを私は良しと思えないのです。私のストレングスファインダーは最上思考が1位なので、最上のコンテンツを作り込みたい気持ちが沸々と湧いてくるのですね。

町歩きをして五感で感じたことを場に活かす

こうした背景から、私は知らない土地でワークショップを開催する際は、できるだけ半日〜1日前には開催地へ入り、町をぶらぶら歩いてみる時間を意図的にデザインしています。

町のムードを五感で味わい、町行く人々の表情や身なりを観察し、地場のお食事処でどんな会話が繰り広げられているのかに耳を澄ませてみると、面白い発見や違和感が見つかり、何も知らなかった状態よりは「少し」勘が働くようになるのです。この「少し」がアドバンテージになることがとても多いんです。

ワークショップの微調整、ファシリテーションの方向づけに必要な情報であることはもちろん、冒頭の挨拶で語るネタが増えたり、参加者との心の距離感がぐっと縮まったりと、効能は多岐に渡ります。

私が東北芸術工科大学・コミュニティデザイン学科の講義で教科書に指定している『ソーシャルデザイン実践ガイド 地域の課題を解決する7つのステップ』では、いきなり社会課題を解決しようとする前に、まず現場を歩き、地域を身体で感じることの重要性が説かれています。

「現場を歩く」というのは、頭でっかちになりがちな社会課題に対する情報を、五感を駆使して「身体で感じる」ことです。足を動かす、目をこらす、耳を傾ける、手を動かす、匂いを嗅ぐ、味わう。身体を使って情報を感じ取ることで、思考が深まり、社会課題への理解が増します。デザインは、実際に手や身体を動かしてつくることが重要です。森を歩き、身体を動かして情報を集めながら、これは何だろう、どんなものだろうと体験して考えていく過程が、すでにソーシャルデザインの始まりなのです。

私はこの文章の主題を「ワークショップの提供」に置き換えても全く違和感がないと常々思っています。

もしかしたら出張でワークショップをされるという方は日本においてはまだまだ多くないかもしれませんが、ワークショップの前に町を歩き、五感を通じて情報を感じ取ること。私はぜひ、オススメしたいのです。

私の夢は全国47都道府県でのワークショップ開催

余談ですが、私は全国47都道府県でワークショップを開催するのが夢です。まだ開催したことのない県が35県もあるのですが、50歳になる12年後までには必ず達成したいと思っています。

こちらが、まだ私がワークショップを開催したことのない県の一覧です。

関東地方茨城県、栃木県、群馬県、千葉県
中部地方新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県
近畿地方京都府、大阪府、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国地方鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国地方徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州地方佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

もし「呼んでもいいぞ!」という方がいらしたら、ぜひご依頼ください!

旅をするようにワークショップをして生きる。私が独立時に掲げたテーマなんです。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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