WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。私はほぼ毎年、小学生〜70代くらいまでの幅広い年齢層・属性の方々にワークショップをご提供しています。
ワークショップ当日に意識しているのは、それぞれの年代や属性に合わせたファシリテーションです。特に、どんな言葉を使うかはかなり気を付けています。
結論から書くと、ワークショップ中に使う言葉は、参加者にフィットする言葉を選ぶに限ります。違和感を持たれる言葉、疑問に思われてしまう言葉を使うと、会への参加意欲が減退してしまうからです。
ビジネスシーンの言葉は要注意
たとえばビジネスシーンでは「As is To be」「プロコン」「コミット」「ボトルネック」などの英語、カタカナ語が当たり前に使われますが、一般的にはあまり耳慣れない言葉だったりします。
例が極端で恐縮ですが、ミスマッチを分かりやすくお伝えするために書いておくと、こうした言葉を一回も就職したことがない小学生であるとか、既に何年も昔にリタイアされたご年配の方々に使うと、全く意味が通じません。
「アクション」等のみんなが耳馴染みのある言葉でさえ、ビジネスシーンとそれ以外での用法がやや異なっているので、こちらの意図がうまく伝わらないことがあります。
また、地域や参加者の属性にも左右されます。ローカルでのワークショップ、新人を対象にしたワークショップなどは、上記のカタカナ語には補足が要るでしょう。逆に大手企業の部長などには、この程度をいちいち説明していたら怒られます。
「As is To be」という考え方を覚えて帰って欲しい! などの明確な狙いがない限り、参加者が知らなそうな言葉、混乱を生じそうな言葉を選ぶのは、ファシリテーターとしてちょっと不親切です。
若者言葉も同様
上記と同様に注意しておくべきが若者言葉です。若者言葉はその時々で流行り廃りがあることに加えて、全く意味を想像できない言葉が多種多様に存在しています。
私が若者だった頃には「チョベリグ」「チョベリバ」なんて言葉が流行りました。これはまだギリギリ意味が推測できる、一度聞けば覚えられる感じがありましたが、今の言葉って本当に暗号みたいですよね。聞いてもわからないし、覚えられない。
試しにウイナレッジというサイトで2023年の若者言葉を検索をしてみましたら、「好ハオ」「てぇてぇ」「ユザネ」「ちょえ」「羽ばたいている」「プルい」「蛙化現象」などがご紹介されていました。
羽ばたいている…、は「チョベリグ」みたいなニュアンスなんでしょうか…? 好ハオ、てぇてぇ、ユザネ、ちょえに至っては、耳だけで聞いたら、漢字なのか、平仮名なのか、カタカナなのかすら想像困難です。
こういう言葉は避けましょう。人によっては「ウケる」とか「ヤバイ」などのヤングな言葉、崩れた日本語などに強い嫌悪感を示す方もいるので、注意が必要です。
まずは相手の言葉に合わせる意識を持とう
こうした観点から、ファシリテーターは、参加者にとって耳馴染みの良い言葉を自在に選べるとGoodです。いくらワークショップのデザインが素晴らしくても、参加者と自分の言葉遣いがフィットしていなければ会がうまく進みませんし、参加者の満足も得られません。
私はワークショップ冒頭の15分くらいで、参加者がどの言葉にどんな反応をされるかを観察し、使う言葉の範囲を決めるようにしています。
ただし、ファシリテーションに慣れないうちは、どうしても普段自分が使っている言葉がまず口を突いてしまうものです。私自身も、ああ、この言葉は難しかった…、このワーディングじゃなかった…、と反省したことは、一度や二度ではありません。
この点、ビジネスシーンで活躍してきた期間が長い方ほど、注意が必要です。染み付いてきた言葉遣いを矯正するには、時間と場数がマスト! 焦らず意識改革を進めましょう。
普段から「言い換え」の練習を
どんな場でも、参加者にフィットする言葉遣いをするために、私がよく行っているのが「言い換え」のトレーニングです。
たとえば「メリデメ」という言葉を小学生に分かりやすく伝えるならなんて話す? みたいな問いを立てて「良い点 悪い点」「Goodポイント Badポイント」「嬉しいこと 困ること」といった風にいくつもの言い換えを考えます。そして、その中から、最も元の言葉のニュアンスを損なわずに、かつ相手に伝わる表現を探します。
私はこのトレーニングを、ちょっと難しいなあと感じるワードに出会った時に、意識して行うようにしています。こういう頭の使い方を普段からしておくと、参加者にとって難しそうな言葉を発しそうになった瞬間、咄嗟にやさしい言葉へと変換ができるようになるのです。ぜひ、やってみてください。
今日はここまで。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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