「備えあれば憂いなし」 ワークショップ案は複数用意がオススメです

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。先日、ファシリテーションの小技 場が騒がしい時は「小さく」喋るという記事を書き、私の原点である蔵王キャンプについてご紹介させていただきました。

キャンパーとして通った小中学生時代、キャンプリーダーとして運営に没頭した高大生時代の経験が、今でも私のワークショップデザインとファシリテーションを支えてくれています。

中でもプログラムの企画者として学びが大きかったのが、バックアッププランの準備です。不測の事態に陥った時に、迂回可能な選択肢を用意しておくことの重要さは、蔵王の自然が教えてくれました。

目次

雨天時のプランを持たなかった私たちに降り注いだ冷雨

私が大学生リーダーとしてキャンプ全体の運営に携わり始めた初期の頃、私たちは3泊4日のプログラムを企画することに不慣れすぎて、キャンプに入る前も、入ってからも、常に時間に追われ続けていました。そのため表のプログラムを用意するのに精一杯で、必要になるかわからないバックアッププランを設計しておく余力なんてなかったのです。

特に雨天時の計画は後回しで、天気予報を見て、プログラム前日の夜中か、当日の早朝に慌てて作るということが何年も前からの慣習になっていたんですね。300人ものキャンパーが集う一大イベントなのに…。いま振り返ると恐ろしいことです。

そうして迎えた野外活動の当日。朝起きると、蔵王の山中には冷たい雨がザーザーと降り注いでいました。バタバタと代替案を作り対応しましたが、決してクオリティが高い活動とは言えなかったことが、自分の中ではすごく心に引っかかりました

人間は決して自然には勝てない。天候を選ぶことはできない。なのに雨天のプログラム案を計画してこないって、いくら慣習だったとしてもおかしいのではないか? そう思ったんですよね。

だって雨だろうとなんだろうと、キャンパーに素晴らしい経験を提供することが、リーダーの責務でしょう。視座が低すぎた自分たちの運営に、とても後悔が募りました。

こうした経験があったので、以降のキャンプでは、雨でもダイナミックに楽しめるぞということを伝えたい一心でリソースを全投入。3泊4日全ての活動に雨天時のバックアッププランを準備するようになりました。

毎夏2クールのキャンプ運営をしてきた中で(全8クール)、実際に雨天のバックアッププランへ移行したのは1~2回程度のものですが、楽しそうに館内を駆け回るキャンパーの笑顔に、これまでとは違う感慨深さを味わったことが鮮明に記憶されています。失敗体験が、成功体験に転化した瞬間でもありました。

参加者の「有限な時間」を無駄に使わせない備えを

あれから20年の時が経ちますが、備えあれば憂いなしと学ばせてもらったこの経験は、今でも私の財産です。「バックアッププランの用意」は私のOSにガチッと組み込まれていて、プロのワークショップデザイナーとしての活動を助けてくれています。

特に、合宿などの実施時間が長いワークショップほど、予測不能な事態の発生確率が高まります。その際に一つのプランしか用意がなければ、対話は簡単に空転してしまうものです。

私は合宿をデザインする時は、最低でも20~30のワーク案を考えることから始めて、それらをつなぎ合わせて全体像を設計しています。実際に使うワークは5~7個程度になりますが、こうしておくと、どこかのワークが機能しなかった時や、ガラッと方向を変える必要に迫られた時などに、すぐに別案を取り出すことができます。使わないことを恐れず、バックアッププランで必要になるワークの備品も準備しておきます。

こうした準備はハッキリ言って手間がかかります。マスタープランのみで完遂できるなら、それに越したことはありません。

でも、蔵王の山中で感じた、運営者の手落ちによって参加者の貴重な時間を損失させてしまった…、という後味の悪さは、できればもう二度とゴメンなのですよね。

だから私は、不測の事態で計画変更を余儀なくされるリスクを健全に恐れ、事前の備えを万全にしていたいと思いますし、これからワークショップデザイナーを志す方にも、ぜひこうした準備をオススメしていきたいと思っています。

他人の時間を無駄に奪ってしまったかもしれない…、という後悔って、取り返せないから!

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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