ファシリテーションの小技 場が騒がしい時は「小さく」喋る

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。先日私のワークショップに興味を持ってくださった研修会社様とお打ち合わせをさせていただきました。隅々までHPやブログを読み込んで来てくださり、とても嬉しい時間でした。

ワークショップについての経験をご紹介する際、久しぶりに20年前の蔵王キャンプ運営を詳細に思い出しました。300人を超える小中学生のキャンパーと過ごした真夏の蔵王は、私の原点です。ワークショップの企画運営も、ファシリテーションも、全ては蔵王から始まりました。

さて、今日はそんな蔵王での体験から小技を一つご紹介します。騒がしい時は小さく喋れ、です。

目次

騒がしい時に大声を出しても徒労になりがち

蔵王キャンプでは300人が一同に介する活動時間がたびたびありました。朝の集いなんかはみんな静かに話を聞いてくれるものですが、ちょっと盛り上がる活動時間だともう大変。どれだけマイクを握り締めて声を張っても、ぜんぜん誰も聞いてくれません。場に大きい音が生じている状態の時に、大きい音をかぶせてアナウンスしても、元々のザワザワ感に吸収されてしまって、なかなか人の注意を引くことができないのです。

こういう時に、経験が浅いキャンプリーダーほど、めちゃくちゃ大きい声を出し、力技で解決しようとしがちです。でも、マイクから放たれた大声は、甲高いハウリング音へと転換されるばかりで、ほとんど意味をなしません。スピーカー周辺のキャンパーは不快な気持ちになり、リーダーは大声を出し過ぎて喉が枯れます。全くいいことがないのです。

よしんば声が届いたとしても、とんでもなく大きい声でのアナウンスが意味するのは「強制終了」です。せっかくの盛り上がりに水を差すのは野暮ってもの、スマートじゃないですね。

小さい声で自分の周囲へ着実に指示を届ける

こんな時に有効なのは、むしろ「小さい声」でアナウンスすることなんです。かつ意識すべきは、全体の注意を一斉に集めるのではなく、段階的に場を静めていくこと。大きい声でアナウンスする人は、この視点が抜けているのです。

場が騒々しい時に「小さい声」を出したって、聞こえるわけないじゃないか! とお感じになると思うのですが、これが意外と聞こえるんですよ。もちろん会場全体には届きませんが、少なくとも自分の周辺にいる人々には聞き取ってもらえます。

この時に「私の声が聞こえている人は、私の方を向いて座ってください」「この声が聞こえたら手を上げて静かにしてください」などのお願いをするのがコツです。

そうすると、まずは自分の周辺から場が静まっていきます。これを拡大していくのです。

静まった人々が一定の割合を超えると、まだアナウンスに気づかず騒いでいる人たちへ「聞こえたら手を上げてと言ってるよーー!」と、リーダーの指示を伝達してくれるムーブメントが必ず起こります。これによって、マイクで大声を出しても絶対に聞こえない大音量の空間が、囁き声すら聞き取れることができる空間へと早変わりするのです。

参加者にも運営者にも優しい「小さな声」のアナウンス

これは20~30人規模の研修や、100人程度のワークショップでも同じです。大音量の場に、大音声をかぶせてアナウンスするのは、双方にとってストレスを生みます。前述したように、参加者は盛り上がりを強制終了させられたらイヤですし、ファシリテーター側は場のマネジメントがうまくできないのでヤキモキします。

「小さな声で喋る」はこれらを生じさせないうえに、労力も最小な優れ技です。盛り上がって騒々しくなっている場をうまくリードすることができない、毎回自分が疲れてしまっている、必ず声が枯れてしまうなどのお悩みを持っている方は、ぜひ小さな声で喋る、をマスターしてみてください。

ささやきの声量と、普通の声量の、ちょうど間くらいの小さな声がオススメです。試してみて!

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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