WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。6月8日(土)〜9日(日)に、宮城県気仙沼市で2024年 伴走者合宿を開催しました!
伴走者合宿は、前職の東日本大震災復興支援財団で「ユースアクション東北」という事業を立ち上げた際、複数のパートナー団体と共催で始めた企画です。2015年〜2022年に渡って、PBLや探究学習に伴走している大人をお招きし、伴走活動を深める学びの獲得と、相互交流の場をご提供してきました。私にとっては、ワークショップデザイナーとしての独立を志した原点でもあります。
6回目の開催となる今回は 「わたしたち」から始める未来をテーマに、有志の実行委員が開催を呼びかけました。フレッシュで軽やかな若手と、熟練味が増してきたベテランたちとが楽しく混ざり合い、たくさんの触発が生まれた2日間でした!
新しいつながりを歓迎!
2024年の伴走者合宿は、運営を引き受けてくださった認定NPO法人底上げ 成宮さんの挨拶でスタート。「本気で遊ぶ場にしよう。そのために自分の意志を大切にしよう!」というメッセージから、場にポジティブなエネルギーが広がっていきました。
続いての全体チェックインでは、まず若者の伴走に携わり始めた年順に一重の円を作っていただきました。今回は60人ほどの参加者のうち、半分以上の方々が初参加でしたので、それぞれのご経験を一目瞭然にしておいた方が話しかけやすいだろうと思ったのです。
それから 4~5人グループに分かれての自己紹介を行いました。皆さんさすがの傾聴力で、会場は瞬く間に安心安全な空気で満たされていきます。3ラウンドの自己紹介が終わる頃には、そこかしこに笑顔が咲いていました。
新規参加者を歓迎する場の姿勢と、涼やかな海風が心地よく、とても爽やかな幕開けとなりました。
東北×探究学習の未来
1日目のメインパートでは、認定NPO法人カタリバの横山さんから、探究学習の概観についてお話しいただきました。ご経験や事例に基づいたご説明が明快で、探究学習の本質をよく理解できた参加者が多かったのではないかと思います。多くの参加者がハイライトとして挙げてくださっていたことを象徴するように、何十本ものペンが、せわしなくノートを飛び回っていた光景が印象的でした。
それからNPO法人みやっこベースの八島さん、一般社団法人Bridge for Fukushimaの佐藤さん、一般社団法人まるオフィスの加藤さんをお招きし、4人でパネルディスカッションを開催。学生の時に伴走してもらったストーリーや、現場で練り上げてこられた伴走の要点を共有いただきました。
八島さん、佐藤さんが語ってくださった探究への没頭から得た財産と、苦労した出来事との光と影は非常に聞き応えがあり、伴走のあり方を考えるうえでの示唆に富んでいました。加藤さんからは、子どもたちがコンフォートゾーンを飛び出し、自分の外側へ越境してみることの重要性を強調いただきました。このために構築されてきた具体的な伴走プロセスと、各活動の詳細は、多くの方にとって大変参考になる知見だったと思います。
参加者の皆さんには、これらの情報を土台に、探究学習のアップデートを目指すグループ、伴走者の役割やあり方を考えるグループ、先輩へのよろず相談グループ、その他グループに分かれ、自身の関心事を深堀りしていただきました。堰を切ったように語り出す参加者の様子に、良質なインプットが良い対話の呼び水となることを改めて実感しました。
今回は、①PBLの伴走から探究学習の現場まで幅広い経験を持つ方 ②まだ探究学習の伴走を始めて間もない方 ③これから探究学習に関わってみたい方 と、参加者の属性がキレイに三等分されていたので、対話の前提を揃えるためのインプットがとても重要でした。このためスピーカーの皆さんから多彩な情報をご提供いただけたことが、本当に有り難かったです!
伴走者どうしの協働に向けたアイデア共創
2日目は「東北のより良い未来を創るために伴走者どうしが協働できることは?」をお題にアイデア共創を行いました。妄想アイデアトレーニング「モウトレ」というワークショップをご提供したところ、ほんの20分で400個を超えるアイデアが誕生! とんでもない爆発力で、嬉しい悲鳴でした。
アイデアが大量性生成されるためには、場の心理的安全性が大きく影響します。この圧倒的なアイデア数を前に、改めて伴走者コミュニティの風通しの良さを実感しました。
これだけの数のアイデアがあると、自分の興味関心が高いテーマと出会える可能性はぐっと高まります。参加者の皆さんには、じっくりと時間をかけて「最も取り組んでみたいアイデア」を探してもらい、OST形式で同志を募っていただきました。そしてグループ毎に、アイデアをさらに面白くするには? アイデアを実現するためには? という2つの問いを探究いただきました。
アイデア発表会では、就労2年目までのルーキーが交換留学できる制度、人形劇で伴走ストーリーを動画化、若者が大人に伴走してもらう(反転)、震災後の学びを他地域へ転移する取り組みなど、熱意ある共有が続き、開催した甲斐を感じられる時間となりました!
余談ですが、私個人は「伴走者Slackの運用」というアイデアに最も衝撃を受けました。まさに雷に打たれたような心地がして、しまった…と思ったのです。というのも、伴走者コミュニティは発足以来の9年間、ずっとFBメッセンジャーでコミュニケーションを重ねてきました。この状態が当たり前化されすぎていて、前提を疑い、他ツールの可能性を探る姿勢に欠けていたことに、ハッと気づかされたのです。
冷静に見つめ直してみたら、Slackの利便性が勝るのは明白です。実際、イベント案内や活動紹介、ワークショップや提案資料の共有、サークル活動、悩み相談などなど、Slackの特性を活かした新たなコミュニケーションスタイルを提示いただき、私は心からワクワクしました。初参加者が多かった今回ならではの産物だったと思います、皆さんに感謝です!
新たなコミュニケーション・プラットフォームを得た伴走者コミュニティが今後どのように発展していくのか、ますます楽しみになりました。
次の10年もご一緒に!
合宿のラストは全体でチェックアウトを行いました。エネルギーが湧いてきた、悩みが解消された、このコミュニティがあって良かった等々の感想をいただき、思わず涙腺が緩みそうになりました。
私は皆さんの感想に触れながら、じんわりと感動しつつ、これからの10年も一緒に歩んでいきたいな、という気持ちを味わっていました。たくさんの仲間と、楽しく過ごした思い出が増えていけばいくほど、「幸せな人生だった」と思えるだろうなぁと、ふっと遙か未来の情景が浮かんできたんですよね。
しかし、無条件でずっと良好な状態が続くかと言えば、残念ながらそうではないのが人間関係だと思います。焚き火が元気よく燃え続けるためには、薪をくべたり、空気の通り道を作ったりする必要があるように、人間関係を良好に保っていくためにも、何かしら定期的な手入れは必要です。
全体チェックアウトの時間では、手入れを担う1人として立場を取り、今後もこうした場づくりを引き受けよう、コミュニティの維持発展に貢献しよう、と決意が新たになりました。そして願わくば、同じ思いを持った人たちと共に、コミュニティのファイヤーキープを楽しんでいけたら嬉しいです。
本当に毎回思いますが、今年も素敵な機会に立ち合わせていただきありがとうございました。参加してくださった方々、運営事務局の皆さんに、大大大感謝です!
来年も元気にお会いしましょう!
ご参加団体(NPO法人みやっこベースさん)の感想レポート
伴走者合宿を振り返っての対談(最近どう?〜NPO法人底上げの東北ウェルビーイングラジオ〜)
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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