「あなた」の現実を「みんな」の現実へ 相互前進を生み出すダイアローグを開催

ダイアローグは相互前進の場

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。2021年も始めの1ヶ月が終わり、春が近づいて来ています。夕暮れ時、まだ西の空に浮かんでいる太陽を眺めては、春の訪れを楽しみに感じるこの頃です。

2020年は、パートナー契約を結んでいる(株)Palletで、組織開発のワークショップに集中した1年でした。どのワークショップも結果にご満足をいただき、しっかりとクライアント様のオーダーにお応えできたと思います。

一方で私自身としては「ワークショップはクライアントの中長期的な発展に貢献できているか?」という問いが頭から離れない1年でもありました。ワークショップの場では盛り上がるものの、職場に戻ればいつも通りというケースが散見されたからです。持続力が低かったのです。

昨年多くの組織でワークショップをさせていただき気づいたのは、どの組織も「心理的安全性」を生み出すことに苦心している、あるいは概念を全く知らないということでした。そしてそれが、健全な対話が組織内で生まれにくい要因でもあると感じました。自分の意見が否定される。勇気を出して語ってみても何も起こらない。それどころか攻撃される材料になりかねない。こういう心理的な不安を抱えている空間では、人は自分の殻に閉じこもりがちです。

こうした状況を改善するためには、単発のワークショップに留まっていてはいけない。そう考えさせられました。

目次

点のワークショップから 線のダイアローグへ

そこでPalletの活動においてはワークショップデザイナーという肩書きを一新し、ダイアローグデザイナーと名乗ることを決めました。その瞬間の盛り上がりや感動をつくり出すだけに留まらず、対話が日常的に生まれる組織づくりを応援したいと願ってのことでした。2020年11月のことです。

それからサービスの検討チームをPallet内で立ち上げ、昼夜をとわず、2ヶ月をかけて語り明かしました。毎週Zoomで集まっては、読んだ本を共有したり、それぞれの葛藤について即興的にダイアローグが生まれたりと、アジェンダも決めずに話し合える、力の抜けた楽しい時間でした。

対話が1ヶ月ほど経った頃でしょうか。メンバー同士はすでにお互いのことを知り合っていて、仲も良いと感じていた関係でしたが、定期的に対話を重ねたことでこれまでは見えていなかった「奥」が存在することをお互いが察知しあい始めたように思います。

奥とは、本能的な恐れや、願いの源泉のことです。飾り気のない胸の内が語られた時ほど、お互いの存在をより大切にしたいと思わずにはいられませんでした。対話には自分たちが想像していた以上に、お互いの距離を引き合わせる力があることを感じました。

こうして仕上がったプロトタイプは、Palletの2021年キックオフミーティングにてお披露目となりました。

集結の2020年から 集中の2021年へ

Palletはまだ若い組織です。組織開発領域については9名の体制で活動をしていますが、その半数近くが2020年に加わったメンバーです。かつ、そのほとんどがフリーランスなのです。

ひとつの仕事に身を委ねてしまうことは、フリーランスにとって得策ではありません。もし大口顧客からの収入が途絶えたらすぐさま行き詰まってしまうからです。Palletに限ってそんな結末にはならないと信じたい気持ちはあるものの、家族のことを思うと、適度なリスク分散は欠かせません。

一方、仕事を分散しすぎるのも良くありません。各顧客とのコミュニケーションが煩雑になり、どの仕事もおざなりになってしまうからです。自分の成果が次の仕事を呼び込んでくれるのがフリーランスです。扱う仕事のクオリティ低下は、ダイレクトに食い扶持の喪失を意味します。こうした背景からメンバーの多くが複数の仕事を抱えており、Palletに愛着を持ちながらも、なかなか業務を集約しきれないというジレンマが顕在化していました。

そこで初めてのダイアローグは、「集結の2020年 集中の2021年」と名付け、各自が抱えている葛藤を起点として、2021年の船出が順風満帆となるよう対話を試みました。

さまざまな期待と共にPelletへ集まった私たちは、まるで幼なじみか何かのように2020年を過ごして来ました。一緒に過ごすのが楽しいだけに、会話はいつも前向きでした。そこにコロナ禍での接触減が重なり、お互いの心配や不安は、大っぴらに語られることがありませんでした。

しかし、我々はみな同じ体験をしているようでいて、それぞれの生きている現実、感じている現実は別々です。心を開かない限り、現実はいつも自分一人だけのものです。一人の孤独は現実を悪化させ、エネルギーを奪ってしまいます。だから、一人だけの現実を、みんなの現実へ。それがこの時間に込めた願いでした。

、一人だけの現実を、みんなの現実へ

明日への活力は「つながり」から生まれる

夫婦が縁側で語り合っているような穏やかなペースで、Palletの面白さにブレーキをかける心情が、ひとり、またひとりと開かれていくうち、「私も同じように感じていた」という触発があちこちで巡りました。壁一面に貼られたホワイトボードには次々と言葉が書き足され、ほんの1時間でもうどこにも余白がなくなっていたくらいです。

みんなの共有を聴きながら、それぞれが自分のブレーキと向き合っていました。そのため、重たい場であったとも言えます。事実、向き合うことが難しい壁と出会い、疲弊し切ってしまったメンバーもいました。

それでも、お互いの偽らざる気持ちを受け取り続けた先に、すっといくつかの道筋が立ち上がり、やがて「この道を歩んでみたい」というヒラメキで場が湧き始めました。不安や恐れを包み込んでいたカラが、そっと破れた。私には、そんな風に感じられました。

私たちひとりひとりが自分だけの現実を生きている同じ瞬間に、他の誰かもまた、その人だけの現実を生きています。でも、日常の喧騒に孤独を感じずにはいられない時に (あの時にみんなと対話ができた) と他者とのつながりを呼び戻すことができたら。きっとそれ以上に力が湧いてくることはないと思うのです。

対話が日常的に生まれる組織づくりを応援するためのダイアローグ、早速いくつかのご依頼をいただいております。対話の流れにゆったりと身を委ね、楽しんでいただけたら冥利につきます。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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