「ワークショップが嫌い」な方へワークショップを行う時のお作法

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。

「私ワークショップが嫌いなんです」

長くワークショップを実施していると、時折こうしたお気持ちを持った方にお会いします。直接お伝えいただくこともあれば、そう顔に書いてあることもありますし、嫌いの濃淡は様々です。

目次

私もワークショップ参加が得意ではない

実は何を隠そう私自身が、誰かがデザインしたワークショップに参加するのは嫌いです。私は人見知りなので、お会いしたことがない方と一緒のグループになるのは緊張しますし、無理やり自己開示をさせられるような圧力を感じ、心からガッカリすることが多かったからです。

ワークショップを嫌う理由は人それぞれですが、背景を紐解いてみると、以前参加したワークショップで嫌な経験をしたという方が多くの割合を占めているように感じます。

もう一歩踏み込んで書くと「以前参加したワークショップで何にも成果が生まれなかった」か、「以前参加したワークショップで自己開示を強要された」かの、どちらかが主因であることが大半です。

今日はこうしたお気持ちを持った方がワークショップにお越しになる場合に、どう向き合うとお互いに心地よく過ごすことができるか、私なりのお作法をご紹介いたします。

ワークショップへの期待値が低い方と接する時のお作法

以前参加したワークショップで何にも成果が生まれなかったからワークショップが嫌いだとお感じになっている方と接するには、ワークショップの空間をガラス張りにすることが何より重要だと私は考えています。

つまりどういうことかと言うと、できる限りプロセスを開示し、透明感が高い進行を心がけるということです。

過去のワークショップで成果が上がらなかった方が最も気にしているのは「ワークショップの成果」です。つまり、成果が乏しければご不満に感じ、成果が上がればご満足をいただけるということ。そのため、このワークショップは成果が出るかもしれないとお感じいただければ、とても前向きにご参加いただける可能性が高まります。

ワークショップのごく早い段階で「成果が出るかも」とお感じになっていただくためには、ワークショップが辿るプロセスを先に知っておいていただくことです。うまく行かないワークショップほど、ワークショップの全体像や、次のワークとの接続をろくに説明しないまま場を進めています。行われている対話にはどんな狙いがあるのか、この先のワークへどう繋がっていくのかが知らされないままだと、フワフワとした中身の薄い対話が生まれがちです。もちろん成果が出ませんし、参加者が迷子になってしまうので不満が高まります。

そのため私は必ずワークショップの冒頭で、この会がどんな目的で開かれ、ゴールとして目指している状態は何で、そのためにどんなステップを踏むかを丁寧にご説明しています。ワークショップのプロセスが見えると、このワークショップには価値がありそうか、成果が出そうかがなんとなく想像できるからです

ここで「お、ちょっと期待が持てるかも」とか、「これまでのワークショップとは一味違うぞ」と思っていただけたたら、強力な仲間ができたも同然。しっかり成果を出すために、積極的な参加をしてくださるでしょう。

ワークショップでの時間がトラウマになっている方と接する時のお作法

以前参加したワークショップで嫌な思いをさせられたからワークショップが嫌いだとお感じになっている方は、多くの場合が、無理やりやらされたという体験をお持ちです。例えば、恥ずかしいゲームをみんなの前でやらされたとか、言いたくなかったのに無理やり自己開示させられたとか。

こうした方と接する時のお作法は、至ってシンプルです。無理やりやらせないこと。そして、嫌だと感じたら参加しない権利があるということをしっかり伝えること。この2つにつきます。

ワークショップは自由な空間だと私は考えています。言う、言わないも自由だし、参加する、しないも本当は自由。自由が許された空間だからこそ、現状を大きく変えうる面白いアイディアが創造されるのです。

でもワークショップが嫌いな方は、ワークショップは言わされる空間だと思っているし、強制的に参加させられる時間だと感じられていることがほとんです。だからまず、その思い込みから参加者を解放してあげなければなりません。

そこで私は、事前にワークショップに参加するのが嫌いな方がたくさんいるという情報をいただいた場合や、相対していて(きっとこの方々はワークショップが嫌いだ)と感じた際は、「言うも言わないも自由だし、言いたいことは言わなくてもOK」「もし途中で参加しているのが辛くなったら席を立ったり休憩してもOK」と言う2点をアナウンスしています。

ワークショップで嫌な体験をしたというトラウマは、そう簡単には消えないかもしれません。でも、「これまでのワークショップとは違うんだ……」と少しだけでも安心してもらえたら、きっと素敵な対話の空間が生まれていくと思うのです。

「この世界の優しさを分かち合う」ワークショップ

機能するワークショップを日本の文化に!

いかがでしたでしょうか?

私は機能するワークショップを日本の文化にしたいと思っています。弾むようにアイディアが生まれるワークショップや、安心して自分自身の軸を探せるワークショップが世の中にもっともっと増えたら、幸福感を感じる人が多い社会の創出へつながるのではないかと、本気で信じているからです。

そのために、素晴らしいワークショップを実施し合う仲間や、ワークショップが好きな方々が増えたら嬉しいのです。

今日はワークショップが嫌いな方がワークショップへお越しになられた際のお作法について書かせていただきました。あなたのワークショップ運営に、何か参考になれば幸いです。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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