先日、お世話になっている東京のIT企業様の役員合宿に、ファシリテーターとして参加させていただきました。
急速なテクノロジーの進展により、IT企業は競争力を保つために絶えず変化し続ける必要があります。そのため役員合宿は、今後の戦略立案と意思決定のための重要な場です。ここでの対話の質は、企業の成果、成長に直結します。
そうした貴重な1泊2日の合宿をリードさせていただき、戦略設計の対話において外部ファシリテーターの存在は非常に重要であるということを改めて実感いたしました。
具体的には、下記の5点について外部ファシリテーターの存在意義値を感じましたので、備忘のために残しておこうと思います。
客観的な視点の持ち込み
どんな企業でも共通して言えるのは、企業内部のメンバーは日々の業務に追われているため、特定のバイアスや固定観念にとらわれることがしばしばあるということです。この思考の枠組みの中だけで議論をしていると、組織の停滞を招きます。
それに対して、外部ファシリテーターは企業に対して無関係な第三者として参加するため、客観的な視点から意見を提示することができます。
客観的な視点、これまでに検討していなかった視点が場にもたらされることから、既存の現実の延長線上ではない対話が促進されれば、新しい発見が生まれる可能性が高まります。
程よい緊張感と意欲の醸成
身内だけの対話だと、誰かがダラダラ話し続けてしまったり、話が脱線してしまったりすることがよくありますが、外部ファシリテーターの存在は、参加メンバーに自然と程よい緊張感を生みます。
また、おそらく「恥ずかしいところは見せられない」という、ある種の気概のようなものが参加者の中に湧き上がってくるように見て取れました。
これらの相乗効果によって、場にいい空気が満ち、参加者の責任感と集中力が増していました。対話の場においてガチガチの緊張は不要ですが、程よく背筋が伸びるオフィシャル感は、健全な対話を促進しますね。
議題へのフォーカスとプロセスの設計
不満足に終わる会議は、「何を、どれくらい話したらいいのか」が曖昧なまま話が進んでしまっていることが多いです。また、「次にどんな展開になるのか」が見えない会議も、不調になりがちです。
そのような状況に陥ることがないよう、外部ファシリテーターが議題の範囲や時間の制約等が明確にし続けることができれば、参加者は自然と議題に集中し、効率的な議論が展開されるなということを、改めて実感しました。
今回の合宿では、対話の深まりに合わせて、優先すべき議題の整理と、進め方や時間配分の再調整を細かく実施しました。
内部のメンバーだけだと、各ステークホルダーの顔色を見てしまうため、なかなかドラスティックな予定変更を作りづらいかもしれませんが、利害関係の無い外部ファシリテーターには、目的達成に向けた再設計が容易です。
平等性の確保
内輪だけでのミーティング等では、声の大きい人や、各部門の責任者、上長など、特定の方だけが主体となって議論が進められてしまうことがよく起こります。これはとてももったいない状況です。
なぜなら対話の場では、業務とは関係が薄かったりする人の何気ない一言や、普段思いを秘めている人の吐露によって、思いもよらぬ発見が生まれることが多々ああるからです。
外部ファシリテーターが介在することで、一部の方だけが話し続けるのではなく、各参加者のリアルな声を均等に拾いやすくなります。
アクションのまとめと促進
アイデアがたくさん飛び交うのはとても良いことですが、時に参加者が情報過多に陥り、自分たちでは話を整理できなくなってしまうことがあります。
そうした時に、外部ファシリテーターが議論の要点を定義し、重要な洞察や今後のアクションをまとめるよう促すことは、大きな手助けになります。この点がクリアーになっていれば、日常に戻った際、何をしたら良いのだろうかと思い悩むことがなくなり、新しいアクションをクイックに実行に移すことが可能です。
まとめ
私は普段ワークショップの企画運営〜当日のファシリテーションを生業としているのですが、こうしたファシリテーション単体のご依頼もとてもやり甲斐があるなぁと感じました。
媒介となる人の存在によって、対話の場は様々な表情を見せます。私ももっと精進して、変幻自在な場作りを担っていきたいと決意が新たになりました。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
◆ワークショップや研修のご相談は下記から◆
どうぞお気軽にお問い合わせください。
コメント