妄想アイデア出しを阻害する3つの要因

妄想を阻害する要因を遠ざける一手間がとても大切!

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。私は一般社団法人妄想からアイデアを共創する協会の理事として、妄想アイデアトレーニング「モウトレ」という、アイデア発想とコミュニケーションを学んでいただくワークショップをご提供しています。

モウトレでは参加者に「妄想」を楽しんでいただくのですが、妄想が盛り上がるためには様々な仕掛けや要素が必要です。

そこでこのシリーズでは、妄想を盛り上げるために必要なファシリテーターの役割や、ワークショップデザインについて紐解いていこうと思います。今回のテーマはブレストなどの対話の場における、妄想を阻害する3つの要因についてです。

目次

待ち時間での思考停止と話題の固着化<生産性の阻害>

まず始めに取り上げるのはブレインストーミングにおける待ち時間です。大人数でブレストを行う際は、他の人のアイデアに集中して耳を傾け、自分の発言する順番を待っていなければなりません。その間は新たな妄想アイデアを考えることができず、結果として個人の生産性が低下してしまうということが研究で明らかになっています。

また、グループでのブレストは早々に話題が固着化してしまうということが往々にして見られ、アイデアの数は出ているようでも、大別すると同じカテゴリについてだけ話し合っていたという状況に陥りがちです。

こうした状況を避けるためには、まずは個人だけでアイデアを妄想する時間を設けることです。いきなり大人数で話し始めるのではなく、個々人がしっかりとアイデアを妄想し尽くせるだけの時間を取ってから、グループワークへと移行させるのです。

具体的には、先にポストイットにアイデアを記入してもらうとか、スプレッドシートやMiroなどのツールを使う方法も考えられますし、白紙に思いついたことやイラスト等を書いていただく形式でも良いと思います。

この一手間を踏むことで、個人のアイデア創造意欲が阻害されにくくなり、かつ多様な観点のアイデアが場に共有されやすくなります。

アイデアの自主的な取り下げ<社会的抑制>

次にご紹介するのが、セルフジャッジによるアイデアの取り下げです。これは心理的安全性が低い場で起こりがちで、他のメンバーからの評価を不安視し、せっかく思いついたアイデアを胸の奥底にしまってしまうという現象です。

ブレストでは、「批判厳禁」「自由奔放」というルールが提示されることがメジャーだと思いますが、そうは言っても…、ちょっとこれは言いづらいな…、と集団の圧力に屈してしまうこともあります。これは、社会的抑制と呼ばれる集団がもつマイナスの効果のひとつです。この作用は、難しい話題やセンシティブなテーマを取り扱う際に、より顕著になります。

こうした現象を回避するにも、先ほどのパートでご紹介した「個人作業」の時間を徹底することが機能します。ただしひとつだけ書き加えておくとしたら、匿名でアイデアを出せる工夫があると最高です。ポストイットでは、書いている最中に覗き見られたり、字のクセやペンの色で個人を特定される可能性があり、そのためこれを嫌う人も一定数いることを覚えておくと良いです。

他人任せ<社会的怠惰>

最後にご紹介するのは、社会的手抜きについてです。妄想を膨らましアイデアを創出する場では、その日のテーマと相性の良い方が、矢継ぎ早にアイデアを共有し続ける光景がよく見られます。

こうしたアイデアパーソンが現れた時に起こりがちなのが、あとは彼/彼女に任せておこう、と考えるフリーライダーの登場です。フリーライダーになった方々は、とても上手にサボります。そのため表面上はグループワークが盛り上がっているように見えたりするのですが、実情としては、特定の個人が孤軍奮闘しているだけの場合があります。

これは中々に頭が痛い問題で、先に紹介した2つのように仕組みでスパッと解決するのがやや難しいです。手抜きをしにくい進行をデザインする、責任感が分散しないような参加者のマインドセットを作る、それぞれに役割を与える、参加することがとても楽しい内容とするなど、複合的な観点から少しでもサボりが減少するワークショップデザインとファシリテーションを行う必要があります。

チームがもっと共創力を発揮しあえたら素敵だ

ここまで、「妄想を阻害する3つの要因」について書かせていただきました。

自分が学生時代の頃は、みんなでアイデアを考えよう! とその場でいきなりブレストを始めてしまっていたのですが、いま振り返ると、やや機能不全な日もたくさんありました。

やはり特定の人だけが話してしまうとか、幅広いアイデアを考えていたようでいて、実はほとんど同じような内容だったりとか、チームでの共創力を発揮できなかった日のモヤモヤした感情は、20年という月日が経っても、未だにフレッシュな感覚として自分の中に残っています。私がチームでの対話をもっとおもしろくしたいと思っているのは、こうした記憶がこびりついているからなのかもしれません。

妄想が膨らむ場作りに必要な要素をご紹介するシリーズ、第五弾はここまでとなります。次回は妄想を膨らませる可視化の力の重要性について書いていこうと思います。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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