WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。先日、北海道北見市にお招きいただきまして、近隣5市町村の職員研修を担当させていただきました。
-15℃という天気予報に震えましたが、幸いあまり冷えず、雪もまばらでした。今年は東北地方でもだいぶ雪が少なく、記録的な暖冬となっていますが、まさか北海道でも小雪とは思いませんでした。
お題は「心身ともに健康で幸せな役所をつくるアイデア」
今回は毎年北見地域で開催されている「役所合同での若手研修」への登壇依頼でした。アイデアを作り、実行する力を高めたいという目的に沿って、アイデア発想のワークショップ「モウトレ 」を2時間半に渡って提供させていただきました。
北見市、美幌町、津別町、訓子府町、置戸町から32名の方々が集まってくださり、寒さを吹き飛ばすほどたくさんのアイデアを考えていただきました!
アイデア出しのお題は「心身ともに健康で幸せな役所をつくるアイデア」でした。
つい最近『働き手不足 1100万人の衝撃』という本を読んだのですが、一説では2040年までに1100万人の労働人口が減少する可能性があるようです。これはどのくらいのインパクトかというと、現在の東北の労働者数の2倍、あるいは近畿圏の労働者数と同じくらいの数だそうなんですね。
これだけ労働人口が減ってしまう未来では、人材獲得競争が想像もつかないほど熾烈になっているはずです。この時、民間企業は賃金アップ等のわかりやすい魅力を提示して、自社の競争力を高めることが予想されますが、地方の役所で大幅な賃上げを実現するのは至難です。
つまり来るべき未来に備えて、今から役所で働くことを魅力的にしていかないと、公務員のなり手が激減してしまうのです。そしてこの傾向は、既に顕著になってきています。
そうした時代の背景をお話ししながら、どうしたら役所で働く人のWell-Beingが高まるかを自由に発想していただきました。
大量のアイデアが発想された2つの理由
今回は3ラウンドのアイデア出しを行ったのですが、なんと361個もの案がサイトに登録されました! 30分にも満たない時間で、これだけの数のアイデアを出せるのは、本当にすごいなと感じました。
たくさんのアイデアが出た要因は、主に2点あると感じます。
ひとつ目は、参加者の皆様がとてもアイデア体質だったことです。アイデアはくだらないもの、実現不可能なものも臆せずにアウトプットすることで、連想のトリガーが増え、思いもよらぬ発想につながっていきます。この点とても大事なので、私はアイデア共創を行う際に必ずお伝えしているのですが、そうは言っても、うまくできる方もいれば、そうでない方もいらっしゃるんですよね。今回ご参加くださった皆様は、くだらないアイデアも取り下げずに入力してくださったので、とても思考が広がりやすかったと思います。
もうひとつは、役所には働き方を改善できる余地がたくさんあるということです。私は2008年から社会人になりましたが、この15年程度だけを見ても、民間の職場の働き方や、これまで当たり前とされてきた様々な慣習は、大きく見直されています。「劇的」と書いて差し支えないほどの変貌を遂げた職場も、そう珍しくないですよね。
それに対して、役所は変化の度合いがまだまだ少ないように見受けられました。性質上、なかなか新しいことにチャレンジできなかったり、民間に浸透してからでないと取り入れることが難しかったり等のしがらみが、たくさんあるのでしょう。服装の自由化、BGMがある環境づくり、有給の促進など、民間では比較的取り組みやすいことも、役所ではハードルが高そうです。
面白いアイデアは自発的な変化を促す
こうした状況を変えていくためには、内外の理解がとても重要だと思います。
まず外に目を向けると、日本の社会は、これまで公務員の方々に「過剰」に求めすぎだったのではないかと思うのです。地域社会の持続可能性を高めるためには、役所で働く人々の存在を欠かすことができません。これからの時代は、「公務員だから〇〇しろ」「公務員なのに〇〇するな」なんて言わずに、パートナーとしてフラットな関係を築いていきたいですね。
内部においては、主体的に変化を生み出していく姿勢が必要だと思います。特に昨今の若者世代は、多様な価値観を持ち、それぞれのライフスタイルを重視する傾向にあります。画一的なルールに縛られすぎてしまっていては、若者がどんどん離れて行ってしまいます。
変化は待っていても起こりませんが、面白いアイデアと出会えると「これを実現してみたい!」という意欲が高まるものです。今回のアイデア発想を機に、役所で働く方々のより良い未来を作るためのアクションを進めていただけましたら、ワークショップデザイナー冥利に尽きます。そして、各地の地方自治体様に向けて、こうしたアイデア発想の機会をお届けできましたら嬉しいです。
ご依頼をいただきありがとうございました。
対話をもっとおもしろく。
相内洋輔
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