ワークショップを無理なく量産するための5つの思考手順

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。引き続き『1秒で答えをつくる力』をフックに、ワークショップやファシリテーションについて書いてみます。

今日取り上げるのは、ワークショップを無理なく量産するための思考手順についてです。同書の思考に「締切」を設けるという章で紹介されていた5つのステップが、私がワークショップを作る過程と酷似していたので、ぜひご紹介したいと思いました!

目次

最初から正解を目指さない

著者の本多さんは漫才の台本を書く作家さんで、これまで2,000本以上の漫才やコントを作ってこられたそうです。すごい数ですよね。

台本の作成はいきなり100%の完成品を目指すのではなく、まずはここまでとステップを決めて順々に作業を進めていると書かれています。

 私はネタを考える時に一度「ここまで」という締切を設けるようにしています。すると最初はどう考えても笑えないというネタも当然出てきます。ですが、ここで重要なのは「最初から正解が出るわけではない」と割り切ることです

いきなり正解にたどり着こうとするのではなく、少しずつステップを踏みながら、ブラッシュアップをしていくとスムーズに、かつ短時間で納得できる答えにたどり着くことができます

このポイント、ワークショップの設計も同じだと感じます。いきなり一発回答を目指すと苦しくなってしまい、面白いアイデアが湧いてこないものです。

思考の締切5ステップ

その上で本多さんは、ご自身の思考ステップをビジネスシーンでも使えるように言い換えてご紹介してくださっています。それが下記の5ステップです。

思考の締切5ステップ

1 仕事の要件を整理する 15分間 達成目標20%

2 要件を満たしたアイデアや解決策を書き出す 30分間 達成目標40%

3 気に入ったアイデアや解決策を深堀りする 30分間 達成目標60%

4 アイデア、解決策を形にする 60分間 達成目標80%

5 細かいディティールを確認する 30分間 達成目標100%

この思考の進め方を、ぜひワークショップをデザインする際に試してみていただきたいのです。というのも、私を始め身近なワークショップデザイナーの多くが、こうした思考手順を踏んでいます。

特に「2 要件を満たしたアイデアや解決策を書き出す」から「3 気に入ったアイデアや解決策を深堀りする」の部分はとても重要です。

依頼されたテーマに対して、こんな可能性もあるな、あんな手法も使えそうだなと広くアイデアを発散させた後、気に入ったアイデアを磨き込んでいくほうが精度の高いワークショップデザインにつながります。

思考の締切5ステップ×ワークショップデザイン

上記のステップをワークショップデザインに当てはめてみると、こんな形になります。

まず「仕事の要件を整理する」ステップでは、会の目的、参加人数、会場など、所与の条件を整理することから始まります。この時に参加者の属性を詳しくリサーチしておけるとベストです。

要件を満たしたアイデアや解決策を書き出す」というステップでは、目的に沿ったインプットや、形式を思いつく限り羅列します。心理的安全性、OODAループ、アイデア共創の要点といったテーマを箇条書きしたり、皆で探究しがいのある「問い」をメモしたり、ワールドカフェ、LEGO®︎ SERIOUS PLAY®︎などの手法・スタイルの候補を洗い出したりします。上記でも書いた通り、このステップでは可能性を広げて発散する姿勢が重要です。

気に入ったアイデアや解決策を深堀りする」「アイデア、解決策を形にする」ステップでは、上記のメモから最も目的に沿った前進を作り出せそうなアイデアを抽出します。それからアイデアの魅力を膨らませたり、体験学習のプロセスをデザインしたり、各テーマを扱う順番を考えたりしながら、ワークショップの骨格を仕立てていきます。ここではいったん時間配分にこだわりすぎず、各ワークに必要と思われる時間をざっくり考えておきます。

そして「細かいディティールを確認する」というステップへと進みます。ここでは贅肉を削ぎ落として制限時間の中にワークをおさめたり、各ワークの詳細な実行手順を設計したり、備品を洗い出したりしながら、ワークショップを完成形へと磨き込んで行きます。

こうやって小分けにしながら作業を進められると、無理なくワークショップを量産できるようになります。

良質な思考の型はアウトプットの質を高める

ワークショップの設計に関しては、過去に機能するワークショップを作るための3つの手順!という記事や、

ワークショップ研修の進め方 ~私が基本にしている3つの仕掛け~という記事などを書いて来ましたが、

ここでは表現しきれなかった思考プロセスを、本多さんというプロ中のプロのお言葉をお借りして言語化することができました。

本当にとても分かりやすく、現場にフィットする思考手順だったので、今後芸工大でワークショップのデザインについて講義をする際は、こちらをご紹介させていただきたいなと思いました。ぜひ皆さんもお試しあれ。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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