キャトル跡地から宮古の未来を本気で考えるプロジェクト Day1

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。この週末は岩手県宮古市のNPO法人みやっこベースさまにお招きをいただきワークショップをご提供しました!

宮古駅前には「キャトル宮古」という5階建てのショッピングセンターがあり、地域の方々から長く愛されてきました。買い物のために訪れる方はもちろん、住民の憩いの場となっていたり、若者のデートスポットでもあったり、宮古市の中心市街地を彩る大切な空間でした。

ところがコロナウィルスの蔓延に伴って経営が傾き、2021年末で閉店。以来、跡地にテナントが入ることは無く、廃ビルとなっていました。

これを宮古市が買い取り、中心市街地の顔として2025年から再開発を行います。今回のワークショップでは、市民がキャトル跡地をどのような場所にしたいかを考え、具体案を共創いただくことを目的にご依頼をいただきました。

目次

ストーリーテリング「キャトルはあなたにとってどんな存在?」

全4回の初日となった今回は、キャトルにまつわる思い出語りからスタートしました。思い出語りって、一瞬で楽しい空気が広がりますよね! アイスブレイクとしてもよく機能しますし、これから跡地の未来を共創していくにあたって、キャトルは誰にとってどんな役割を果たしていた空間だったかを言語化しておけると、企画の立脚点が見つけやすくなるはずだと考えました。

会場には20~40代の宮古市民が集まっていたのですが、どの年代の方々も、自分が若い頃にキャトルでどれだけ楽しい体験ができたかを嬉しそうに語る姿がとても印象的でした。

ゲームセンターでプリクラを撮った時間。ベンチで彼女と談笑した甘酸っぱい思い出。たこ焼き、焼きそば、お好み焼きの全部盛りに憧れた幼少時代の話。不意の雨に打たれて駆け込んだ帰り道。ヒーローショーのキラキラ輝くステージ。エレベーターの隙間に落としてしまったプレゼントと涙。

あるチームが自分たちの体験を「青春」という言葉で集約してくださったのですが、これほどピッタリな表現は他にないように思われました。ぎゅっと凝縮された幸せな思い出の生産地。それが皆さんにとってのキャトルだったのです。

ストーリーテリングの終盤は、各テーブルから「宮古で暮らす若者が青春を謳歌できる空間を作りたい!」という声が聞こえてきました。自分自身に根差した「透明度の高い想い」は、アイデア共創の貴重なピース。ぜひラストまで大切に持ち運んで欲しいと思いました。

グラフィックレコーダー 山岸智也さんのグラレコ

思い出を辿る「キャトル跡地フィールドワーク」

それから、参加者みんなでキャトル跡地〜末広商店街へフィールドワークに行きました。建物を管理している宮古市役所の職員さんにご協力いただき、ビル内も歩かせていただきました!

プレイスメイキングを進めていくにあたって、それぞれの五感で感じ取った情報は、とても価値の高い一次情報になります。例えば「敷地の一辺は40m」などと数字だけで建物跡を判断するより、「テニスコート2個分」「サッカー場より一回り小さいくらい」など自分なりの感覚に引き当てて場所を捉えておく方が、実態に即したアイデアが湧いてきやすいのではないかと思うのです。

また、実際に現場を歩いてみることで記憶の蓋が開いたり、新しい発見が生まれることも往々にあります。つまり、頭だけで考えたってダメなんですよね。今回は下記のワークシートを持ち歩いていただき、キャトルと周辺の商店街をよく観察していただきました。

キャトルの屋上には以前スケボーのパークがあったこと、ビアガーデンを開催していたこと、実は海が望めることなど知らなかった情報がたくさん集まり、改めてこの空間がどれだけ豊かな日常の1シーンを作り続けてきたのかを思いました。

フィールドワークの振り返り「意外な発見」

1時間のフィールドワークは本当にあっという間でした。会場に戻ってきた参加者は、みな興奮気味に自分の発見を共有していました。

とても有意義な発見だと感じたのが、どのテーブルからも「意外と若者の往来が多くて、高齢者の姿が見えなかった」という声が挙がったこと。皆さんフィールドワークへ行く前は、近隣を歩いているのは高齢者だよね、というイメージをお持ちだったのです。

ところが実際に行ってみたらそうではありませんした。思い込みって本当に怖いものですよね。もし皆が抱いていたイメージに沿って、歩いている高齢者を対象にしたプレイスメイキングを敢行していたら…。実在しないターゲットに向けて企画を進めたって、成果が出るはずはありません。

ただ一方で、皆が「高齢者が歩いているはずだ」と認識していた事実はとっても重要です。このイメージを、たった1度の観察で否定するのは乱暴だと言えます。

なぜなら私たちがフィールドワークへ行ったのは、土曜日の15時という特定の曜日・時間だけだからです。たまたまこの時間に部活帰りの若者が多かっただけかもしれません。あるいは、県外からの観光客だった可能性もあります。

では、平日の午前中だったら? 平日の同じ時間だったら? 日曜日の夜だったら? 夏と冬でも違うかもしれません。きっとどこかのシーンでは、皆さんが思い描いていた通りに、高齢者の方々が多く歩いている時があることでしょう。

つまり大切なのは、一つの事実から新しい問いを立て、検証を重ね、確からしい自説を探究していくことです。探究のサイクルをぐるぐる回すことで、企画の精度が高まります。この気づきを全体で共有できた点において、初回のフィールドワークは大成功でした!

そして、ワークショップはDay2へと続きます。

対話をもっとおもしろく。

相内洋輔

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