キャトル跡地から宮古の未来を本気で考えるプロジェクト Day3

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。岩手県宮古市のNPO法人みやっこベースさまにお招きいただき、キャトル宮古跡地の活用を検討する市民ワークショップを開催しました。

Day1ではキャトル〜周辺商店街でのフィールドワークを実施し、Day2にアイデアを拡散。迎えた3日目はレゴブロックを使って「宮古駅前の豊かな1シーン」を制作していただきました!

目次

レゴに慣れ親しむための準備運動

参加者の皆様には、まずレゴブロックを使って今の気持ちを表現していただきました。何事もいきなり本題から始めることはできません。特にレゴは使ったことがある方もいれば、20年ぶりに触れる方や、初めて扱う方もいます。そうした方々が抵抗感なくレゴを使えるようになるためには、少しウォーミングアップが必要です。

前回のワークショップで660個以上のアイデアを作り出した皆さんだけあって、慣れないレゴへの心の開き方も抜群! あっという間にコツを掴んで、自分のコンディションを形にしてくれました。

それから少しだけLEGO®︎ SERIOUS PLAY®︎の要素を取り入れ、「宮古のこれから30年のためにあなたがキャトル跡地に生み出したいもの」という作品を作っていただきました。

自然が循環するカフェ、足湯やトランポリン、コンサートができるホール、地元の魚を扱う飲食店、海をもっと感じられる空間などなど参加者それぞれの想いが反映され、とても楽しい時間になりました。

グラフィックレコーダー 山岸智也さんのグラレコ1

日常の豊かな1シーンをレゴで表現!

それから①未就学児 ②小学生〜高校生 ③働き盛り世代 ④高齢者 ⑤観光客 の5グループに分かれて、「各対象にとっての豊かな日常の1シーン」を制作していただきました。

全4回のワークショップをデザインするに当たって、私はどこかのタイミングで「日常の1シーンを静止画にすること」が絶対に必要だと考えていました。その理由は2つあります。

まずは「日常」にフォーカスする重要性です。キャトル宮古のような商業施設には、ハレの日もあればケの日もあります。過去にはヒーローショーやビアガーデンで大いに盛り上がった日もたくさんあったと聞きました。ですがこうした催事が行われるのは365日のうちわずか数日で、ケの日=日常モードの日の方が圧倒的に多いわけです。ほんの数日のための飛び道具を考えたって、宮古市民の総体的な豊かさは向上しません。ですから、小学生や中学生の企画ならまだしも、これからも宮古市をリードし続ける大人たちが提案する内容としては、実生活に根ざした企画でなければならないと思ったのです。

もう一つは「選択と集中」です。今回は全4回のワークショップが終了した後、宮古市へ企画のプレゼンテーションを行う座組でした。この場で参加者の想いがしっかりと伝わり、次の計画につながる可能性が高い発表を完成させるためには、たくさんのアイデアを下敷きにして魅力的なコンセプトを抽出することが鍵だと考えました。

逆に言えば、市役所の方々は総花的なアイデアをもらっても困ることでしょう。優先順位が見えないアイデアリストは、何かの参考にはなっても、推進力にはつながりません。そこで「日常の1シーン」とあえて時間軸を極端に限定することで、作りたいと思う空間への洞察が深まり、企画のコアになるコンセプトと出会えるのではないかと予想しました。

この作業を進めていただくためには、みんなで同時編集しながら、実際に形を確かめられるレゴブロックがうってつけだったのです。

レゴで構成された空間からコンセプトを抽出!

参加者の皆さんには1時間ほどグループ制作の時間を差し上げ、それぞれの対象者にとっての豊かな日常の1シーンを作成いただきました。

各グループとも1つのオブジェクトが作られるたびに対話が生まれ、「それがあるならこういうのはどう?」「こんな可能性もあるよね?」と発想を連鎖させながら、空間を構成させていきます。

参加者の皆さんにはシーモア・パパートが提唱したコンストラクショニズム理論をご紹介させていただいたのですが、砂場で遊ぶ子どもたちのように、創造的なエネルギーが即興で重なり合っていたのがとても印象的でした。来てくださっていた方の大半が、夢中で取り組んでいたように思います。

コンストラクショニズム理論とは、レゴ・シリアスプレイ®の根底を支えている理論です。マサチューセッツ工科大学メディア研究所のシーモア・パパート教授によって提唱されました。

手と頭は連携を取り、相互に信号のやり取りをしながら、新しい知識を構築していくという理論です。単に、頭だけで考えていても、新しい知識は構築できない、「何かをつくることで学ぶ」という考え方で、世界中のIT教育や科学分野の研究などに採り入れられています。

人は、「モノを使って考える」あるいは「手を動かして考える」ときに、創造的なエネルギー、創造的な思考、モノの見方が引き出されるという理論です。

https://lsp-solution.com/?p=203より引用

そうして出来上がった空間を眺めながら「(主語)が○○する/できる☆☆なプレイス」という一行のコンセプトを考えていただきました。

グループごとの多彩なコンセプトが完成!

このような流れで仕上がったのが下記のコンセプトです! 重ねてきた対話が結晶化したなと思える珠玉の言葉たちで、とても嬉しくなりました。

①未就学児未就学児を育てている保護者が社会とのつながりを持ちながら、宮古の自然が満彩の空間や遊具で子どもを遊ばせられる宮古での子育てが楽しく感じられるプレイス
②小学生〜高校生小学生〜高校生が学校以外で仲間と楽しくチャレンジできる場所
③働き盛り世代宮古市を盛り上げたい人が自由にチャレンジできるストリート
④高齢者交流を求めている高齢者が 人とのつながりを感じることができる 楽しさを共有できる場所
⑤観光客やっと宮古についた観光客がちょっと一息ついて観光を楽しむ準備ができるワクワク増幅プレイス

中でも驚いたのが、未就学児、小学生〜高校生、働き盛り世代、高齢者の4グループで「チャレンジ・挑戦」と「仲間とつながる」というワードが盛り込まれていたことです。もちろん、各グループごと事前に相談などはしていません。途中経過の発表もありませんでした。

にも関わらず、どのグループでも「チャレンジ」「つながり」が選ばれたのは、それだけ参加者の皆さんが、宮古市にはこれらの要素が必要だと強く思っているからに他ならないでしょう。

まさかこのような偶然が起こるとは考えてもいませんでしたが、各グループのコンセプトを包含する上位の概念が明確になったことは、とても大きな発見でした。

グラフィックレコーダー 山岸智也さんのグラレコ2

素晴らしい余韻と共に、ワークショップはいよいよDay4へ進みます。

対話をもっとおもしろく。

相内洋輔

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