キャトル跡地から宮古の未来を本気で考えるプロジェクト Day4

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。岩手県宮古市のNPO法人みやっこベースさまにお招きいただき、キャトル宮古跡地の活用を検討する市民ワークショップを開催しました。

Day1ではキャトル〜周辺商店街でのフィールドワークを実施し、Day2でアイデアを拡散。Day3ではレゴブロックを使って「宮古駅前の豊かな1シーン」を創造していただきました。

最終日となったDay4は「市役所への発表に向けた企画検討」に集中しました。時間をかけて対話を積み上げてきた成果が感じられる素敵な企画が続々と完成し、とても実り多き1日になりました!

目次

キャトル跡地の具体的な活用アイデアを検討

最終日は参加者の皆さんに「キャトル跡地の具体的な活用案」をまとめていただきました。

グループは前日に引き続き ①未就学児と親 ②小学生〜高校生 ③働き盛り世代 ④高齢者 ⑤観光客 の5つです。参加者の皆さんはもうすっかり場に馴染んだ様子で、始めからトップスピードでディスカッションに没頭されていました!

今回は市役所への発表が控えているため、内容のバラツキが生じないよう発表フォーマットを指定させていただきました。まずはDay3で定めた「(主語)が○○する/できる☆☆なプレイス」という一行のコンセプトに沿って、その空間を実現するために必要な施設・サービス・関係者を洗い出していただきます。

それから企画のイメージがしっかりと届くように、全国の事例を掲載したり、レゴの写真を添えられるページを用意しました。企画を文字だけで伝え切るのは至難ですから、ビジュアルの伝達力をうまく使って欲しかったのです。

この他、下記の項目をまとめていただきました。

  • 4回のワークショップで見つけた気持ちや発見
  • キャトル跡地への想い
  • 持続可能性を高めるための施策
  • 企画途中で生まれたアイデアの一覧

時間にして1時間少々でしたが、全チームとも想いが凝縮された企画書が完成しました!

全4回のフィナーレは企画の発表会!

全4回のフィナーレは、各グループによる企画の発表会! それぞれ5〜7分程度で、宮古跡地の具体的な活用計画をシェアしていただきました。冒頭にも書かせていただいた通り、これまで何時間もかけて対話を重ねてきた成果が感じられる、とても濃い発表の連続でした!

本当は各チームの発表を一言一句お見せしたいところですが、ここでは簡単なサマリーをご紹介させていただきます。

「宮古市を盛り上げたい人が自由にチャレンジできるストリート」をコンセプトに、詳細を話し合ってみました。必要な施設や設備としては、小さな店舗でミニマムスタートできる数坪の店舗がある商業施設。Wi-Fi環境、あとはちょっとした屋根があってアーケードみたいになっている広めの軒先。2階にはフリースペースでバーベキューができるスペース。また、宮古市は朝食を食べられる場所がとても限られている。夜行バスで朝に着いた人たちがフラっと立ち寄れる場所があれば喜ばれる。夜の食事については、宮古って1つの居酒屋に4時間も5時間も滞在する文化が定着しているが、飲み歩きができるよう立ち飲みスタイルの屋台村などもいいと思う。コンセプトがしっかりしているユニークなお店が増えたら嬉しい!

「小学生から高校生が学校以外で仲間とつながり、楽しくチャレンジできる場所」をコンセプトに企画を深堀りしました。屋内にはボードゲーム、屋外にはボルダリングなどの設備があると、インドア派・アウトドア派、両方の子どもたちが集まれると思いました。宮古市にはいくつか公園がありますが、雨の日はもちろん、暑い日は遊具に触れないから困るという話を聞きます。全天候に対応できるよう、室内で自由に遊べる、騒げる多目的ホールがあると良いですよね。自由に勉強をしたり、学校に行きたくない子が自由に来れるスペースも大切です。基本的に無料で遊べることが肝心ですが、持続可能性を高めるアイデアとして、オプションサービスに課金してもらえる工夫は考えたいです。

「交流を求めている高齢者が人とのつながりを感じることができる、楽しさを共有できる場所」として企画を考えました。バリアフリーな交流空間として整備します。普段は自力で歩いていても、日によっては車椅子を使いたいという方もいると聞いたので、レンタル車椅子があるといいなと思っています。ストレスなく移動できる手段は用意しつつ、運動もしてほしいので、ウォーキングコースを設けます。他には出張店舗っていう案が出て、 ここに来ればいろんなお店に行ける、いろんなものが買える、利便性の高い場所になるといいなと思っています。人と話すのが好きで、お年寄りとの会話を楽しめる店員さんを巻き込みたいです。

「やっと宮古に着いた観光客がちょっと一息ついて観光を楽しむ準備ができるワクワク増幅プレイス」ということで考えました。昼食を食べられるカフェ、観光案内所、シンボルツリーや宮古の魚が泳ぐ水槽。宮古の自然が感じられるような施設があると嬉しいです。観光客へのウェルカム感を出すために、大漁旗も飾りたい。宮古へは仕事で来られる方もいるので、コワーキングスペースがあると便利だなという声も聞こえてきました。また、市外から来られる方って結構現金を持っていない方も多いので、 キャッシュレス決済を充実させていきたいです。あとは、宮古っぽいガチャガチャがあったらやって帰るよね、と盛り上がりました。釣具のレンタルも喜ばれるかも!

「未就学児を育てている保護者が社会とのつながりを持ちながら、宮古の自然が満彩の空間や遊具で子どもを遊ばせられる、宮古での子育てが楽しく感じられるプレイス」として、屋内全天候型の遊び場を企画しました。宮古の森・川・海の自然が感じられる遊具を配置していきたい。森だったら宮古の木であるアカマツを使ったおもちゃとか、川を模した青いタイルとか。海に関しては、船を模した大きな大型滑り台付きの遊具に、青いボールプール。それと、保護者がリラックス交流できるスペースにするため、子どもが遊んでいるのをちょっと遠くから見守りながら座れる椅子やソファーがあったらいいなと。 あとは軽食や離乳食かをその場で買って、ちょっとお腹空いてから食べて帰ろうというようなことができるとすごく良い!

以下はグラフィックレコーダーの山岸さんがお書きになられた発表のまとめです! 毎回本当に素敵なグラレコを仕上げてくださり、会の雰囲気がとっても盛り上がりました。ぜひ上記のサマリーと合わせてご覧ください。

終わりは次への始まりだから!

発表会が終わってからは「今後のアクション」を検討していただきました!

ゲストとしてお越しくださった山形まちづくり株式会社の下田さんからも「これで終わりではない。これが次への始まり!」というメッセージを頂戴したように、ワークショップをやりっぱなしでは勿体無い!

そこで、キャトル跡地の整備に向け、これからもみんなで取り組んでいきたい活動のアイデアを募りました。これだけ大掛かりなワークショップの後だとエネルギーが抜けてしまい、散漫な展開になりがちですが、宮古の皆さんは本当にさすがです。あっという間に50個を超えるアクション案が共有され、強く未来を見据えている様子が伺えました。

「これは今後何十年も訪れないチャンスなんです。だから絶対逃しちゃいけない!」

ある参加者が全体チェックアウトで語られたお言葉ですが、まさにこの一言に、宮古市民の思いがぎゅっと凝縮されているように感じました。

この4回を皮切りに、宮古の中心市街地がさらに素敵なプレイスとなって行くよう、私も引き続き貢献することができたら嬉しいです。

ワークショップデザイナー冥利に尽きる案件をご依頼いただき、皆さんに感謝です。

企画書を一部ご紹介

びっしりと書き込まれた未就学児チームの企画書
観光客チームが制作した宮古市の豊かな1シーン
小学生〜高校生チームがイメージした施設の一部
働き盛り世代チームが共有してくれた「やわらかいインフラ7」
高齢者チームが企画に込めた想い

対話をもっとおもしろく。

相内洋輔

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