ファシリテーターが身につけておくべき必須スキル『リフレーミング』

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。以前、ファシリテーターが言ってはいけない「参加者の思考を止める」NGワードという記事を書いて、「難しい」というワードには気をつけたほうが良いとお伝えしました。

「難しい」というワードは、参加者を「難しいモード」へと引きずり込み、本当は考えられる内容にも関わらず、思考が止まってしまうのです。そのため、ファシリテーターが好んで使うべきではないですし、参加者が「難しい」を連発するようなムードも避けるべきです。

これと似たような効果を場にもたらすネガティブワードは他にもたくさんあるので、ファシリテーターは常に、自分がどんな言葉を発しているか、そして参加者がどんな言葉を発しているかを捕捉しておく必要があります。

そして全体にマイナスな作用をもたらしそうなワードを見つけたら、すかさずリフレーミングのテクニックを使って対処できるとGood! これ、ファシリテーターの必須スキルです。

目次

リフレーミングって?

リフレーミングとは、一見ネガティブな事象も、視点や捉え方を変えることで、解釈やムードが大きく変わることを指します。

リフレーミングとは、物事や状況の見方を別の視点から捉え直すという心理学の用語です。

ネガティブな事象も視点を変えることで、前向きな気持ちになったり、コミュニケーションを円滑にしたりするメリットがあります。

マネーフォワードクラウドより引用

上記の引用に書いてあるとおり、視点を変えることでマインドセットが変わるのが大きな特徴です。ただポジティブに言い換えれば良いというものではなく、それによって事象に対する心のありようが変化することが重要です。

リフレーミングで有名なのは「コップに入った半分の水」の話です。

「コップにはもう半分しか水が入っていない」と解釈するか、「まだコップには半分も水が入っている」と思うかで、状況の捉え方が変わります。

どちらの場合も、コップに入っている水の総量は全く変わっていませんが、思考に伴う感情や感覚は全く異なりますよね。

ネガティブムードの蔓延をリフレーミングで予防

ファシリテーションをしていると、とある事象に対する参加者の思考や、ワークとの向き合い方がネガティブに感じられる時がよくあります。そうしたネガティブなワードを放置しておくと、場のムードはどんどん低下していきます。

だからこそリフレーミングをして、ネガティブマインドの蔓延を予防することが大事なのです。

例えば、「新しいサービスを営業したら、◯◯な点が使いにくいから要らないと断られた。全くダメだ」みたいな共有があったとしましょう。大抵このような共有があると、他の参加者も下を向いて沈みがちです。まさに、出口の見えないトンネル。このマインドセットだと、出てくるアイデアも否定が続き、ますます閉塞感が募ります。

でも、こういう時に「つまりサービスの改善点を発見できた商談だったんですね! それは次に向けた収穫でしたね」と、物事のポジティブな面に光が当たるようにリフレーミングで視点を変えることができたら、参加者のマインドや、場の雰囲気は一変します。

冒頭の「難しい」という発言に対してであれば、「考え甲斐がありますね」「みんなで知恵を持ち寄るにふさわしいテーマですね」などの言い換えがよく効きます。こうしたリフレーミングは参加者の心理的柔軟性を高め、前向きに考えてみてもいいかも、という意欲を連れてきてくれるのです。

普段からリフレーミングの練習を

こうした言い換えを咄嗟に行えたらカッコイイのですが、普段からこうした思考転換に慣れていないと、なかなか本番で発揮することはできません。

ファシリテーションの機転を高める3つのトレーニングという記事を過去に書きましたが、ここでご紹介させていただいたことと同様に、リフレーミングも日々意識して練習してみることで身につきます

やることはシンプルです。自分が生きていたら自然に出会うネガティブなワード、ネガティブな話を、頭の中で言い換えてみるのです。

たとえば「人の話を聞かない」なんてワードと出会ったら、「芯がある」「外部環境に振り回されない」「自分の世界を持っている」なんて言い換えてみたり、

「朝が弱い」という話であれば、「長時間眠れる」「眠りの質が良い」「眠るのが好き」と言えるのでは? と考えてみたり、といった具合です。

この時、1パターンのリフレーミングを考えるよりは、2個、3個と発想を拡げてみるとより効果的です。最初は多少無理やりな変換で大丈夫なので、まずはネガティブをポジティブに転換することに慣れてみてください。

コツは「つまり?」を活用してみることです。人の話を聞かないってことは、つまり、自分を信じているってこと! みたいな感じで連想をしてみる、特徴を他のポジティブな言葉に置き換えてみると考えやすいと思います。

ワークショップ中、場の空気を転換する一言を放つために、ぜひ日頃から取り組んでみてください!

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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