要約上手なファシリテーターは「語彙」が豊富

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。昨日は購入したばかりの『1秒で答えをつくる力』を読んでいました。オール阪神・巨人さんのネタを書き、吉本のNSCで若手お笑い芸人を指導している本多正識さんという方が書かれた本です。出版から半年で7刷まで増刷されているベストセラーでよく目にしていたので、かなり楽しみな一冊でした。そして、期待に違わず最上級に面白かったです!

以前から世阿弥の風姿花伝・花鏡などを引用しながら、ワークショップデザイナー、ファシリテーターは芸の世界から学べることが多いと書いてきましたが、お笑いの場作りはかなり参考にすべき対象だなと気づきました。ビギナーの方にいきなり風姿花伝を勧めたら引かれてしまうなあと感じていたので、今度からはお笑いを引き合いに出そうと思いました。

それで普段はあまり見ないのですが、昨晩は「チョコレートプラネットの通った事ないサミットSP 〜キングダム&呪術廻戦〜」を視聴してみたんです。めちゃめちゃ面白かった(笑) 通った事ないサミット、ワークショップでも絶対使えるやん。

さて前置きが長くなりましたが、『1秒で答えをつくる力』を読み、ブログに書きたいテーマが10個近く見つかりました。しばらくは同書をフックに、私がワークショップやファシリテーションに対して意識していることをまとめていこうと思います。

初回は要約上手なファシリテーターは語彙力が豊富ということについてです!

目次

きちんと使える語彙の量はファシリテーターの武器

『1秒で答えをつくる力』のレッスン24に意識して語彙を増やすという章があります。以下に章の出だしを引用させていただきます。

知っている言葉の数が多ければ、頭の回転は速くなります。逆に知っている言葉が少なければ、なかなか頭の回転は速くなりません。なぜなら、語彙が多ければ多いほど、表現の幅も広がり、素早く正解に自分の思っていることを相手に伝えられるからです。私の知る限りでは、売れている芸人のほぼ全員が相当な語彙力を持っています

こちらを読んだ時に、私の頭には熟達したファシリテーターが想起されました。プロのファシリテーターは語彙力が豊かで、適切な言葉を用いて参加者の意見をまとめることができるからです。

対話が盛り上がれば盛り上がるほど、場には様々な意見が飛び交います。ファシリテーターにはこれらの情報を分類して整理したり抽象化して教訓を作ったり具体化して手触りのある形に編集したりと、様々なつなぎが求められるのですが、こうした編集を支えるのは語彙の量に他なりません

参加者が発した言葉の意図するところ、解釈は変えずに、最も納得感が高くなるワード、最も議論の呼水となりやすいワードを探せるかどうかは、ファシリテーターの腕前が試されるポイントです。

もしファシリテーターが対話の中からその場を象徴するキーワードを抽出することができたら、参加者の心は大いに震え、以降の対話や活動がより躍動的に展開されていくものです。

こうした言葉選びの精度は、どれだけの語彙を蓄積しているかによって左右されます。これはただ言葉を知っているというだけでは不足で、どれだけ正確に使えるかまでをセットで考える必要があります。なぜなら、言葉の誤用は参加者からの信頼を損ねるからです。

正確に使える語彙を増やす2つのトレーニング

正確に使える語彙を増やすためにできることは幾つかありますが、私は下記の2点をオススメしたいです。

1つ目は『1秒で答えをつくる力』でも紹介されている、わからない言葉や理解が曖昧な言葉はすぐに検索することです。私は転職をしたばかりの27歳頃、言葉に対しての感覚があまり養われておらず、よく自分勝手な解釈で言葉を使っていました。見かねた上司が教えてくださったのがこの方法です。

最初は億劫でしたが、実際に始めてみると、思っていたより適当にしか言葉を理解できていなかった事実を突きつけられました。あの時の嫌な汗が背中を流れる感覚は、未だに忘れられません。

以来、全く知らない単語はもちろんですが、うまく説明できんな、と思う言葉も調べてみる習慣が身につきました。イノベーションとかリストラなどのカタカナ言葉って、大枠の意味はみんな分かっていると思うのですが、じゃあ説明して? と言われると意外と難しかったりするんですよね。

2つ目は空き時間に辞書や辞典を手に取ることです。これは目的を持って読むというよりかは、パラパラとめくって目についた言葉を楽しむという感じ十分です。

私は、今日はあんまり頭を使った読書ができそうにないなあというコンディションの夜に、『類語国語辞典』や『現代形容詞用法辞典』『現代副詞用法辞典』などを開いています。けっこう知らない言葉が出てきますし、用例がセットで記載されているのでとても勉強になります

また『ことばの結びつき辞典』も素敵なガイドブックです。単語の意味は分かっても、つながる言葉が思い浮かばないということはよくありますが、こちらを読んでおけば適切な語句を次ぐ力が養われます。

同じシリーズの『感情ことば選び辞典』や『情景ことば選び辞典』も目を通しておくと、さらに幅が広がります。

語彙を増やすには地道な積み重ねがマスト

語彙の量を増やすには、時間がかかります。一冊の読書や、一回の検索を積み重ねて、分厚い地の岩盤を作り上げようとする気概が必要です。

逆に言えば、早く気づいて、早く習慣化すればするほど、他者と差がつきやすい部分でもあります。ですからプロのファシリテーターを目指したい方は、ぜひ今すぐに語彙の収集を始めていただきたいのです。

私は幸いにして30代を目前に指導していただくことができたのですが、気づくのがもう少し後だったら、かなり致命的な出遅れになってしまったと思います。

また、語彙の豊富さは、思考の深さ、表現の多彩さとも直結しますので、内外のコミュニケーションの質が格段に向上します。この記事はファシリテーションにおける語彙の重要さという観点から書いてきましたが、語彙力は人間の活動全般を支える土台ですよね。

私もまだまだ知らない語彙、うまく説明できない単語が山のようにあるので、地道にひとつひとつ積み上げていこうと思います。今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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