詳しくないテーマは「情報収集」してからワークショップを作り始める

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。一昨日から立て続けに2件のワークショップをご依頼いただきました! HP、ブログから見つけてくださりとても嬉しかったです。ご期待に応えられるように精一杯やらせていただこうと思います。

さて、ワークショップデザイナーをしていると、「自分が詳しくないテーマ」のワークショップをご依頼いただくことがしばしばあります。ちょうど私は「スマートシティ」についてのワークショップの設計をしていたのですが、あまり知識がなく苦労しました。

自分が詳しくないテーマのワークショップを開催する時は、まず情報収集をするに限ります。そうしないと、ワークショップに参加する方の「普通」や、テーマの「コア」が想像できません。

過去にワークショップデザインのセンスは「普通の人」を想像することから磨かれるという記事を書きましたが、『センスは知識からはじまる』の著者水野学さんは、同書でこう言い切っています。

「センスがよくなりたいのなら、普通を知るほうがいい」と述べました。そして、普通を知る唯一の方法は、知識を得ることです。センスとは知識の集積である。これが僕の考えです。

これには心から共感です。知識量が足りていないテーマには、センスが働かないのです。

この記事では私が「スマートシティ」に関してどのような情報収集をして、ワークショップのデザインへ繋げたかを書きます。

目次

関連書籍を読み込み情報を収集

情報収集の王道は読書です。私も例に漏れず、知らないテーマを扱う時はケチケチせずに何冊か本を買っています。知らないの程度にもよりますが、だいたい私は平均して2~3冊であることが多いです。過去にはいきなり5冊、10冊と買って学んだテーマもありましたが、ほとんどの場合は3冊読むとその分野の大きな流れや勘所が分かるようになってきます。

この時に大事なのは、熟読よりも完読。パラパラとめくり読みでもいいので、まずは頭からお尻まで読み切ります。この時に目次を見ておくとより効果的。

また2~3冊の選書ですが、同じ著者だけに偏るのはやめましょう。バリエーションが出るように選ぶのがコツです。私は今回、日本の事例と海外の事例を見比べてみたいなと思ったので、下記の2冊を購入しました。

あるテーマについて理解を深める際、日本ではこの点が優れていて、海外の主流に対してはこの点が弱い、という対比でつかむと、効果的に全容を把握しやすくなることが多いんですよね。

自分のイメージとのズレを探り、テーマを正しくつかむ

今回は『スマートシティ3.0』を読んでいた時に、どのインタビュー・事例にも使われている共通の単語が複数あることに気づきました。「市民中心の」「Well-Beingの向上」「持続可能性」「地域ごと」などの言葉がそれです。

私はこの本を読むまで、スマートシティ構想は行政や企業主導で推進されていく、テクノロジーありきの活動というイメージを持っていたのですが、これは誤認で、サプライサイドが主体となるのではなく、市民目線が主導するスマートシティ化が大切であるという思想哲学が、このムーブメントのコアであることがよく伝わってきました。

同時に、市民のWell-Beingの向上が主目的で、単に利便性の向上や効率化を図るだけのものではないということも理解できました。

また、スマートシティ化とは、便利なシステム・テクノロジーをある程度全国一律に横展開していくイメージを持っていましたが、上記の背景から、都市ごとの特性に応じたカスタマイズが重要だということも分かりました。この時に「らしさ」の概念が重要かもしれないと発見がありました。「うちの町らしいか」が、施策を立案する際の大切な基準になると思ったのです。

ワークショップに関わってくださる方々の感動体験を目指して

これらのことは、それくらい事前に知っておきなさいよ…、というレベルの話かもしれませんが、テーマに対して抱いていたイメージと、実際のギャップを明確にし、認識を正すことは極めて重要です。

もしこうした情報収集を行わずに、スマートシティ構想は行政や企業主導で推進されていく、という誤ったイメージのまま市民へのワークショップをデザインしていたら、スマートシティを他人事にさせてしまい、主体的な行動意欲を削ぐ内容になってしまっていたかもしれません。端的に言えば、依頼主の期待に反する提案をすることになります。

そんなのはダサいなあと思うので、私は日々、情報収集を怠らずに進んでいきたいと思っております。ワークショップに来てくださる方々、関わってくださる方々の大切な命が無駄に浪費されないように、ワークショップと向き合っていたいんですよね。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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