ちょっとした声がけで参加者の安心感がぐぐっと高まる
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WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。私がワークショップ運営で最も大切にしているのが心理的安全性です。参加者が「ここでは自分らしく振る舞って大丈夫」と思えていない場では、対話は絶対に盛り上がりません。
心理的安全性を高めるために実施していること、意識をしていることはいくつもあり、このブログでも小出しにして記事を書いてきました。
ですがまだまだ書き足りず、様々な観点から心理的安全性の作り方をご紹介していこうと思っています。そこでこの記事では、私が多くのワークショップで多用している3つの声がけと、その意図をご紹介します。
いつでも離席OK、どんな参加の仕方でもOK、言えるところまででOKの3つです。
ワークショップ中はいつでも離席OK
私はワークショップの冒頭で、全体の流れと、休憩のタイミングを必ず伝えています。次に何が行われるのか、いつ休めるのかが分からないと、場に集う人々の気がそぞろになってしまうためです。
その上で私は「ワークショップ中に何かあれば、いつでも離席して大丈夫です」というメッセージを添えています。もちろん最初から最後まで参加いただくのがベストですが、緊急で対応しなければならないことが生じたり、生理現象で席を外したいといった類のことはコントロールできません。
学校や会社での文化が影響しているのか、日本人の多くは、集合研修などのオフィシャルな場で途中離席するのは絶対にダメという観念を強く持っているように思います。
それはそれで重要な意識ではありますが、自分のことを押し殺し、ワークショップに集中できない方がいると、その方の焦りや不安などのムードが周囲に伝染してしまいます。結果、ワークショップの成果が下がります。
ですから、何かあればいつでも離席OKなのです。
その際、無言で出ていかれてしまうと今度は周囲のメンバーが心配して気を取られてしまうので、離席する場合はチームの方々に一声かけてねとお願いをしています。
私は現在、年間で50~60件のワークショップを実施していて、500人以上の方が参加してくれていますが、ワークショップ中に途中離席される方は毎年2~3人程度です。いつでも離席OKを伝えても、決して無秩序にはなりませんのでご安心ください。
どんな参加の仕方でもOK
続いてメッセージしているのが「ワークショップにはどんな参加の仕方でも大丈夫です。立ち上がって話したり、寝そべって考えていてもOKです。自由に参加してください」という一言です。
これも日本人に特有な観念なのだろうと思いますが、オフィシャルな場ではお行儀良く椅子に座り続けないとダメという意識が強い方がたくさんいます。私もその一人です。
ですが、私はじっとしているのが苦手で、椅子に座り続けなければならないと考えるだけで吐きそうになりますし、実際にそうしている時の不快感は形容し難いストレスです。こんな状態では、ワークショップに集中できるはずがありません。
それより、好きなタイミングで立ち上がったり、体を伸ばしたり、歩き回ったりしながら自分のコンディションを整えてもらって、良い心身の状態で参加いただけるほうが場にとって有益です。場合によっては寝そべって考えていただいてもOK、むしろウェルカムです。寝そべるって最高にリラックスしている状態ですからね! 私は、それだけ場の安心感が高い証と捉えています。
よく我々日本人は、人の目を気にして品行方正に振る舞うよう指導されますが、ワークショップという場においては、自分の素を出しあえる空間を形成したほうが結果が出ると思います。
私がソフトバンクで仕事をしていた時、東北の高校生100名がアメリカのUCバークレーへ短期留学するプログラムを担当していたのですが、米国の指導者は、この点とても大らかに生徒の振る舞いを許容していました。
開放感から生まれるオープンな対話が、生徒たちの変化や成長に直結していたことは、言うまでもありません。
言えるところまででOK
3つ目は、「ご自分が言えるところ、言いたいと思えるところまででOKです」というメッセージです。
ワークショップなどの対話の場では、自分自身のピュアな思いや、正直な気持ちを持ち出していただくことから、相互理解や触発が生まれます。だから胸を開いて、自分の感じていることを吐露していただくことがとても重要なのですが、ここに落とし穴があります。
どういうことかと言うと、経験が少ないファシリテーターほど、参加者に自己開示を強要してしまいがちなのです。こうした「無理やり感が嫌だから、ワークショップが嫌い」という方はたくさんいます。
ファシリテーターは、絶対に自己開示を強要してはいけません。北風と太陽の寓話のようなもので、自己開示しろー! 自己開示しろー! というメッセージを発すれば発するほど、参加者の心は反比例に閉じていきます。
経験が多い方でも、ぐっと胃の中に手を突っ込んで無理やり引っ張り出すんですよ! と語られる方などにもお会いしてきましたが、その方が作る場はいつも緊張感が漂っていて大変でした。
そうした強要の代わりにファシリテーターがやらなければならないことは「言えるところまででOK、言いたいところまででOK、発言に感謝の気持ちで接する」を徹底することです。
対話の場は、たったこれだけの気配りで、とても安心安全な空間になります。
3つのOKを試してみてください
今回はファシリテーターとして大切なあり方と、具体的な声かけについて書かせていただきました。
この記事で書いたことは、そう難しい内容ではないかと思いますので、ぜひ良いなとお感じになられたポイントがあれば、積極的に試してみていただきたいです。
実践を通じて、ぜひご自身の哲学やセオリーをどんどんアップデートいただけたら嬉しい限りです。
今日はここまで。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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