まだここにないユニークなアイデアはカオスの中から成型される
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WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。私は一般社団法人妄想からアイデアを共創する協会の理事として、妄想アイデアトレーニング「モウトレ」という、アイデア発想とコミュニケーションを学んでいただくワークショップをご提供しています。
モウトレでは参加者に「妄想」を楽しんでいただくのですが、妄想が盛り上がるためには様々な仕掛けや要素が必要です。
そこでこのシリーズでは、妄想を盛り上げるために必要なファシリテーターの役割や、ワークショップデザインについて紐解いていこうと思います。今回のテーマは妄想アイデア出しの場からユニークなアイデアを生むためには欠かせない「クリエイティブ・カオス」という概念についてです。
クリエイティブ・カオスとは?
クリエイティブ・カオスという言葉は、普段の生活ではなかなか見聞きしない言葉かもしれません。実際、私も正確な定義を記載しておきたいなあとNetで検索をしてみたのですが、ほんの数件しかヒットしませんでした。私が持っている書籍のどれかに詳しい記載があったと記憶しているので、特定できたら追記をしたいと思います。
クリエイティブ・カオスは「創造的混沌」と訳されています。
ユニークなアイデアが創造される前にはほぼ必ず、既存の秩序がぐちゃぐちゃになり、何が生まれようとしているのか全くわからない混沌の状態=クリエイティブ・カオスな状態を経験します。この混沌が、新しくユニークなアイデアを生み出すための必須プロセスなのです。
混沌の只中にいる時、参加している人々の心の中ではモヤモヤが湧き続けます。そのためストレスがかかりますが、このストレスが適度だった場合、なんとか答えを見つけたいというポジティブな作用がグループ内で働きます。
そこから何かのきっかけによって、無秩序だった情報たちが有機的につながり合う瞬間が訪れると、混沌の霧が一気に晴れ、全く想像もしていなかった新たな景色が立ち上がるものです。同時に、言葉にしがたい至高の喜びに包まれます。
逆に言えば、ユニークなアイデア出しを行うためには、普段の自分たちの思考では扱っていない様々な要素・視点を持ち込むことが欠かせません。なぜなら、普段の思考の延長では、大した混沌が生まれないからです。また、感動もほんの少しだけ。
生まれるアイデアのユニークさと感動は、混沌の深さに比例するのです。
私は、場作りの担い手がこの概念を知っているかどうかで、ワークショップの設計、参加者への促しや見守りが、大きく左右されると思っています。
目の前の混沌を解消するか、もっと楽しんでもらうか
まずひとつには、ワークショップの設計が変わります。
妄想アイデア出しの場をデザインする方には、ぜひクリエイティブ・カオスを意図的に作り出すために何ができるか、という視点からワークショップを考えてみていただきたいのです。どこでどんなインプットをして、どんな風にブレストを進めてもらうと混沌が生まれるかがイメージできるようになれば、アイデア出しはもっと面白くなります。
次に、当日のファシリテーションが変わります。
ファシリテーション中は、目の前に困っているグループがあれば、どう介入して問題を取り除けるかを考える方が多いと思います。ですがこの時に、ただ困っているのか、クリエイティブ・カオスの只中にいて困っているのかを見極めるセンサーを備えておくことが重要です。
ただ普通に困っているなら即介入せねばなりませんが、創造的混沌のフィールドが広がっている状態なら、そのまま混沌を味わい続けていただくに限ります。創造的混沌が小さそうであれば、ちょうどいい塩梅まで混沌が深まるような投げかけを行うことも時には必要です。
これらを通じて、各グループの混沌度合いを自在に操れるようになると、妄想アイデア出しの場作りが、段違いに深まるのです。
妄想アイデア出しではカオスを愛せ!
ここまで、妄想アイデア出しには「クリエイティブ・カオス」な状態が重要であるということについて書かせていただきました。
私はずっと、アイデア出し中のすっきりしない状態が嫌いでした。早く結論が出ればいいのにな、なんでわざわざ人を混乱させるようなことを言うのだろうな、と思ったことは一度や二度ではありません。
ですが、クリエイティブ・カオスという概念を知り、混沌の中からまだ誰も見たことがない輝きが創造される体験を繰り返し、アイデア創造と混沌は隣り合わせで、避けることを選ぶより、積極的に飛び込んだほうが実りが大きいと思うようになりました。
いま私は、創造的混沌を愛しています。そして、こういうマインドの方が増えると、日本はもっともっと面白くなるなと思っています。
妄想が膨らむ場作りに必要な要素をご紹介するシリーズ、第八弾はここまでとなります。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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