ワークショップを運営する力は「仲間の視点」で伸びる

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。先日友達と一緒に、朝から晩まで山の中を釣り歩いてきました。サイズは小振りでしたがたくさんのヤマメを釣ることができ、とても楽しい1日でした。

私はコロナウィルスが流行る前まではほとんど釣りの経験がなかったのですが、幸運にも30年以上の釣り経験を持つ方とお友達になり、毎週渓流での釣りを教えてもらっています。彼のお友達もまた釣り上手で、釣行に混ぜてもらいアドバイスをいただく、ということを2年積み重ねてきましたら、見違えるほど上手になり、釣果にも恵まれるようになりました。

彼らの存在がなかったら、私はきっと1匹の渓魚も釣ることなく、釣竿をタックルベリーへ売却することになっただろうと思われます。本当に感謝です。

さて今日の本題ですが、私はワークショップの企画力や運営力を伸ばすためにも、仲間の存在はマストと考えています。仲間の目は、自分一人だけでは気づけないことをたくさん教えてくれるんです。

私自身は、大学時代は10人以上のチームで毎週ワークショップをブラッシュアップし、社会人になってからは3~4人のコアメンバーと夜な夜なディスカッションをするのが日常でした。改めて振り返ってみると、ワークショップデザインを学ぶにはとても恵まれた環境でしたね。

目次

企画の幅だし・欠点の改善

まずワークショップの企画においては、複数人の感性から意見を出し合うことが、攻めにも守りにも繋がります。

攻めの代表はブレストです。ブレストは、価値観や経験が異なるメンバーが集まったときに最大の効果を発揮します。同質性が高いメンバーだと似通った意見ばかりが出て、あまり面白くありません。こちらは過去に妄想の飛距離を伸ばす「多様性」という記事でも紹介している観点です、もしご興味あれば併せてご一読ください。

守りに関しては、複数人の視点が入ることで、企画の欠点を特定しやすくなる作用があります。極端な例ですが、男子高校生だけでパーティーの企画を考えてみたら、晩ご飯の献立は「唐揚げ コロッケ 春巻き 肉じゃが 焼きそば」と決まり盛り上がったとします。これって男子高校生には楽しい献立かもしれませんが、女子高校生にとってはどうでしょう? 保護者や先生にとっては?

もしこの場に別の属性の方がいれば「サラダもあったほうがいいのでは?」「スイーツがあると喜ぶ人がいるよ」「魚が好きな人もいると思うな」と、別の視点を提示でき、献立の偏りは解消されるでしょう。

こんなに分かりやすい例は珍しいにしても、自分の属性からは感じ取れないことが、他者の属性からは感じられる、ということはよくあります。だからワークショップの企画に不慣れなうちほど、複数人の目線から企画を作っていくことが重要です。

参加者の様子の察知

ワークショップ当日の運営に関しても同様です。

たくさんの人が集まるワークショップという場では、それぞれの参加者が「自分とは違う当たり前」を持っています。ですから、ワークショップの場がうまく盛り上がっているか、みんなが波に乗れているかを正確に判断していくためには、異なる感性を持った複数人の目線が必要なのです。

自分と属性の近い参加者のことは見えやすく、気持ちや状態を想像しやすいものですが、自分とは異質な参加者の状態は察知が難しくなりがちです。例えば毎日外遊びしている子には、家の中で遊ぶのが大好きな子の気持ちを言語化したり、感情を読み解くのって簡単じゃないと思うのです。

私も複数のメンバーで運営できる際は、自分が感じている状況と、他の人が感じている状況とのすり合わせを欠かさずに行っています。これが合致していれば自信を持って進められますし、解離や懸念が見つかれば、そのギャップを埋めていくためにどんな対処を取るか考えることができます。

これと近い点でよく起こりがちな例を挙げると、会場の気温はけっこう個人差が出やすいですね。私は自分だけでは判断せす、参加者や運営メンバーに尋ねることを心がけています。

自分にはない視点が力を伸ばす

このように、仲間がいる(複数人の目がある)といないでは、ワークショップの企画〜運営が変わります。熟達した方であれば、自分の思い込みや盲点に自覚的なので、比較的こうした意識のギャップは生まれにくいものですが、初心者は要注意です。もし可能であれば、最初の20~30回くらいは、仲間と一緒にワークショップ運営を経験してみることをオススメします。

難しい場合は、友達に企画の意見を聞いてみるとか、参加者に終了後インタビューをしてみるとかして、なるべく他者の視点から企画運営を見つめてみてください。

そうすると、かなり多くの発見やヒントが見つかるはずです。他者の視点は、学びの宝庫なのです。

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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