WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。私は基本的にポジティブな投稿を心がけているのですが、今日はちょっとだけ毒を吐いてみようと思います。もしお気を悪くされる方がいらしたらすみません。
対象は、ワークショップ中にスマートフォンなどのタイマーを使って「ピピピピピピ」とタイムキープするやり方について、です。
タイムキープは難しいからタイマーが効く(メリット)
まず始めに書いておきますが、ワークショップのタイムキープって簡単じゃないです。「1人2分で共有してください!」みたいな指示を出しても、30秒で終わる人もいれば、倍の4分くらい喋っちゃう人もいるので、なかなか困っちゃいます。
個々人の意欲にバラツキがありすぎるとワークショップがうまく機能しないので、共有の時間数に過度な差が出るのは得策ではありません。また、結果的に予定より早く進むのならまだ良いですが、遅れてしまうとすごく大変。なぜなら、後々の予定をその場で再考しなければならなくなるからです。即興的にプログラムを直していくのが苦手な人にとっては試練の瞬間です。
こうした背景があるので、決して時間が押すことのないようにタイマーをかけているという方は少なくないのではと思います。分かります。タイマーは、機能としては超優秀です。
一方で、情緒的にはどうでしょう。
タイマーは機械的で人情味に欠ける(デメリット)
「ピピピピピピ」「ルルルっ ルルルっ」「タララララーン」
タイマーは確かに便利ですが、人情味がないと思いませんか? ワークショップでは、人としての優しさやあたたかさを交わし合える空間を形成できたほうが、心理的安全性が高まり、良い対話が生まれる確率も上がります。
ですが、タイマーってそうしたアットホームな空気をあっという間に切り裂いてくる感じがするんです。あたたかさや和やかさに対して、強過ぎて冷たい感じ。
こうしたトーンのミスマッチは、一言でいえば、私は粋じゃないと思っています!
「あとちょっとだけ」の気持ちを拾えるか否か(デメリット)
小さい頃に家でゲームをしていて「いつまでやってんの!? もう約束の時間は過ぎたでしょう」と叱られた時、
「今とてもイイ場面なんだ! ここをクリアするまで、あとちょっとだけやらせて!?」と交渉したことがある人はとても多いのではなかろうかと思うのですが、話の途中にタイマーが鳴るというのは、まさにコレです。
タイマーの意図するところは強制終了、強制バトンタッチなので、区切りの良いところまで進めたいという気持ちを尊重しません。これでは、トークに夢中になっていた人の気勢を削いでしまいかねません。
また、話がまとまらず、尻切れトンボで終わってしまう可能性も高まります。これはワークショップ全体にとっての損失です。
人間のアナウンスによるタイムキープのススメ
だから結論として、私は人間のアナウンスによるタイムキープがベストだと思っているのです。
ちょっと面倒かもしれませんが、ちょうど半分が経過した際や、30秒前などにアナウンスをする。ご提供した時間でおさまっていないグループがあれば、シェアの分数を適宜調整する。それによって後半のワークを変える必要があれば、臆せずそうする。
心理的安全性の高い空間づくりを期待されるワークショップデザイナーには、こうした気構えが必要だと思うんですよね。こんなことを書くとおじさんっぽく思われてしまうかもしれませんが…、機械に任せて楽をしちゃダメです。
タイマーが機能するシーンもたくさんある
ただし、例外はあります。たとえば100人が参加するような大規模ワークショップは、タイマーの力をお借りしたほうがスムーズでしょう。さすがに100人を超えてくると、個々人の心の機微に寄り添って丁寧に進行するのは困難です。リズム良く、秩序をもって回転していく方が、結果的に場の満足度を高めます。
過集中してしまいがちなワークの終わりにタイマーを鳴らす、という使い方も考えられます。タイマーは参加者を瞬間的に呼び戻してくれて、前後のメリハリを付け易いので、場面転換の効果的な活用は模索し甲斐がありそうです。
また、機械音が鳴るタイマーではなくて、ベルや瞑想チャイムなど、心地よい音を奏でる楽器でお知らせするという方法はよくあります。
その場に最もフィットするタイムキープを探す
こう書いてしまうとあれなのですが、結局は場にフィットするタイムキープの仕方を検討できること、やり方を複数知っていることが重要なのです。
機械音タイマーしかやり方を知らない、変える気がない、ということだったら非常にもったいないと思いますので、ぜひこの場にはどんなタイムキープが相応しいかを毎回考えてみてください。タイムキープの方法なんて、ワークショップの全体から見たら些末なポイントですが、神は細部に宿るって言いますしね。
今日はここまで。
対話をもっとおもしろく。
相内 洋輔
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