妄想が膨らむ対話に欠かせない「心理的安全性」づくり

妄想が広がる対話の場にはゼッタイに「心理的安全性」が必要

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。私は一般社団法人妄想からアイデアを共創する協会の理事として、妄想アイデアトレーニング「モウトレ」という、アイデア発想とコミュニケーションを学んでいただくワークショップをご提供しています。

モウトレでは参加者に「妄想」を楽しんでいただくのですが、妄想が盛り上がるためには様々な仕掛けが必要です。

そこでこのシリーズでは、妄想を盛り上げるために必要なファシリテーターの役割や、ワークショップデザインについて紐解いていこうと思います。今回のテーマは心理的安全性です。

目次

「心理的安全性」が高いほど自由な妄想が生まれる

さいきん様々なシーンで広く聞かれるようになった心理的安全性という概念ですが、ワークショップや対話の参加者が自由に妄想を広げるためには、この心理的安全性が絶対に欠かせません。

場作りにおける心理的安全性は、喩えるなら建物の基礎部分です。基礎がしっかりしていなければ頑丈な家は建てることができないように、心理的安全性に乏しい空間の中では、どれだけ面白いコンテンツを提供したとしても決して機能しません

「こう言っておくのが正解なんでしょ?」と他者のモノサシに合わせて置きに行った無価値なアイデアが量産され、時間とエネルギーが浪費されるのが関の山です。

そのため、妄想を扱うファシリテーターが真っ先にすべきは、まず場の心理的安全性を高めることです。千里の道も一歩からという諺がありますが、千個の妄想は心理的安全性からです!

妄想には、個々人のパーソナリティー、好きなコト、日々の願望、世の中を見ている視点などが色濃く反映されます。妄想=その人の存在そのものと言っても過言ではありません。

自分の存在そのものを他者にさらけだすのは抵抗があると考える人がほとんでしょう。

だから「この場では私らしく振る舞っても大丈夫」と参加者それぞれが思えていないと、真にオリジナリティが高い妄想は決して共有されないものです。

妄想に欠かせない「心理的安全性」を高める3本の柱

私はモウトレを始めとする各種のワークショップを開催する際は、心理的安全性を高めることを意図した3本の柱を冒頭に用意しています。

1本目の柱は、心理的安全性とは何かを説明し、推奨するグランドルールを伝えて、一緒に心理的安全性が高い場を作っていただけるよう参加者に協力をお願いすることです。この時間を設けることで、目指す状態が公共化され、参加者の認識が統一されます。

2本目の柱は、チェックインで自分のコンディションを持ち出し合っていただくことです。眠い、お腹が減った、仕事が気になっているなどなど、些細なことでも自己開示をしあえると、自分のことを素直に話しても大丈夫なんだと肌で感じることができ、場の安心感がぐっと高まります。

3本目の柱は、突拍子もないことを自由に言えるアイスブレイクを用意しておくことです。運動会の冒頭では必ずラジオ体操を実施するように、妄想の場においても心身をほぐすウォーミングアップが絶対に必要です。ここでどれだけ好き勝手なことを言えるかが、本番の妄想量やユニークさに直結します。

少し時間はかかりますが、このように暖機運転を丁寧に行うことが、妄想を最大化させる近道です。

心理的安全性の高め方や、アイスブレイクの要点については、過去にこちらの記事でご紹介してきました。よろしければご参考ください。

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ファシリテーターの自己開示の深さが場に反映される

こうした場のデザインと並行して、ファシリテーターには自身が積極的に心を開き、自己開示する姿勢が求められます。コミュニケーションには返報性の法則があり、自分がオープンな状態でいれば、相手も自然と胸襟を開いてくれやすくなるからです。自分自身が閉じていれば、相手もそうなります。

そのため私は積極的に恥ずかしい過去や、情けない失敗談などを自己紹介の段階で語るようにしています。特に華やかな経歴を持っている方ほど、自己紹介でうまくバランスを取った方が良いです。なぜなら立派すぎるプロフィールは、参加者の心の中に (この人は私とは違う人だ) と心のカベを生じさせる作用があるからです。

チェックインでは「こんなことまで言っていいのか!」と参加者の心がほぐれるようなデモを行なっています。朝からお腹が痛いこと、ちょっと緊張していること、山を見たら渓流釣りに行きたくてしかたなくなったことなどなど、その時々のコンディションや、湧いてきた気持ちを包み隠さずお伝えしています

もちろん、妄想の披露も恥ずかしがってはダメです。ファシリテーターが率先して、ぶっ飛んだ妄想を例示できれば、参加者も安心して妄想に没頭できます。

ウォーミングアップと進行者の自己開示は場作りの両輪

ウォーミングアップの設計と、ファシリテーター自身の深い自己開示は、妄想の場作りにおける両輪です。ぜひどちらもしっかりと要点を押さえて、おもしろいアイデアが飛び交う空間をデザインしてみてください。

妄想が広がる場作りのために必要なことは何かをご紹介するシリーズ、第一弾はこれで以上となります。次回は「程よい例を提示する」ことの重要性についてご紹介させていただきます!

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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