NOIE QUEST第2回 ~ワークショップの作り方・合意形成の方法~

コンセプトから考えるのは参加者への愛情表現

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。

仙台を拠点にワークショップの企画運営や

ファシリテーション、コーチングなど、

人が前進するための場作りを行っています!

今年は20年来の友人が保育園の園長になることが決まり

彼が掲げる

誰もが自分らしさに向き合える保育園

というビジョンの実現を目指して

連続10回の研修を引き受けています。

「のいえ保育園」の先生が

様々な「探究を重ねる」研修なので

NOIE QUESTと名付けました!

今回は第2回目として

参加者が喜ぶワークショップ

を設計するための研修を実施!

どんなコトに気をつけ

どんな手順でワークショップ作りを進めると効果的か

みんなで探究を重ねました!

目次

アイスブレイク『流れ星』

NOIE QUESTの始まりは

チェックインとアイスブレイク

から始まります。

今回は『流れ星』

というアイスブレイクを選びました。

これは参加者が

ファシリテーターの指示通りに絵を描き

それぞれの仕上がりの違いを楽しんだり

なぜ同じ指示でも差異が生じるのかを

探究できるワークです。

NOIE QUEST第1回の終盤で

「みんなが使っている言葉のニュアンスを統一したほうがいいか?」

という問いが生まれたため

同じ言葉からでも差異が生まれる状況

を感じていただくのが狙いでした。

自作の流れ星
流れ星

指示の内容は

差異が生じやすいように自作して

最後は「雲」とも「蜘蛛」とも取れるよう

ちょっとイジワルしてみました!

結果は全員が雲を描いていたんですけどね・・

(期待が外れてちょっと残念っ)

ちなみに参加者は

紙を縦に使っている人もいれば

横に使っている人もいて

始まりからバラバラで面白かったです!

木の全体像を書いている人もいれば

大きく一部だけを書いている人もいて

構図は本当に人それぞれ!

同じような意味だと信じて使っている

簡単な言葉でもこれだけ認識に違いが生まれる

と味わっていただき

保育のシーンにおいて

何気なく使っている言葉の意図やニュアンスを

丁寧にすり合わせるべきか否か

それぞれの絵を切り口に考えていただきました。

ワークショップを作る順番!

次いで

本題であるワークショップの作り方について進みました。

始めに

ワークショップを作るのはアイディアから考えるのが良いか

それともコンセプトから考えるのが良いか

を質問しました。

ちなみに私は

ワークショップはコンセプトから作り上げるほうが

参加者の期待に応えられる確率が高くなると思っています。

コンセプトから考えるのは

参加者にどうなって欲しいかを考えること

であり参加者への愛情表現

だと思うのです。

コンセプトから考えるのは参加者への愛情表現

様々な話しを聞いている限り

きっと普通の保育園では

多くの企画はアイディアから考えられていて

コンセプトは後付けなんだろうなあ

という感覚がありましたので

アイディアファーストではなく

参加者ファーストで企画を進めるやり方

も身に付けてみて欲しいことを伝えました。

のいえ保育園では今後

地域の方や

お子さんをお持ちの方へ向けて

定期的にワークショップを展開していく予定です。

もしこれが

これからほんの数回しか

ワークショップを作らない組織であれば

これはイイぞ!

と思うアイディアをベースに

企画運営しても差し障りないと思いますが

長期的に安定して成果を出し続けるには不十分です。

そのために

アイディアから企画を作ると

どんなことに陥りがちか

コンセプトから考える

とどんなメリットがあるか等について

講義を行いました。

コンセプトから決めるメリット

そして下記のステップを参考としてお伝えし

実際にワークショップ案を考えていただきました!

ワークショップはコンセプトから考え始める

ワークショップの案作りについては、

『アイディア体質』になるワークショップを開催!

にて行ったワークを抜粋し

マンダラートやマインドマップを使って

アイディアを作る体験をしていただきました。

のいえ保育園らしいイベントとは

また、

こうしたアイディアを

企画として昇華するうえで欠かせないのが

考えるべき項目が整理された企画書フォーマット

です。

保育園にも指導計画のような

企画フォーマットがあるそうなのですが

今回はビジネス領域で使われている物

のほうが相性が良いと感じ

こちらのフォーマットを使っていただきました。

企画書の推奨フォーマット

皆さん初めてのフォーマットに戸惑いつつも

枠から溢れんばかりのアイディア

を書いてくださいました。

合意形成をするために必要なコト

ちなみにこの日は急遽予定になかったゲーム

を追加しました。

全くの勘ですが

きっとこのコンディションが続くと

日常業務の合意形成において

頻繁に躓くのではないかと感じたためです。

実はアイディアの合意形成を容易にするための

ツールは用意してきていて、

会の後半で使っていただく予定ではあったのですが

ツールはあくまでテクニックの1つに過ぎません。

それ以前に

合意形成時はどんなポイントが重要で

それらを無視するとどんな迷路にハマりがちかを

しっかり経験を通じて知っていることが大切です。

そこで

今後も起こり得る混乱を円滑に乗り越えていくには

合意形成を体感いただくほうがベター

だと思ったのです。

そこでワークの流れを変えて

「砂漠からの脱出ゲーム」

を追加しました。

これは墜落した飛行機に残された

12個のアイテムを使って生還することを目指し

どのアイテムが重要かをチームで議論しながら

1~12位までの優先順位を決めるゲームです。

砂漠からの脱出ゲーム

このゲームを行うと、

最も近隣の町までの100km

を歩き抜こうとするか

その場で待機して救助を待つか

大きく分けて2つの意見が対立しがちです。

今回も例に漏れず議論がとても白熱しました!

ちなみにどちらを選択するかは

個々人の性格がよーく出て面白いです(笑)

そして、結果発表の際の

「えーーー!?」という驚きの声はクセになります。

砂漠からの脱出ゲームは

このように参加者も運営者も

とても楽しめることに加えて

チームで合意形成を行う際のコツや

混乱に陥りやすいポイントが自然とつかめます。

この日は

「ああそっか!何を優先するかから決めないと、その先を決められないんだ~」

と自分たちで効率的、

かつ納得の行く合意形成の手順を編み出していました!

そのうえで

企画したアイディアを一覧で比較することのできるツール効果分析表を提供しました。

アイディアを見比べるための効果分析表

こうしてアイディアを並べて採点してみると

総合的に点数が高いのはどのアイディアか

著しく成果が出せそうなアイディアはどれか

著しくデメリットを抱えているアイディアはどれか

などを視覚的に判断することができます。

こうして分かりやすい状態を作ってから

砂漠からの脱出ゲームで行ったように

優先する項目を決めて

その基準に沿った案を選んで行けば

他のメンバーとの齟齬も起きにくいし

上司に報告や提案をする際も

スムーズに会話が展開できる可能性が高まります!

このやり方はソフトバンク時代の上司

に徹底して教えていただき重宝しました。

最初は面倒で戸惑いもありましたが

結果的にはお互いの労力を少なくし

納得の行く意思決定を行うことにとても有効

なツールであることが分かり

退職前は率先して提案資料に盛り込んでいました。

そもそも案が1つしかなかったり

特定の案のメリットばかりが書かれた資料だと

(これは本当にフェアな視点から作られたのか!?)

と上司や顧客に疑念を抱かせてしまいがちです。

そこで複数の案のメリットやデメリットを

公平な視点で一覧化しまとめて提示すると

スムーズに話しが進む可能性が高まります。

その場で相手と一緒に採点を変えるのも

お互いの納得感が増し効果的です。

ちなみにこの効果分析表

保育士の皆さんにご説明した際は

「なんか小難しいな・・・」

という顔をされたのすが、それは全くの想定内(笑)

普段の思考に置き換えて説明を

「結婚相手を選ぶ際に重視するポイントは何か」

を例にして、つまりどういうことか?

を嚙み砕いてご説明しました。

容姿や友人関係

現状の安定感や将来性

収入や貯金など、

結婚する相手にどんな条件を求めるかは

よく話題になりがちなので馴染みがいいかなと!

結婚相手を選ぶなら

これらを表にまとめて

どの項目を優先するか

決めることと全く同じですよー!

とお伝えしたらとても納得いただけましたっ。

想像していなかったパラダイム

しかしながらこの日は

どのアイディアが良いかを絞る議

論が混迷を極めました。

私も途中途中で介入しましたが

なかなか結論が出ません。

それどころか私が

「参加者にはイベントが終わった後にどんな状態になって欲しい?」

「実現可能かどうかは横に置いて、これをやってみよう!と思えるものを選んでみては?」

と問いを提起した瞬間から

議論が全く進まなくなってしまったのです。

これには私も

同席していた園のマネージャーも驚きました。

特に、

実現可能かどうか

成果が出るかどうかはひとまず不問とすれば

みんな安心して本音を語れるだろう。

そう思っての介入だったのですが

全くの逆効果だったのです。

決まらないながらも

尽きることのなかった議論でしたが

口を開く人もいなくなり

みな一様に考えこんでいるのが見て取れます。

のいえ保育園 先生たちの探究の様子

どうしたんだろう?

不思議に思って、

いま自分たちの中に湧いている思考や

気持ちを持ち出していただくと

面白いことが観えて来ました。

というのも保育士として保育計画を策定する際は

できることを中心に考えるのが常識。

でないと安全管理もままならないので

できるかできないか

分からないけれどやってみよう!

という発想で物事を考えることには

とても抵抗を感じる。

だからこのアイディア選びにおいても

できることから選ぼう!

と言われたら判断できるけれど

できるかできないかは気にしなくていいよ!

と言われても

それでいいんだっけ??

という思考が湧いてきて混乱してしまう。

と教えてくれたんです。

はーー!

なるほどーーーーーー!

これは私にとって

目から鱗が落ちるような共有であったと共に

確かに思考回路がショートしてしまうのも無理はないなあと

とても納得感がありました。

今回において大切なのは

どちらの決め方が良いかを押し付けたり

どちらか一方に決め切ることではありません。

どちらで決めるのが良いかをシーンごとに

自在に使い分けができるようになることこそが

園の未来にとって一番重要です!

人によってはすぐできるかもしれませんし

人によっては過去のパラダイムが根強く残り

時間がかかるかもしれません。

でもせっかく

のいえ保育園で働くことを選ばれたのだから

保育業界のパラダイムに囚われすぎずに

新しい保育の可能性を切り拓いて欲しいなあ

そのお手伝いができればいいなあ

と改めて思った瞬間でした。

揺れ幅が大きな回だったので

参加者の皆さんがどんなことを感じたか

けっこう不安でしたが、

いただいた感想の前向きさにとても救われました。

参加者の感想(抜粋)

・前回の楽しい記憶が大きかったので、ワクワクした気持ちから始まりました!

今回のウォ―ミングアップの「流れ星」もやってみるとそれぞれの描く絵が全く違い、

気持ちがさらにほぐれた状態でワークショップを受けることができた。

・今回のテーマはイベントに向けて、「コンセプト」から作るか、

「アイディア」から作るかという議題から始まり、

講義を受けていく中ですぐに自分は「アイディア」から入っていることに気づいた。

・一番印象に残っていることは、「コンセプト」or「アイディア」どちらから作るかという部分。

振り返ってみると、保育を行う上でねらいは考えつつも、

アイディア先行で進めていた部分もあったため、企画を立てる上では、

きちんと目的を明確にしなければいけないと感じた。

・「コンセプト」と「アイディア」について普段の生活の中で計画を立てる時は、

意識せずとも目的から明確にしてアイディアを出していくことが多いと思っていたが、

何かを企画するとなるとついアイディアが先に走ってしまい、

目的や意図を見失ってしまうことに気付いた。

もしくは、目的はあってもアイディアがどんどん湧き出るうちに少し霞んでしまったり、

軸がゆがんだままアイディアに引っ張られたりしていた。

・企画を考えるうえで、コンセプトから考えることで、目的や内容にブレが生じにくい事を、

実際にフォーマットを使用して企画を考えた事で学ぶことができた。

また、職員間での共有や上に企画書を提出する際に、

分かりやすく、自分で伝える際にも伝えやすさを感じた。

・企画書を実際に作り、話しをしていたことを書面にすると、

実はみんなとの認識が違う点があることが分かった。

・アイディアをたくさん出す方法として、マンダラートとマインドマップを行った。

色々な考えや見方が一人一人違うことに気づき、新たな発見をすることができた。

今後も、イメージを膨らますことができるように、こういった考え方を身に付けて行きたい。

・マンダラート、マインドマップでのアイディア出しの仕方では、

マインドマップのやり方が自分のには合っていると思ったし、ペンが進んだ。

自分のアイディアだけでは限界があったが、

みんなで出し合うと自分が思いつかなかったことがどんどん出てきて新たな発見があった。

・砂漠からの脱出ゲームでは、目的を共有することで、必要なことも明確になると感じた。

なんとなくで考えていることを、全員で共有することは今後の保育園を運営していく上で大切。

・砂漠からの脱出ゲームを行うことでそれぞれの考えが違うことを知り、

コンセプトから入ることでみんなの意識をまとめて、

同じ方向に向かっていく一つの手段を知ることができ勉強になった。

・砂漠からの脱出ゲームでは、目的をもとに何が重要なことかを見い出し、

周りの人と共有する方法を楽しく学べた。

・イベントの内容を決めるうえで「誰にどんな状況になってほしいか」を考えることが難しく感じた。

“楽しい”楽しそう“という感覚は漠然的。

イベントを行う上では、もっと柔軟に考えなければいけないと思いつつも、イメージし辛かった。

また、「のいえらしさ」とは何かについてもうまく説明できず、

しっかりとしたビジョンを持つことができていないと感じた。

・保育の現場で必要とされているフォーマットと、

会社で企画提案されていく中で使っていくフォーマットとのギャップが大きく感じた。

いつもは賑わう話し合いの場面で起こった沈黙が苦しかった。

みんなで話し合う中でアイディアの方向やそれぞれの想いに脱線してしまう場面もあり、

もとの場所に戻って話しをすすめるよう促すニュートラルでいたいと思った。

・企画を考えるにあたって、

今までの自分たちが考えてきたフォーマットから離れる訓練が必要じゃないかと思った。

・「のいえらしさ」とイベントとのリンクがなかなかうまく思いつかないのも、

しっかりしたイメージが湧かなかったからかな、と感じた。

・午後のイベントに向けての企画の仕方では、まず「誰にどうなってほしいのか」という問いに、

純粋に答えられない自分がいることに気が付いた。

「誰にどうなってほしいのか」以上にそのイベントを成功させるために、

子どもの予想される動きや保護者の目線や想い、

保育士の配慮等一瞬にしてそのイベントしている時の様子をイメージしてしまい、

その先に進めなかったり、躊躇してしまっていた。

しかし改めて私たちが大切にしていることや、やりたいことをみんなで口に出し、

話し合っていく中で「親子で楽しい時間を共有してもらう」という大きな目的を見出すことができ、

難しいながらも今後の課題をしっかりと出すことができてよかった。

・イベントを行うのにあたって、できるできないを考えることも大切だけど、

自分たちが何をしたいのかが大切なのか…?答えが出ませんでした。

NOIE QUESTは続きます。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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