ワークショップの成果をわかちあう 4つの基本アクティビティ

ワークショップデザイナーの相内洋輔です。昨日は石巻ハッカソン2023の成果発表を見てきました。15個ほどのブースが設置され、その場で各チームが作ったコンテンツを体験できる仕様になっており、とても楽しく快適でした!

ワークショップでも、各チームがどんなことを考え、何を創ったのかは、必ず全体でわかちあいたいものです。わかちあいの良し悪しはワークショップの満足度や印象に直結するので、限られた時間の中で工夫して行えるとGood!

そのためには、わかちあいの形式を多く知っているほうが断然有利ですし、頻出の基本形をバッチリ使いこなせるようになることが重要です。

今日は私が基本としている4つの形式についてご紹介します。

目次

全体での個人発表

まず個人での発表です。ワークショップに参加してどうだったか、どんな発見があったか、これから何をしようと思ったかなど、個人の感想をシェアしていただきます。大切なのは、個々人の中に湧いてきた思いを、嘘偽りなく共有いただくこと。そんな場を作ること。

本心からのシェアは他者の胸を打ちます。そこに触発が生まれ、学びの連鎖が発生するのです。

個人での発表は厳密には2つのやり方があります。1つは全体共有です。参加者全員がサークルを作り、順繰りに感想を共有していくようなやり方です。こちらは参加者それぞれの思いに触れることができ、とても大きなエネルギーを感じることができる一方、時間がかかりすぎる、タイムキープがムズカシイなどのデメリットもあります。

「共有は1人1分で」等のお願いをして始めても、2~3分話してしまう人はたくさんいて、途中でカットするのは野暮だし、タイマーを鳴らすのも無粋だなあと、けっこう頭を抱える時が多いものです。

個人的には、15人以下までのワークショップや、2泊3日の合宿のラストワークなどは、このわかちあいの形式が好きです。30人で3時間のワークショップ等に導入すると、30~45分くらいは軽く時間が取られてしまうので、前後のコンテンツ設計に苦慮します。

グループ内での個人発表

もう1つはグループ内での個人共有です。こちらは全体で共有するには時間が短い時や、参加人数が多い時などに有効です。先ほど例に挙げた30人で3時間のワークショップであれば、私は迷わずこの形式をファーストチョイスにしてデザインを進めます。

グループ内で個人発表をしていただくメリットは、圧倒的に進行管理が楽なことです。まず「10分差し上げるので、各自が2分ずつ話せるようタイムキープをお願いします。時間が余ったら、皆の感想を聞いて感じたことを自由に対話して待っていてください」のようにお願いをしておきます。それから、残り7分、残り3分、残り1分など、各所で時間経過を全体にアナウンスします。こうするとほとんどのチームが時間内に共有を終えてくれますし、早く終わったチームも退屈することがありません。

ただし、他のグループで何が話されていたのかを知ることができないというデメリットもあり、わあかちあいの範囲が狭くなってしまいます。これを緩和するためにはいくつかの小技があります。

たとえばグループでの感想共有が終わった後、代表者一人が皆の感想を要約して全体に共有するパターンはオーソドックスです。別途アンケートやワークシートを記入いただいて、それを後日全体に共有するやり方もあります。また、グループを変更して感想共有を2R、3R実施することもできます。

グループ発表

グループでの発表もメジャーな方法です。グループ発表には、代表者に話していただくパターンと、グループの全員が話すパターンがあります。もし「発表を成長機会にしたい」「全員が役割を持つことで結束を高めたい」などの意図があれば、全員で話すなどのルールを設けることが機能します。

グループ発表を導入する際は、話していただきたいポイントと、発表時間(目安でもOK)を明確に伝えておきましょう。ガイドを示しておいた方が、発表の質を担保しやすくなります。中にはフリーフォーマットで共有していただく時もありますが、発表の粒感が揃わず、消化不良な時間になる可能性を認識しておきましょう。

また、各グループにまとめの時間を差し上げてから発表へ移れるとスムーズです。まとめの時間を取らずにいきなり発表をお願いすると、譲り合いや押し付け合いにエネルギーが裂かれ、誰が何を言うのかかがあやふやになってしまい、だらだらと場当たり的になってしまいかねません。

ワークショップの最後が締まらないと、会の評価も下がりがちです。グループ発表はとても重宝する一方、参加者の責任や意識が分散しがちなだけに、詰めを誤ると効果を損ないます。ぜひ少し丁寧な設計、進行を心がけてみてください!

回覧

こちらは冒頭に書いた石巻ハッカソンのようなスタイルです。たとえばグループごとにブースを設けたり、成果をまとめた模造紙を掲出したり、アイデア出しの付箋を整理して並べたりして、参加者に自由に歩き回ってもらう形式です。

回覧にも大きくは2つの進め方があります。1つは参加者全員が回覧者になるやり方。もう1つは、グループごとにホスト役を立てるパターンです。ホストは自分のグループへ来た参加者に、どんなことが話し合われたのかを補足説明する役割を担います。

回覧形式のメリットは圧倒的なタイムキープの容易さです。個人発表やグループ発表は、発表の時間を明示していても、その場その場で流動的になりがちですが、回覧形式では決まった時間でスッパリと次へ進むことができます。また、模造紙等のアウトプットが存在するケースが多いため、ワークショップ後の共有や振り返りにも役立ちます。

回覧スタイルで注意すべきは、各ブースをゆとりを持って回れる時間を死守することです。ここまでのワークショップが盛り上がっていれば盛り上がっているほど、全体を見たい! という気持ちが強くなりますので、もし時間が足らずに観覧が叶わないと、参加者の満足度が激減します。こうならないような時間配分・当日のファシリテーションがマストです!

ワークショップの振り返りは多様だが、まずは基本から

これら以外にも、ワークショップの成果をわかちあうやり方はいくつもあります。ペア対話、OST形式で任意のグループを作る、ドット投票やアンケートを使った可視化、付箋やメッセージカードを用いたコメント共有、即興劇の制作、短歌や川柳でのまとめなどなど、内容や狙いによって最適な方法は変わります。

ただし、こうした手法は登場頻度がそんなに高くありません。ワークショップに変化をつけたい時にはとても有効だったりもしますが、奇を衒って滑るケースもよく見ます。そのためまずは、個人発表・グループ発表・回覧をしっかりとアレンジできるようになることをオススメしたいです。

なぜなら、これらを基本としてしっかりおさえておけば、ワークショップのわかちあいのデザインで苦労することはありませんから。

ワークショップのデザインについては、過去にこんな記事も書いています。ご興味があればぜひ合わせてご覧ください。

機能するワークショップを作るための3つの手順!

ワークショップのワーク案は「普通の人」に向けたデザインを

ワークショップは「休憩」からデザインしてみては?

今日はここまで。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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