妄想アイデア出しは量にこだわれ!

真に面白いアイデアは大量のアイデアを下敷きにして生まれる

WORKSHOP LANDの相内洋輔(あいない ようすけ)です。私は一般社団法人妄想からアイデアを共創する協会の理事として、妄想アイデアトレーニング「モウトレ」という、アイデア発想とコミュニケーションを学んでいただくワークショップをご提供しています。

モウトレでは参加者に「妄想」を楽しんでいただくのですが、妄想が盛り上がるためには様々な仕掛けや要素が必要です。

そこでこのシリーズでは、妄想を盛り上げるために必要なファシリテーターの役割や、ワークショップデザインについて紐解いていこうと思います。今回のテーマは妄想アイデア出しの鉄の掟と言っても過言ではない「量は質に転化する」という法則についてです。

目次

妄想アイデア出しは量にこだわる

アイデア出しの世界ではずっと言われていることですが、アイデアを創造していくうえで最も重要なのは「質より量にこだわる」ことです。くだらないなぁ、恥ずかしいなぁ、実現不可能だなぁと感じるようなアイデアも、取り下げずに出してみるからこそ、思いも寄らないアイデアの呼び水となるものです。

ですが多くの人は、アイデア出し=良いアイデアを出すことだと思っていて(みんなが驚くようなすごいアイデアを出さなきゃ…)という強迫観念に悩まされています。このマインドセットによって、自由な妄想が阻害されてしまうのです。

そうすると当たり障りのないアイデアばかりが共有され、何の発見も成果もないブレストで終わってしまいます。このためアイデアを妄想する場を預かるファシリテーターには、こうした参加者の強迫観念を取り除く勇気づけが求められます。

突拍子もないアイデアの例示が参加者のガードを緩める

参加者が感じやすい強迫観念を薄めていくためには、大前提として場の心理的安全性を高めることが大切です。まずは何でも言い合えるムードの場を作りましょう。

そのうえで、妄想アイデア出しのテーマを説明するタイミングに合わせて、参加者のガードが思わず緩んでしまうような突拍子もないアイデアを披露すると効果的です。

たとえばモウトレではウォーミングアップで「ペットボトルは何に使える?」というお題で自由に妄想を膨らませていただくのですが、私はここで必ずじょうろ、ボウリングのピン等の普通のアイデアを例示した後に、防弾チョッキというアイデアを例示しています。これはモウトレの参加者さんが出してくださった妄想なのですが、とてもいい具合にアイデアが飛躍していると思うんです。

「リラックスした気持ちになれるアイテム」を妄想いただくパートでは、気の抜けたアイデアを出すラウンドの冒頭で、愚痴を聞いてくれる豆腐、というアイデアを披露しています。これも参加者さんが考えてくれたアイデアで、ゆるふわなアイデアを考えようと思ったら豆腐が浮かんできた、と楽しそうにお話しされていました。

これらのアイデアを参加者の方々に告げると、みなさんニコニコと笑顔になられた後に、そんなのでもいいんだ、ととても安心した表情に変わられます。この緩みが、面白い妄想につながるのです。

優れたアイデアは大量の使われないアイデアを犠牲に生まれる

私自身は大学生の時からワークショップの企画を始めて、かれこれ500個以上のワークショップを作ってきました。こうした自分の肌感からしても、やはりアイデア創出に最も効くのは、アイデアの量にこだわることです。

例えば2泊3日の合宿などを運営する際は、だいたい合宿中にワークを7~8個くらいご提供します。この7~8個のワークを考えるために、私は10倍程度の案出しをします。これらを頭の中でスケジュールに落とし込んでみて、何百通りものシミュレーションを行うのです。そうするとある瞬間に、ベストなシナリオが浮かび上がってきます。

365日間連続でワークショップのワーク案を考え続けた際は、730個のワーク案が生まれましたが、実際に本番で使うに至ったのは10個以下です。

これは無駄な取り組みだったのかというと、決してそうではなかったと思います。

新たな商品を世に届けるまでには、様々なプロトタイプが作られます。最初は段ボールや缶などを使って簡易的なプロトタイプを作ることもあれば、本番の仕様どおりのプロトタイプでテストを重ねることもあります。中でも注目したいのは、サクリファイスプロトタイプと呼ばれる試作品です。サクリファイスとは犠牲という意味ですが、文字通り、次のステップへ進むための犠牲となるプロトタイプです。

アイデア出しも同じで、犠牲となるアイデアがあってこそ、アイデアの良し悪しが見え、方向性が明確になり、本当に価値のあるひらめきが生まれるものです。素晴らしいアイデアは、駄作の山の上に成り立つのです。このことをファシリテーターが知っているか否かで、場作りの深さはガラリと変わるでしょう。

妄想は自由奔放に!

ここまで、妄想アイデア出しは「質より量が大事」であるということについて書かせていただきました。

私は前職時代の上司から「企画を書くなら最低100案書け」と指導いただき、それが現在の仕事のベースになりました。最初は(何を言っているんだ…、そんなのできっこない…)と思ったのですが、思考を重ねる毎にアイデア発想の回路が作られ、いつの間にか自然とアイデアを大量生産できるようになっていました。

妄想アイデア出しをファシリテーションしたり、ワークショップデザインをする方は、まず自分自身がアイデア体質であることが必須です。その背景があればこそ、参加者にとって納得感が高い一言を発せるようになるものです。

妄想が膨らむ場作りに必要な要素をご紹介するシリーズ、第七弾はここまでとなります。次回はアイデアの閃きには欠かせない「クリエイティブ・カオス」についてご紹介します。

対話をもっとおもしろく。

相内 洋輔

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